月に舞う桜

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2016年09月17日(土) そこのけそこのけ、社長が通る

もう辞めた会社のことを、今さらあれこれ言ってもしょうがないんですけどね。
いや、辞めたからこそ、あれこれ言うんですけどね。会社のことを、というより、社長のことを。

8月の最後の金曜日、新入社員二人(AさんとBさん)の歓迎会と私の送別会があった。
ありがたいことに、私が前から行ってみたかったお店にしてもらえて、料理も美味しかったし、同僚とお互いの好きなアーティストやゲームの話などで盛り上がり、楽しかった。
が、問題は社長だった。

それまで、歓迎会や送別会のときは、社長に日程を知られないように気を付けたり、わざと社長の都合が悪い日を選んだりして、社長の参加を阻止してきた。 社長が来ると気を遣わなきゃならなくて面倒だし、せっかく勤務時間外の集まりなんだから、できれば来てほしくない、というのが事業所スタッフ全員の思いだった。
けれど、4月に異動してきた上司が、今回は社長にも出てもらいたい意向のようだった。上司から直接聞いたわけではないので、純粋に彼女自身の気持ちなのか、社長から「ぜひ呼んでくれ」と強く言われていたのかは分からない。

(ちなみに、この上司は、仕事のことで相談するといつも素早く的確な判断と指示をくれるので、私は名将だと思っている。だから、彼女を悪く言うつもりはない)

そんなわけで、歓迎会兼送別会は社長も参加できる日の開催となった。
ま、最後だし、しょうがないなあと思いながらの、当日。
社長はワインをボトルで注文していて、だいぶ飲んでから、私の隣に座っていた同僚に勧めた。
だけど、同僚は自宅から自宅最寄り駅まで車なので、そのことを伝えて丁寧に断った。 それなのに、社長は「ちょっとくらい、いいじゃん」と食い下がり、まだ誰も使っていないワイングラスに少しだけ注いだのである。
同僚は礼儀正しく立場をわきまえた人なので、あくまでやんわりと断り続けた。なおも、「ちょっとだけ」としつこい社長。「いえ、今日は……」と言いながら明らかに困惑している同僚。
そんなやり取りが2,3回続いて、私、キレそうになるのを必死に抑えながら、

「社長も捕まりますよ」

と、冷たく言い放ってやった。
それで社長はやっと「そうか」と引き下がった。

ねえ、あなた、仮にも一企業の社長だよね? 自分の立場、分かってる?
飲酒運転がどれだけ危険か、このご時世どれだけ大きな問題になるか、分かってる?
発覚したら同僚だけじゃなく会社全体の信用問題になること、分かってる?
車を運転すると知ってて飲酒を勧めた人間も罪に問われる時代、組織のトップである社長が黙認どころか勧めていたなんて知れたらどうなるか、分かってる?
もっと自覚持ちなさいよ!

マジ、キレそうだったわー。

それから、会計のとき。
社長がまとめて払ったのはいいけど、その場で「弓月さんとAさんとBさん以外の人、3000円ずつね」と言った。
上述の同僚が気を遣って「集めるのは、また今度でもいいですか?」と言ったけど、社長はすぐ回収したかったようで、「え? 今じゃだめなの?」と不満げだった。それで、私と新入社員以外のみんながお金を出した。
恐縮した新入社員のAさんが財布を出そうとするので、私が「私たちはいいって言われてるから、大丈夫だよ」と止め、支払ってくれた同僚たちに「ごちそうさま」を言った。
それまで、歓迎や送別会のときは幹事が立替払いし、主役(歓迎や送別の対象者)に金額を知られないよう、後日主役がいないところで各人が幹事に支払っていた。
私たちはそうやって、暗黙のルールの下、スマートにやってきたのだ。
お金を出してもらっている立場上、私が怒ることではない。
でも、これまで私たちが築いてきた「気遣いのルール」を社長のデリカシーのなさにぶち壊された気がして、不愉快だった。
自分たちの歓迎会で社長の器の小ささを見せつけられた新入社員たちも、気の毒だった。
幹事だって、自分が払おうと思っていたところを、社長を立てて、支払いを譲ったんだろうに。

そして、退職後、離職票やら健保の資格喪失証明書やらがなかなか届かなかった。
離職票がなければ失業手当が申請できないし、資格喪失証明書がなければ国保に切り替えできない。
最後の給与が確定してから、と言われていたので、給料日まで待ったけれど届かず、しびれを切らして会社に電話した。
そしたら社長、「あれ、まだ届いてなかった?」だと。
会社には総務的なスタッフがいないので、入社や退職の手続きは社長がおこなっている。一部は外部に委託しているようだけど。
普通そんなことは社長の仕事じゃないし、忙しいのにそんなことまでやらなければいけないのは大変だと思うけど、総務の部署を置かないのは社長の責任なんだから、しっかりしてほしいものだ。
で、調べてくれた結果、「今日、送ります」と。

あんた、そば屋か! 忘れてたのか!?

(ところで、そば屋というのは本当に「いま出ました」なんて言い訳をするものなんだろうか?)

資格喪失証明書は翌日ちゃんと届いたので、まぁ良しとする。
離職票は業務の委託先から送られるとのことで、もう少し待つことになりそうだ。
そもそも、離職票については社長が委託先に頼むのを忘れていたんじゃないかと、私は疑っている。
社長は忘れっぽいし、自分が言ったことも忘れて朝令暮改なんてしょっちゅうだったから。
資格喪失証明書が届いてすぐ区役所へ行き、国民年金と国保の手続きをした。
やっと保険証が手に入ったぜ!

これを書いていて思い出したけど、8月下旬にやった健康診断の結果がそろそろ出るはずだ。もう出ているかもしれない。
ちゃんと送ってくれるのかなあ。
また催促の電話しなきゃいけないのは嫌だなあ。

というわけで、長々と社長の愚痴でした。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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