月に舞う桜
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2015年09月05日(土) |
Mr.Children Stadium Tour 2015 未完(1) |
日産スタジアムで行われたミスチルのライブに行った。 何日も雨が降り続く中、この日だけが、晴れ。開演を待っている間なんて、日差しがまぶしくて暑かった。一緒に行った同僚と、「私たちの日ごろの行いだね!」と言って笑い合った。 案内された車椅子スペースは下手側スタンドで、これまでの日産スタジアム経験の中では、一番ステージに近かった。
≪セットリスト≫ 1. 未完 2. 擬態 3. ニシヘヒガシヘ 4. 光の射す方へ 5. CHILDREN’S WORLD 6. 運命 7. FIGHT CLUB 8. 斜陽 9. I can make it 10. 忘れ得ぬ人 11. and I love you 12. タガタメ 13. 蜘蛛の糸 14. REM 15. WALTZ 16. フェイク 17. ALIVE 18. 進化論 19. 終わりなき旅 20. 幻聴 21. 足音〜Be Storong
===アンコール=== 22. I wanna be there 23. overture〜蘇生 24. fantasy 25. Tomorrow never knows 26. innocent world 27. Starting Over
いやぁ、もう、圧巻のセットリストですよ! 私、日記にセットリストを載せるとき、いつもは番号を振らないんだけども、思わず番号をつけちゃったもの。 27曲、たっぷり3時間半。なんてコスパが高いんだ! それも、ただ曲数が多いんじゃなくて、最新アルバムの曲もふんだんにあり、定番曲も古い曲もあり、「おお、この曲きたか!」って驚きもあり。しかも、全部、私が好きなのばかり。 ニシヘヒガシヘとか、 and I love youとか、タガタメとか、ALIVEとか、蘇生とか、もう本当に嬉しすぎるラインナップだった。
ミスチルのライブは、1曲目が始まる前にスクリーンにストーリー仕立ての映像が流れるのだけど、今回は鳥の羽根だった。「この1枚の羽根は、どうして落ちたのか。銃に撃たれた鳥のものかもしれない。それとも、ただ羽根が抜け落ちただけで、鳥はいまも生きているかもしれない」というようなナレーションが英語で流れ、スクリーンには日本語の字幕。 結構印象的な映像とナレーションで、「何を言いたいんだろう?」って、ずっと考えさせられるような内容だった。
ライブが「未完」で始まったのは、まあ、ツアータイトルでもあるから当然かもしれないけど、「ミスチルはまだまだ前へ進むぞ!」っていうバンドとしての気持ちの表れのように思えた。 2曲目の「擬態」で、早くも「今日は最高のライブに違いない!」と確信する。勢いがすごい。手放しで、気持ちが晴れやかになる。 「ニシヘヒガシヘ」は、私としてはミスチルの中で1,2を争うノリノリ曲。「CHILDREN’S WORLD」は知らない曲だった。デビュー前だかデビュー直後だかにやっていた曲らしい。ミスチルの曲は、まだまだ知らないのも結構あって、歴史の深さを感じる。
確かここらへんで、JEN(鈴木英哉)によるメンバー紹介があった。JENは、相変わらず表情も喋り方も仕草もひょうきんだ。桜井さんのMCだけだと、熱すぎたり深すぎたり神妙すぎたり反資本主義すぎたりする感が否めないけど、JENの喋りが入ることで、ライブの場が和む。楽しい。それによって、桜井さんの熱いMCにも深く聴き入りたいって気持ちが湧いてくるんだよね。 JENに紹介されて、田原さんと中川さんも一言ずつあいさつした。そのたびに、客席から大きな歓声が上がる。すると桜井さん、「さっきから俺はずっと一生懸命歌ってるのに、田原と中川が一言発しただけで、すっごい盛り上がるんだよね」と、ちょっと拗ねぎみ。なんかかわいい。
「運命」のあと、「いまの曲(=運命)みたいに甘い夢を見てるだけじゃなく、何かと戦っている皆へ」と前置きをして、「FIGHT CLUB」を歌ってくれた。「FIGHT CLUB」は、初めて聴いたときは何てことなかったのだけど、聴けば聴くほど好きになる。 私は、「FIGHT CLUB」みたいに、何かと戦っているわけでも、戦わなきゃって思いがあるわけでもない。でも、人生には一筋縄ではいかないことがたくさんあるから、戦わなきゃならないときがあるのは確かだ。それは、外の敵と、というより、自分の中のかなしみや絶望との戦いだったりするんだけど。で、「FIGHT CLUB」を聴くと、戦える! 戦ってもいいんだ! って強い気持ちになる。
「I can make it」は、また違う意味で強くなれる曲だ。明るい光を示してくれてるわけじゃない。でも、暗闇のふちでも、孤独の中でも、自信なんてなくても、絶対に前に進めるって、きっといつか小さな光にたどり着けるって、そんなふうに信じる強い気持ちを持たせてくれる。苦しい状況の中でも強い意志を失わない、そんな曲だ。
そのあと、ステージからアリーナ席へ伸びた花道の先端にメンバーが出てきた。少しでも近い場所で…と。 だけど、桜井さんはこうも言っていた。リハーサルをやっているときは、なんて広い会場なんだと思ったけれど、ライブをやってみると、一番向こうのスタンド席も全然遠くに感じない、と。 ちなみに、この日の客席は6万9千人が入っていたらしい。
ここまでは強い曲が多かったから、ここからしばらくはラブソングを、と言って、花道の先端で、まずは「忘れ得ぬ人」。最新アルバム『REFLECTION』の中で、いまのところ私が唯一泣いた曲だ。この曲の歌詞のように、どこにいても何をしていても心の中にいる人なんて、今の私にはすぐには思い当たらない。それでもこの曲がこんなにも心に沁みるのは、かつては私にもそんな人がいたからだろうか。それとも、いつかそんな人に出会えることを私が願っているからだろうか。いや、もしかすると、すでに出会っているのかもしれないな。まだ気付いていないだけで。 この曲に込められた深い想いに心が温かくなって、そんな自分は、まだまだ捨てたもんじゃない、と思う。
「忘れ得ぬ人」のあと、桜井さんが語った。 ラブソングを何曲か歌うにあたって、愛とは何だろうかと考えたそうだ。で、愛には男女の愛もあれば家族愛もあるし、人類愛もあるし…ということとか、桜井さんが感銘を受けたブッダの話などを交えつつ、最後は「愛って、想像力のことじゃないかと思ったんです」と締めくくった。 なんか、すとんと落ちた。 私は、愛とは相手の幸せを祈ることだと思っている。相手にとって何が幸せなのかを考え、知るには、想像力が必要だ。 それから、私はずっと、他人のことは絶対に理解できないと思っている。理解できないから、理解しようとする努力が必要で、理解できないから、想像力が必要だ。 他人というのは、自分の思考の範疇を超えた存在であって、自分はすべてを理解できるわけじゃない。だから、せめて想像力を持たなければ。そんな謙虚さを持つことから、愛は始まるんじゃないだろうか。
「いろんな想像力を掻き立てて、聴いて下さい」と言って、「and I love you」に繋がった。 そして、次に来たのは、「タガタメ」。 この曲、ダメなんです、本当に。問答無用で、絶対にいつも泣く。出だしの「ディカプリオの出世作なら〜」の「ディ」を聞き取った瞬間に、涙がじんわりしてしまう。ミスチルに限らず、私の好きなありとあらゆる曲(もちろんXの曲も含めて)の中で、3本の指に入る”泣ける曲”だ。
聴きながら、やっぱり涙して、最近の社会情勢や痛ましい事件の数々が頭の中を駆け巡った。 かなしいことなんて起きなければいい。誰も、加害者にも被害者にもならなければいい。けれど、現実はそうもいかない。例えば、とてつもなく大きなかなしみに直面したとき、私はどうするんだろう。誰かを憎む以外に、何ができて、何をすべきなんだろう。
ミスチルのファンじゃない人たちにも、ぜひ聞いてほしい1曲です。
「タガタメ」の歌詞↓ http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=B06658
(続く)
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