月に舞う桜
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2014年10月03日(金) |
【10/1】XJAPAN 横浜アリーナライブ2日目(2) |
Born To Be Freeのあとメンバー全員が退場し、しばし待つ。 1日目と同じく、それほど長く待たされた感覚はなく、YOSHIKIが登場した。 YOSHIKIのピアノソロ(即興→白鳥の湖→unfinished)を経て、ドラムソロへ。ドラムセットの中、YOSHIKIの両脇に置かれたキーボードは1日目と違って調子が良く、YOSHIKIはピアノとドラムを行き来する必要がなく、ドラムの合間にキーボードをガンガン弾いていた。
ドラムソロの次はForever Love、そしてI.V.へ。 I.V.の前、YOSHIKIがかすれた声をもろともせず何度も「We are!」と叫んでいた。その間、Toshlがドラムを叩く。 お色直ししたSUGIZOの衣装は、全身トゲトゲしていて、触ったら痛そう。
Xのとき、映画館も数名がXジャンプしていた。 間奏でのメンバー紹介は、HIDEとTAIJIも入れて7人。2008年の復活ライブ以降、Toshlによるメンバー紹介がしばらくはHIDEを含めた6人分で、2010年の日産スタジアムライブからはTAIJIも加えていて、だんだんメンバー紹介の時間配分が厳しくなっている印象。頑張れ、Toshlくん!
Xのあと再びアンコール待ちの時間を経て、YOSHIKIとToshlの2人だけが登場した。 YOSHIKIがピアノでDAHLIAを弾いたけれど、この日はToshlは歌わず、流れで「戦場のメリークリスマス」を少しだけ弾いてくれた。なぜ、そのチョイス? それから、2人が何やらごにょごにょと内緒話をしたあと、YOSHIKIがSay Anythingを弾いてToshlがマイクを客席に向けるので、歌う。あの内緒話は「Say Anythingでもやる?」「そうだね」ってところだろうか。
YOSHIKIがステージ上の階段に腰かけたので、Toshlも隣に座る。
YOSHIKI「どう、Toshl、久しぶりのコンサートは」
Toshl「えっ、こういう時間なの?」
客席のあちこちから歓声が上がっているから、Toshlの声が聞こえなかったようで、YOSHIKIは「何?」という感じに体をToshlに傾ける。
Toshl「こういう、二人きりの時間なの?」
YOSHIKI、やっぱり聞こえず、耳の遠いおじいちゃんみたいに、Toshlの口元に耳を寄せる。
Toshl「仲良しこよしの時間なの?」
ヤバい、そのセリフに萌えて、鼻血出そうだ! でも、肝心のYOSHIKIは聞き取れておらず、Toshlの顔をじっと見ている。
Toshl「どんだけ耳が遠いの?」
しびれを切らしたToshlは、マイクを通してそう言ってから、マイクなしで(おそらく同じセリフを)YOSHIKIに語りかけた。
YOSHIKI「近くにいると、遠くに響いて聞こえないんだよね。(俺の声)聞こた?」
Toshl「ってか、何言ってるか全然分かんない。英語のほうがうまいんじゃない?」
YOSHIKI「昔さ、メンバーミーティングやるじゃん。俺がいっぱい喋って、5分くらいしてから、HIDEが『YOSHIKI、何言ってるか全然分かんない』って。俺が散々喋ってから。それ、5分前に言ってよって。お母さんに……」
Toshl「お母さん?」
YOSHIKI「うん。お母さんに『もっとゆっくり話しなさい』って」
こういう会話を、1本のマイクを交互に使ってやるわけですよ。リラックスして、下らない内容を仲良さげに話す、すみれ組さんたち。ニヤニヤしちゃうよ、まったく。
YOSHIKI「日本でやったのって4年前だよね。そのあと、どこ行ったっけ?」
Toshlが首を振る。Toshlはマイクを持っていなかったけど、WOWOWでToshlの口元を観たら「覚えてない」って言っていた。覚えてないんかいっ!
YOSHIKI「覚えてるよ。went to Los Angeles,went to Oakland,went to Seattle……」
このあと、YOSHIKIは「went to」を繰り返して、北米、ヨーロッパ、南米、東南アジアと、見事に全ツアーの全公演を列挙したんである。東南アジアツアーの最終公演であるバンコクまで言い終えたときは、客席から歓声と拍手が起きた。全部覚えてるなんて、さすがYOSHIKI! Toshlも見習ってもらわないと。ってか、Toshlはその前に歌詞を覚え……(以下略)。
YOSHIKI「そして、ついに!」
YOSHIKIはそこまで言って、Toshlにマイクを渡した。 ところがToshlくん、「ついに?」と真顔でYOSHIKIに聞き返した。
YOSHIKI「ついに日本に帰ってきたぜ、でしょ!」
YOSHIKIに言われて、はっと気づくToshlくん。
YOSHIKI「ついに!」
Toshl「ついに日本に帰ってきたぜーーーっ!!」
仕切り直しで、叫ぶToshlくん。
Toshl「そして、いよいよこれから……」
YOSHIKIにマイクを渡す。が、今度はYOSHIKIが「え?」と首をかしげている。ヤバい、YOSHIKI、素だよ、素! おいおい、大丈夫か、このオッサンたち。 ToshlがYOSHIKIに耳打ち。で、YOSHIKIが「あ、そうか!」と膝を打つ。
Toshl「ちょっと待って! テレビ、一回消して! 映画館も回線切って! いまのは、なし!」
Take2……いや、Take3か。
Toshl「ついに日本に帰ってきたぜーーーっ!! いよいよこれから!」
YOSHIKI「マディソン・スクエア・ガーデンに行ってくるぜーーーっ!!」
やっと完結した。 この2人のコントは本当に面白すぎる。萌える。
そのあと、たぶん、客席から「東京ドームでもやって!」っていう声が上がったんだと思う。それに答えるYOSHIKI。
YOSHIKI「東京ドーム? やりたいよね。でも、やらせてくれるかなあ。皆がジャンプするから……まあ、俺がジャンプさせてるんだけど。皆が署名してくれたら、やらせてくれるかも」
Toshlが、何事かをYOSHIKIに向かって言う。
YOSHIKI「何? 署名はどこに送ればいいのかって? さすがToshl、言う事が現実的だね。送り先はいろいろあるじゃん。Toshlのフェイスブックとかさ、YOSHIKIのフェイスブックとかさ、SUGIZOのツイッターとかさ、PATAの家とか、HEATHが行く飲み屋とか」
PATAの家! よし、署名はPATAの家に送りつけよう!
ここまでのほのぼのとした笑いの空気から一転、YOSHIKIが真面目な表情で語り始めた。
YOSHIKI「X……XJAPANは、本当にいろんなことがあって、今こうして、ToshlとPATAとHEATHとSUGIZOと、そして皆と、ここにいられることが本当に夢みたいです。4年前の日産スタジアムのコンサートで、俺たちはXJAPANという翼を持って、皆が風になってくれるから、俺たちはその風に乗って世界に羽ばたいて行ける……と言ったと思います。XJAPANという翼はボロボロだけど、傷だらけだけど、皆がこうやって応援してくれる限り、前に進んでいくので、これからもよろしくお願いします」
涙を流しながら、かすれた声で、YOSHIKIは関わっている人たち全員に向かってお礼を述べた。
YOSHIKI「今回のコンサートを実現してくれたエージェント、プロモーターの方たち、アメリカからたくさん来てくれた照明さんや裏方さん、本当に多くのスタッフの方たち、ありがとうございます。そして何より、こうして集まってくれたファンの皆、今日はここに来れなかったけど映画館で観てくれている人たち、それから、覚悟を決めて、テレビの前で……WOWOWで観てくれている人たち、本当にありがとうございます」
YOSHIKIは「ありがとう」と「よろしくお願いします」を繰り返して、頭を下げた。それが、彼の偽らざる気持ちなのだろう。
PATAとHEATHとSUGIZOも登場して、ENDLESS RAINを演奏した。 1日目のENDLESS RAINではステージに立ちつくしたまま歌えなくなってしまったToshlだけど、この日はしっかり歌えていた。それが、何より安心した。 以前のライブでは、正直、ENDLESS RAINを聴くのも歌うのもちょっと飽きちゃったなあと感じていたけれど、この日は純粋に感慨深くて、私も心から一緒に歌えた。
自分でも、不思議に思う。何でこんなにも、Toshlの声に魅了されるんだろう。 Toshlより歌がうまくてToshlより安定感のあるボーカリストは、たぶんたくさんいる。でも、Toshl以上に私の心に響くボーカリストは、いない。 何でだろう。何でかな。 ずっとずっと、幸せに歌っていてね。そして、もしも歌えなくなったとしても、生きていてくれればそれだけでいいよ。
ENDLESS RAINが終わったとき、いろんな想い全部ひっくるめて、「あー、良かった」と思った。
SUGIZOのバイオリンが繋いで、ART OF LIFEへ。 5人が全身全霊で歌って弾いて叩いて、1日目と同じように、Toshlの、魂の奥底から絞り出すような「in my life〜!」で幕を閉じた。
曲が終わった瞬間、YOSHIKIがドラムの後ろで仰向けになった姿がスクリーンに映し出された。疲れ切って、肩で息をして、でも、その顔にはやり切った充実感がみなぎっていた。 それから、YOSHIKIが立ち上がって白いシャツを羽織ろうとするんだけど、袖も裾も長いもんだからうまく着れなくて、ステージ上の階段に腰かけていたPATAがそんなYOSHIKIを見かねて駆け寄り、シャツを着せてあげた。そして、二人でがっちり握手。その姿が、微笑ましかった。PATAは、ここぞっていうときにものすごく深いやさしさを見せてくれるから、好き。
メンバーそれぞれ、思い思いに客席に手を振ったりペットボトルを投げたりして、そのあと5人で客席に背を向けて並び、客席も込みでの写真撮影。
2日間、いいライブを見せてくれて、ありがとう。 どうか、くれぐれも体に気を付けて、MSGに行ってらっしゃい!
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