月に舞う桜

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2014年06月16日(月) YOSHIKI Classical World Tour Part1 東京公演(1)

YOSHIKI Classical World Tour Part1 東京公演(東京芸術劇場)のライブビューイングに行った。
このレポはずいぶん経ってから書いているので、記憶が曖昧な部分もあるけれど、内容が濃くて素晴らしいコンサートだったのでできる限り書き残しておきたい。

セットリスト↓
≪第一部≫
Miracle(SE)
Forever Love
Golden Globe Theme
ROSA(ケイティのヴォーカルあり)
Anniversary
≪第二部≫
Amethyst(ストリングスのみ)
白鳥の湖
Hero(ケイティのヴォーカルあり)
I.V.〜ふるさと
Without You
紅〜ART OF LIFE
ENDLESS RAIN

映画館でのライブビューイングに行ったのは初めてだった。いつかの年末、XJAPANの赤坂BLITZでのカウントダウンライブのライブビューイングは、風邪でぶっ倒れて行けなかった苦い思い出がある。
今回、直前までチケットを譲ってくれる人はいないか探したけれど、東京芸術劇場のチケットは手に入らず。でも、YOSHIKIの表情やピアノを弾く手元がアップで観れたので、むしろ映画館の方が良かったのかも。

夜7時、定刻の開演。
ステージ中央にピアノ、下手にストリングスのメンバー(全員女性でバイオリン4名、ビオラ1名、チェロ2名)、ステージ後ろにスクリーン。
そのスクリーンに、YOSHIKIのインタビュー映像が流れた。父親の自殺がYOSHIKIに与えた影響、YOSHIKIの二面性(激しさと繊細さ)、Xのライブと今回のクラシックコンサートではずいぶん様子が違うね、という話。それから、映像はYOSHIKIの様々なライブ映像に切り替わった。ドームでドラムを壊すYOSHIKI、愛知博のテーマ曲を指揮するYOSHIKI、一心不乱にドラムソロを行うYOSHIKI……。それぞれの場面の音はなくて、代わりにBGMでMiracleが流れていた。
私は、この曲が苦手だ。曲が、と言うより、あの人の声が苦手なのだ。ああいう種類の声はを聴くと、怖くなる。でも、今回でだいぶ慣れたかもしれない。曲に対する怖さもありつつ、これから始まるコンサートへの期待が高まっていった。

大歓声の中、上手からYOSHIKIが登場。少し伸びた髪は、無造作にはねていた。
1曲目はForever Loveだった。ピアノを弾く指先がアップになる。相変わらず、指が細い。
時おり大きく映し出される表情を見て、YOSHIKIも年を取ったなと思った。YOSHIKIは年齢のわりに外見が若いけれど、それでもやはり、確実に年を取っていっている。ステージ用のメイクで隠れてはいるものの、その下の肌は、例えば10年前とは明らかに張りが違うのだ。けれど、その事実は、むしろ私をほっとさせた。生きていれば、年を取るのは当然のことだ。YOSHIKIはきちんと生きていて、きちんと年を取っている。
本当は体がぼろぼろのはずなのに、YOSHIKIを見ていると、この人は死なないんじゃないか?と思うことがある。でも、そんなのはもちろん錯覚で、YOSHIKIだって遠い未来、いつかはこの世を去るのだ。生きとし生ける者は皆、いずれ死を迎える。愛する人の死は悲しいことだけれど、きちんと生きた先に「死ぬことができる」ということは、救いでもあると思う。悲しいことや絶望や儘ならないことの多い「生」の世界。そんな世界に、YOSHIKIだって永遠に縛られているわけではないのだ。

曲の後、MCだったと思う……いや、Golden Globe Themeの後だったかな。ちょっと記憶が定かじゃない。
客席からの「おかえりー」の声に、ちょっとハニカミながら「ただいま」と答え、手を振る。
ツアーで世界を回ってきて、最後は日本に帰ってきて…と、感慨深げ。
で、YOSHIKIの上半身がたびたびアップで映るんだけど、インナーに来てるTシャツの柄が、怖かった! 髪の長い外国人が叫んでるような顔がプリントされていて、その人の周りには赤い血が飛び散っている。ジャケットはクラシックコンサートにふさわしい、きちんとした物だったけど、あのTシャツはジャケットとのギャップがすごかった。と言うか、とにかく、映るたびに怖かったな。

今回は海外用にも撮影をしているらしく、MCを英語でも行わないといけないそうで、日本語で少し喋っては、英語に訳していた。だから、倍の時間がかかるんだよね、と苦笑していた。センテンスごとに訳すときもあれば、一つの単語だけで切って訳すときもあって、だんだん自分が何言ってるんだか分からなくなっていくYOSHIKIであった。

Golden Globe Themeのあと、Violet UKのヴォーカルのケイティが登場した(上手にスタンドマイク)。
YOSHIKIが「映画『聖闘士星矢』の曲を書き下ろして、Heroっていう曲で…」と話したあとにケイティに振ったら、なんとケイティ、「聖闘士星矢のことを話しているのよね? 次の曲はHeroじゃないわよ?」というような意味のことを英語で言うではないか!
ええっ!? と、体をのけ反らせて本気で驚くYOSHIKI。
いやいや、驚いたのはこっちだから!! セットリストはちゃんと覚えようよ!
YOSHIKIは、ケイティが教えてくれて助かった、と礼を言っていた。ケイティもストリングスのメンバーも全員がROSA(映画『GOEMON』のテーマ曲)を演奏するつもりの中、自分だけがHeroを弾こうとしていた、と。
まぁ、YOSHIKIだけが違う曲を弾き始めたら、それはそれで面白かったと思うけど。


(続く)


桜井弓月 |TwitterFacebook


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