月に舞う桜

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2010年08月14日(土) 再会の夜<1>

X JAPAN WORLD TOUR Live in YOKOHAMA 超強行突破 七転八起〜世界に向かって〜

1日目 再会の夜

セットリスト↓
新しいオープニング
Jade
Rusty Nail
ギターソロ〜Love Replica(PATA & SUGIZO)
Say Anything アコースティックVer.(カルテットXJAPAN)
ピアノソロ〜Tears(YOSHIKI)

Born To Be Free
--アンコール1--
Forever Love
I.V.
X(XJAPAN with TAIJI)
--アンコール2--
ENDLESS RAIN
Tears 英語Ver.(SE)
Forever Love(SE)


今回の会場である日産スタジアムは家から近いので、朝グッズを買いに行き、一度帰って、午後また行くことにした。
午後3時半、ほぼ定刻通り開場となった。私は西側1階スタンドの車椅子用スペースへ。照明用の鉄柱が邪魔で、位置的にたぶんPATAは見えないな。ま、ステージが遠いから、肉眼じゃメンバーはほとんど見えないんだろうけど。
言うまでもなく、暑い。でも、曇っていたおかげで、そんなにつらくはなかった。
開演を待つ間、ステージ両脇の大型スクリーンにはパチンコのCMやパチンコ用PV撮影のメイキング映像、それにロラパルーザのライブ映像もほんの少しだけ流れていて、全然退屈しなかった。特に、ロラパルーザの映像をちょこっとでも観ることができたのは、嬉しかった。

開演予定より20分ちょっと遅れた6時前、BGMのLongingが途切れて、ステージ後方のスクリーンが赤や青に揺らめき始めた。
客席が総立ちになった瞬間、会場の温度がぐわっ! と一気に上がった。
人の熱気って不思議だ。そこにいる人数は同じなのに、ぼーっと座ってるのと期待に満ちて立ち上がるのとでは、発する熱気がこんなに違うんだもの。あの一瞬の温度変化を体感すると、気功術ってものを信じざるを得なくなるなあ。

初披露の新しいオープニング曲が流れる。
大聖堂あるいはオペラをイメージさせる歌声が入ったこの曲は、荘厳で、多くの人にとっては、これから始まるライブへの期待を高めるにふさわしい曲なのだろう。
でも、YOSHIKI、ごめんなさい。実を言うと私はこういう曲が苦手なのです。好きとか嫌いとかの問題じゃなく、怖いんです。曲調も苦手だけど、何よりあの声が怖い。何語だか分からない、不安を掻き立てるようなあの声が、どうしてもダメなんです。トラウマみたいな感じ?
映画「2001年宇宙の旅」のモノリスが登場するシーンで流れる曲(と言うか、声)や、ドラマ「相棒」の大塚寧々が出た「バベル」という回で流れた曲なんかも、同じ理由で苦手です。
今回は「本当の復活ライブ」だし、Xの新たな一歩を飾るためにも、ライブのオープニング曲が新しくなったのは良いことだと思うけれど、私はやっぱりAmethystの方が良かったなあ。
ライブの初めにAmethystが流れると、反射的に感極まって涙が流れていたけど、今回は曲が怖いおかげで泣かずに済んだ。
これから、ライブのオープニングは毎回あの曲なのかしら……。

オープニングが終って、メンバー5人がステージに登場。
イントロが出た瞬間、「おおっ!」っと驚いた。
1曲目は、JADE。
初っ端にお馴染み曲ではなくこの曲を持ってくるあたり、彼らの自信の表れでしょうか。
去年ドームで聴いたときは、どんな曲なんだかあまり掴めなかったけれど、今回は曲の全体像がちゃんと把握できたし、歌えないものの、乗り方も分かった。
ToshIが去年に比べて歌い慣れているおかげで、聴きやすかったのもあるかも。去年は歌うのに精いっぱいという印象を受けたけど、さすがにもう板についている感じ。両腕を広げて歌う姿が印象的だった。
ToshIくん、声の調子が良いみたい。
それにしても、YOSHIKIが本当にドラムを叩いている! それだけで、私にはこのライブが奇跡だと思えた。

JADEが終って、ToshIが叫ぶ。

ToshI「会いたかっぜーーっ! 会いたかったぜ、ニッポン!! ニッポーーーン!!!」

あ、そうか。シカゴ帰りだもんね。「日本」なんだね。なんか、ワールドワイドな感じで、いいよね。
でも、横浜市民としては「会いたかったぜ、横浜ー!!」を期待していたので、ちょっぴりガッカリ。
それは、またの機会を待ちましょうか。だから、絶対いつかまた横浜に来てよね!!

ToshI「今日はー! 超強行突破で行くぜー!! スタンドー!! ここまで響かせろーーっ!! アリーナ! アリィーナァ!!! やるときゃやれよーーー!!!」

この「アリーナ!」の「リ」がね、めっちゃ巻き舌なんですよ!
ToshIくん、それはフランス仕込みですか??

続いてRusty Nail。
空がまだ明るいから、いつもの緑の閃光は映えないけれど、この曲のイントロを聴くとやっぱりとてつもなく盛り上がる。JADEのときとは違って、ToshIと一緒にフルパワーで歌う……と言うよりは、叫ぶ。
欲を言えば英語バージョンを聴いてみたかったけれど、日本語ならこうして一緒に歌えるんだから、まいっか。

でね、えーとToshIくん、歌詞間違えたよね!? 2番のサビでも、また1番を歌ったよね!?
わたしゃ、突っ込みたくてしょうがなかったよ。でも、笑顔がかわいいから許す!(←「かっこいいから」じゃないところがポイント)

JADEのときだったかRusty Nailのときだったか、それとも両方だったか、ステージから火が上がって、その熱が私の席まで届いた。ステージがこんなに遠いのに、火の熱さを感じられる。それで、ちゃんと彼らと同じ空間にいるんだなあと実感できて嬉しかった。

今日のToshIは本当に調子が良い。復活ライブのときとは比べ物にならない安定感だ。復活ライブではRusty Nailで声が裏返ってたし、サビがつらそうだった。でも、今回はスムーズに歌いきっている。
復活ライブから2年半の間に、喉がすっかりX仕様に戻ったんだろう。だけど、絶対それだけじゃない。明らかにまだまだ進化しているし、何より精神的なものが大きいのではないかなと思う。13年間の後処理で今だって大変なことはたくさんあるだろうけど、少なくともかなり精神的に解放されているはずだ。それが、歌や声に表れている。

Rusty Nailが終るとステージにはPATAとSUGIZOだけが残り、二人でギターソロ……と言うか、ギターバトル。交互にギター演奏を披露してくれた。
お互いに敬意を表しつつ、「そっちがそう来るなら、俺はこうだ!」って感じに、ギタリストの自信と誇りを良い意味で見せつけ合うようなソロバトル。二人の良さと違いを堪能できて、とっても楽しかった。
2,3回繰り返したあと、SUGIZOがLove Replicaを奏で始め、途中でPATAも加わった。
このとき、今回のライブで初めて泣いた。
難しい事情があっても、こうやってHIDEの存在とHIDEへの想いを示してくれる。言葉がなくても、ギター一本あれば十分なんだ。音楽って、本当に素晴らしい。
選曲がLove Replicaってところが、渋くて良いね!

続いてToshIくんがラフな格好で登場。あのパーカーはソロのオリジナルグッズかな。

ToshI「日本に久々に帰って来たぜー! やっぱり日本はいいな」

うん、貴方たちの帰る場所は、ロスでも他のどこでもなくて、日本なんだよ。これからまた遠くに行っても、日本を思い出してほしい。

ToshIがほかのメンバーを呼ぶ。HEATHは素直に応じたけど、PATAは端っこで手と首を振っていた。

ToshI「PATA、やらないの? やる? やりたくないの? PATAがやらないって言ってるぜー!! SUGIZOは? やらない? やりたくない?」

ToshIにいじられるギタリスト二人。いいねー、この、やる気なさげな感じ。いつもツボです。
そうは言っても、やらないわけにはいかないので、ステージ中央に出て来て位置につくギタリスト二人。……って言うか、当然ながらこっちも早く曲を聴きたいしね。
下手側からPATA、ToshI、HEATH、SUGIZOの順に並んだ。SUGIZOは立ったまま、バイオリンを手にしている。

ToshI「珍しく、カルテットXでいくぜー! カルテットXJAPAN!」

というわけで、カルテットXJAPANによるアコースティックVer.のSay Anything。
Say Anythingは復活ライブでもToshI、PATA、HEATHのアコースティックを聴いたけど、SUGIZOのバイオリンが加わることでそのときより深みが増していた。
それに、何度も言うけどとにかくToshIの調子が良くて、歌声が素晴らしかった。どこまでも、天の果てまで響くような伸びのある声。アコースティックだと、ToshIの声をより堪能できるから嬉しい。

カルテットXJAPANと入れ違いにYOSHIKIが登場。今日は赤じゃなくて青い薔薇を手にしている。
薔薇を客席に投げてから、ピアノの前へ。
個人的には、YOSHIKIの演奏はドラムよりピアノの方が聴いていてドキドキする。胸の奥が締め付けられて、目をそらすことができない。完成されたYOSHIKIの世界にどっぷり浸かって、抜け出すことができないのだ。
しばらくピアノを聴かせてくれてから、曲はTearsへ。
弾きながら、YOSHIKIは何度か客席の方を見て、私たちを促した。それに答えて、Tearsを合唱。
YOSHIKIのピアノと6万5千人のボーカルによる、Tears。
曲の最後、YOSHIKIがいつものセリフを囁くと、そのまま紅のイントロに移行してしまった。
なんだ、今日はTearsは本格的にやってくれないのか。残念。

紅のイントロは、HIDEのギターソロだった。
大画面にHIDEの姿が映し出された瞬間、号泣。
みんな心配していたんだよ。今回はHIDEが出てこないんじゃないかって。でも、こんなところでも超強行突破してくれたんだね。
ステージにメンバー全員が現れて、エネルギー大爆発の紅が始まった。
とにかく歌って叫んで、膝の上のhideちゃんを高く上げた。声を張り上げ過ぎて途中で酸欠になりかけたけど、負けていられない。
ToshIは「何かに追われるよう〜」の2回目を、ライブ定番の「高いキーで着地するバージョン」にした。その張り上げたキーも、とても安定していた。

紅をやりきって、お疲れ気味のメンバーたち。

YOSHIKI「あのさ、暑くない? ここ」
SUGIZO「あっつい!」
YOSHIKI「こんなに暑いと思わなかったよ、俺」

甘いよ、YOSHIKI。恐るべし、日本の夏! だよ。

YOSHIKI「ToshI、何? その服」

YOSHIKIがToshIの衣装に突っ込んだ。
紅から、またToshIの衣装が変わった。インナーはシルバーの(たぶん)タンクトップで、真っ白いジャケットは肩と袖口に羽が付いている。
YOSHIKIには突っ込まれたけど、ToshIは嬉しそうに両腕を横に広げ、後ろを向いてジャケットの背中を見せてくれた。背中には大きな十字架が付いていた。
私はこの衣装、結構好きだな。少なくとも、PVの白い衣装より断然いい!
それにしても、ほかのメンバーは軽装なのに、ToshIくんだけこんな衣装って……暑くないのかしら? 何か腕を見せられない理由でもあるのかい?

ToshI「YOSHIKIは長い間ロサンゼルスに住んでいるので、体がロス仕様になっていて、湿気に弱いんだよ。湿気に弱いYOSHIKI!」

「再会の夜」の名言ナンバー1は、間違いなくこの「湿気に弱いYOSHIKI」で決まりでしょう。
SUGIZOが、扇子でYOSHIKIやToshIを扇いであげていた。

YOSHIKI「気合入れて行くぞー!! 暑いぞーーー!!!」

そ、そうだね。気合い入れないと、この暑さに負けちゃいそうだよね。

ToshI「本当に、こうしてメンバー一同で日本に帰ってこれて、嬉しいぜー! 本当の意味で、帰って来たぜーーーっ!!!」

おかえり、ToshIくん。おかえり、XJAPAN。
私は2月の赤坂BLITZライブが一つの区切りだったと思っているし、ソロのToshIくんはそうなのだろうけど、XJAPANとしては今回が本当の意味での復活ライブなんだよね。
いろいろあったし、今もいろいろあるけれど、こうやって帰って来てくれて、本当に本当に感無量です。

ToshI「そしてこれから、海外にも出発して行きます。みんな、また応援してくれよー!!」

うん、貴方たちがどこに行っても、どこにいても、応援しているよ。

ToshI「それじゃあ、次で最後の曲です……一応。なんせ、あっちぃからなぁ」

あー、ひょっとしてキミたち、暑いから早くアンコール前の休憩を取りたいのかい?

ToshI「それじゃあ、ラストナンバー! 俺たちの新曲行くぜー」

YOSHIKIがピアノでBorn To Be Freeのイントロを弾く中、ToshIがそう叫んだ。

ToshI「みんな、自由になるために生れて来たんだぜ」

そうだね、ToshIくん。誰にも強制されず、誰にも搾取されず、歌いたい歌を自由に歌って、これからは笑って生きていてほしいよ。

YOSHIKIがピアノから離れ、ステージが一度暗転し、ToshIが曲のタイトルを叫んだ。
再びステージが明るくなって、YOSHIKIがドラムを叩く。上から檻が二つ下りて来て、その中で外人のおねえさんがセクシーに踊っている。

この曲、いい! 復活後の曲の中では一番好きだ。
ピアノのイントロはきれいだし、そこから一転、激しい曲調になるのもカッコいい。サビも耳に残りやすいメロディーだし。
曲の途中でYOSHIKIがピアノに戻り、美しく切なく弾いたかと思うとすぐさま腕でガンガン鍵盤を叩いて狂気の音を出す。そしてまたドラムへ。こういうところは、WEEK ENDみたいだ。
間奏でToshIと私たちの掛け合いがある点では、ちょっとオルガスムっぽい。
静と動。生と死のにおい。狂気と美学。Xの多様な面を見せてくれる1曲だと思う。
それでいて、タイトルが表しているモチーフはあくまでも「生」だ。
YOSHIKIが考える「自由」の定義って、いったい何だろう。ふと、そこに興味がわいた。
外人ねえちゃんは檻に閉じ込められているから、自由ではない。でも、檻の中で自由に踊っている。いつか、檻の外に出て本当の自由を手に入れることはあるのだろうか。それとも、限られた自由こそが本当の自由なのだろうか。

それにしても、外人ねえちゃんを大画面に映すのはやめてほしい。あれだけは、いただけなかった。別に、セクシーなねえちゃんを見に来たわけじゃないんだよ。頼むから、メンバーを映してくれ。

Born To Be Freeとともに、ライブ本編が終了。
水分補給しながら、ウエーブやったり「We are X!」をやったりして待つ。


(つづく)


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© 2005 Sakurai Yuzuki