月に舞う桜
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2014年09月30日(火) |
【9/30】XJAPAN 横浜アリーナライブ1日目(1) |
XJAPANの4年ぶりとなった日本単独ライブ2daysの1日目に参戦した。4年前は日産スタジアム、そして今回も横浜アリーナということで、横浜市民としては嬉しい限りだ。
≪セットリスト≫ Miracle(SE) JADE Rusty Nail Silent Jealousy Beneath The Skin PATA vs HEATH DRAIN SUGIZOバイオリンソロ 紅 HERO Born To Be Free YOSHIKIピアノソロ YOSHIKIドラムソロ Forever Love I.V. X -アンコール- ENDLESS RAIN ART OF LIFE(後半) Forever Love(SE) Tears(SE)
横浜アリーナと言うと、車椅子用のスペースが良い位置というイメージなのだが、今回はサイド(SUGIZO側)の2階席だった。ちょうど目線の高さに柵があって、ちょっと屈まないとステージが見にくい。そして、位置的に、ステージ後方の大スクリーンの右のほうが見えない。まぁ、いたしかたないか。
19時15分、定刻より少し遅れてMiracleが流れる中、YOSHIKIが登場した。ドラムの椅子に立ち上がったYOSHIKIは、その姿が見えなくなるほどの眩い光を浴びて、神々しい。 4年前、日産スタジアムで初めてMiracleを聴いたときは、この曲が怖かった。個人的に苦手な曲調なので。でも、今はもうこの曲にも慣れて、Amethystと同じように、「これから始まるライブへの期待と高揚」を体中で感じられる。
YOSHIKI以外の4人も登場して、JADEのイントロが始まった。ステージの前方と後方からは、炎とスモークが上がる。この曲から始めるなんて、なかなか攻撃的でいい感じだ。
スクリーンに大きく映ったToshlは、若返って見えた。やっぱり精神的なものって表情に現れるんだなあと思いながら、その姿を見つめる。たとえ一生の痛みは消えなくても、怯えながら過ごさなければならない日々は、もう終わったんだ。楽しそうに輝いた表情で歌うToshlを見て、安堵した。 おかえり。よく、帰ってきてくれたよ。
Toshlの髪形、左側は少し編み込んでいて、右側は控えめに跳ねていた。新しい髪形、なかなかいい! HEATHもそうだけど、アンシンメトリーな髪形にするとカッコいいよね。
JADEのサビで、Toshlがスタンドマイクごと客席に向けてきた。 スタンドマイクごと、ってところに驚きつつ、「もう歌わせるんかいっ!」と突っ込みながら、まだ温まり切っていない喉で頑張って声を張り上げた。
JADEのあと、Toshlが「ついにXJAPANが帰ってきたぜーーーっ!」と叫んだ。 そして、間髪入れずにRusty Nailのイントロ。 Rusty Nailでも、ちょいちょい客席に歌わせるToshlくん。自分も口元を動かしながら(ああいうときって実際に歌ってるのかな、それとも口パクなのかな?)、ニコニコ顔でマイクを向けてくる。 「いやいや、ニコニコしてる場合じゃないよ! お前が歌えよ!」と思うけど、お腹を指して「腹から声出せ!」のジェスチャーされたら、腹から声出さないわけにいかない。
Rusty Nailが終わっても、YOSHIKIがドラムがんがん叩いたり、ギターもギュイーンって音をかき鳴らしてて、みんなかなり気合が入っている。 確かこのタイミングで、Toshlが「横浜!」って叫んでくれた。4年前の日産スタジアムでは「会いたかったぜ、ニッポン!!」としか言ってくれなくて、「横浜!」とは叫んでくれなかった。今回、長年の念願だった「横浜!」をやっと聞くことができて、嬉しかった。
YOSHIKIがピアノで即興メロディーを弾いて、Silent Jealousyのイントロへ。 ライブでおなじみ、Toshlがサビをアカペラで歌う。 このアカペラ、かなり気迫がこもっていて、どこまでも伸びて行った。スポットライトを浴びて、体の奥から魂の歌声を放つToshl。「ああ、私は今日これを聴きに来たんだ」と思った。 YOSHIKIがイントロを弾いているときは会場中から歓声が上がっていたけれど、Toshlの声が降ってきた瞬間に、しんと静まり返った。 ほらね、やっぱり、XJAPANのボーカルは貴方しかいないじゃない。怒号のような大歓声を一瞬で静めてしまえるのは、貴方のその声だけだ。 「聴かせるSilent Jealousy」から、一変して「盛り上がるSilent Jealousy」へ。Toshlは、ときどき客席にマイクを向けながら、PATA、HEATH、SUGIZOそれぞれに体を寄せて歌っていた。間奏では、YOSHIKIにくっついて、シンバル叩いたりして邪魔をする。 私は、歌いながら、泣いた。ここにこうして一緒にいられることへの感謝と、嬉しさと、安堵と、いろんな気持ちが激しく渦巻いて、号泣した。
Silent Jealousyのあと、Toshlが「なかなかいいぜー!」とか、「お前たち、相変わらずかわいいぜ」とか言いながら、ご機嫌。そして、「そんな、かわいいお前たちに、新曲のプレゼントだ!」と言う。
Toshl「新曲は、作詞はYOSHIKI、作曲は……SUGIZO!!」
SUGIZOが、手を挙げて歓声に応える。その動きは、相変わらずセクシーだ。 新曲ってHEROのことだと思ったから、嬉しい誤算。 曲の初めにToshlがタイトルを叫んだけど、聞き取れず。あとで10/1のWOWOW放送を確認したら、Beneath The Skinという曲だった。 ぶっちゃけ、全編英語歌詞なので全然聞き取れなくて何言ってるのか分からない。その上、初めて聴いたので、曲の感じをすぐには掴み切れなかった。 でも、まず思ったのは「あ、YOSHIKI節じゃないな」ってことで、SUGIZOっぽくてカッコいいとも思った。 激しいロックなんだけど、今までのXJAPANの曲とはちょっと違うテイストで、洋楽っぽい。 XJAPANがちゃんと前に進んでる感じがした。
SUGIZO作曲のBeneath The Skinを聴きながら、「私たちは、生きてるんだ」と強く思った。
私たちは生きてるんだよ。 生きているから、進まなくちゃならない。HIDEがいた頃と同じ場所にずっと留まっているわけにはいかない。 SUGIZOは、HIDEの代わりなんかじゃない。 新しい風は、新しい道を示してくれる。
Beneath The Skinが終わると、PATAとHEATHだけがステージに残ってソロ対決を始めた。 まずはPATAのギターソロ。続いて、HEATHのベースソロ。PATAが、自分の演奏を終えてHEATHの方を手で指すときの、HEATHに敬意を表してる雰囲気が好き。 HEATHは、いつ見ても、髪形も衣装もたたずまいもカッコいい。そして、個人的には何と言っても二の腕!
ギターソロとベースソロを交互に2回くらいやったあと、Toshlが登場、通常はSUGIZOがいる位置にHEATHが立って、3人でDRAINをやった。 サビでは、ちゃんとHIDEの声が聞こえた。
入れ替わりでSUGIZOが登場、バイオリンを奏でる。 何度も言うけど、SUGIZOは所作も音も表情も本当にセクシーすぎて、心を打ち抜かれる。 そう言えば、いつだったかToshlが「バイオリンの弓を回すSUGIZOのしぐさを真似て練習してる」って言ってたっけ。でもね、悪いけど、Toshlくんにはあの色気は醸し出せないと思うよ!
YOSHIKIも出てきて、ピアノとバイオリンで紅のイントロを弾く。 続いて、Toshlの「紅だーー!!」の叫びとともに紙テープが舞った。 紅、ほとんど客席が歌った気がする(苦笑)。 間奏でToshlがYOSHIKIに体くっつけたりシンバル叩いたりして邪魔してるとき、YOSHIKIがニコニコしながらドラムを叩くのが印象的だった。
紅のあと、Toshlが「YOSHIKIの声聞きたい?」と言って、YOSHIKIにマイクを渡した。
YOSHIKI「元気? あ、そうだ。みんな何か腕につけるやつ、もらった? バッグにしまっちゃわないでね。あとで何か起きるから」
入場のとき、リストバンドが配られていた。先着順だったので、仕事のあとでぎりぎりに着いた私は残念ながらもらえなかったけど(ちなみに、厳密に言うとこのリストバンドはもらえたわけじゃなくて、ライブ後に返却しなきゃいけなかった)。
YOSHIKI「次も新曲で……さっきやったのは随分前に作ったやつで、まあ、これも結構前に作ったんだけど。この前、新宿でゲリラライブやって……ゲリラって言っても、ちゃんと言っといたんだけど」
うん、ごめんね。ゲリラライブのこと、全然知らなかったよ。
新曲だから、みんなで歌う練習を……とToshlが言って、YOSHIKIのピアノ伴奏でToshlがサビの見本を聴かせてくれた。 ……いやいや、見本がうますぎて、私たち、そんなふうには歌えないからね! ただのお手本なのに、Toshlくん、めっちゃ本気出してた気がする。 そのあとToshlがワンフレーズずつ歌詞を言ってくれて、私たちが歌う。Ahh〜のときのToshlの声が、無駄に艶めかしい。 2回練習してから、本格的に曲が始まった。 XJAPANバージョンは初めて聴いた。6月にYOSHIKIのクラシックコンサートで聴いたケイティがボーカルのバージョンは、しっとりと切ないバラードだったけど、XJAPANバージョンはノリノリのバンドサウンドだった。明るめで、Xにしては珍しく、ちょっとポップな感じ。編曲でこうも印象が変わるものなのね。 で、サビは客席も一緒に歌うわけですが、全部英語なので歌詞を覚えきれず、スクリーンに歌詞が出ていたけど、それを見ていたら流れに乗って歌えず、Toshlの指導と練習の甲斐もなく(?)、私はあまり歌えませんでした。ごめんよ、Toshlくん。 でも、なんか、想像していたより楽しい曲調だから、みんなで歌うには良いかも。
HEROが終わると、すぐにYOSHIKIがピアノでBorn To Be Freeのイントロを弾いた。 Born To Be Freeは、初めて聴いたときから好きな曲で、復活後の曲では1番のお気に入りなんだけど、Toshlの本を読んでからは、さらに思い入れが強くなった。 以前の曲はどちらかと言うと、後ろ向きだったり憂いを帯びていたり、「二度と取り戻せないもの」への哀しみや葛藤が表れているものが多い。でも、Born To Be Freeは、タイトルにも歌詞にも、YOSHIKIの強くて前向きな意志とメッセージが込められている。
スクリーンに映った、力強く歌うToshlを見て、泣いた。 おかえり。 貴方は、もう自由だ。これから先も、ずっとずっと。 自由に、羽ばたけ。自由に、どこへでも飛んで行け。どんな遠くの地でも。 私はいつでも、ここで待っているから。
何もかも、全部許せたらいいのにと思った。 私がこれまで憎んできた人たちも、消し去りたい記憶も、すべて許すことができたら、私ももっと自由になれるのに。
いろんな想いが溢れて、泣いた。
曲の後半、YOSHIKIがドラムからピアノに移って伴奏する中、Toshlが一つ一つ言葉を噛みしめるようにサビを歌う。 free to love の love を力の限り伸ばして歌い上げた。 その姿を見つめながら、もしかするとこれはToshlのためのライブなのかもしれない、と思った。 Toshlがいろんなことに区切りをつけて、歌を通してけじめと覚悟を私たちに伝えるための、そんなライブ。
(続く)
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