月に舞う桜
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2016年01月11日(月) |
大人であるということ |
昨年末、美容院に行ったとき、成人式の話になった。 成人の日は、朝4時、5時にお店を開けるそうだ。以前、新成人がもっとたくさんいた頃は、朝3時から予約を入れていたらしい。 大変ですねぇ、と言う私に、美容師さんは笑って返した。
「でも、お客さんの一生に一度の記念の日にきれいになってもらって役に立てる仕事だから、苦にならないよ。一年に一回のことだし。これが毎日だったら嫌になっちゃうけど」
あぁ、いいな、と思った。 こういう仕事への姿勢、素敵だな。 人を笑顔にできる仕事は、本当に尊い。
成人の日になると、「大人の自覚を持って」とか、「これからの社会を担う責任」とか、いろんなことを言う先輩オトナがいて、確かにそれはその通りなのだけど、私はちょっと違うことを考えている。
大人とは、自分の人生を自分で引き受けつつも、いざというときに人を頼れるということ。 そして、差しのべられた手に気づくことができ、手を差しのべてくれた他者を信じられるということ。
これから先、絶望することも、死にたくなることだってあるかもしれない。 あったっていいんだ。 そんなとき、本当に掛け値なしに自分のことを想って手を差しのべてくれる人を信じられる力が、ほんの少しでもあれば、いい。
大丈夫。
新成人も、未来の新成人も、とっくに成人した人たちも、私も、差しのべられた手を握り返す強さを持てますように。
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