月に舞う桜

前日目次翌日


2010年02月27日(土) ToshI LAST CONCERT<4>

ToshI LAST CONCERT【武士JAPAN】Produced by YOSHIKI
の続きの続きの続き。


ToshI「俺はやりたいんだけど、YOSHIKIが『話そう話そう』って」
YOSHIKI「さっきの曲の、まだ緊張が取れないんだよね」

えつ、どんだけ緊張しとったん??

ToshI「もう、取れた?」
YOSHIKI「だって俺、基本的に突っ込みぎみだから」
ToshI「ゆったり弾くの、ダメなんだよね」
YOSHIKI「ダメじゃないけど」
ToshI「ダメじゃないダメじゃない、ダメじゃねーよ! 何でも弾けるんだよ」
YOSHIKI「だから、さっきの曲とかも葛藤があって、突っ込んじゃいけない。でも、片っ方のYOSHIKIが『突っ込め!』って。闘いながら弾いてたんだよ。闘いながら、感動しながら」

そっか。YOSHIKIも、雨音に感動していたんだ。

SUGIZO「いい曲ですよね」
ToshI「PATA、こうやって言うんだよ?」
PATA「考えとく」
SUGIZO「みんな知らないかもしれないけど、ものすごい緊張するんだよ、こういうほうが。大きいとこで、みんなの前でバン! とやってると平気なんだけど」
ToshI「ということは、東京ドームなんて全然へっちゃら?」
SUGIZO「緊張はしないよ、全然。だけど、静か〜なところで……」
ToshI「ちょっと待って。東京ドームで緊張してる人って、いるの? HEATHは緊張してるの?」

ひーちゃん、コクコクと頷く。

ToshI「あ、緊張してるんだ。ちゃんとHEATHみたいに緊張しようよ、みんな。PATA、酒飲んでる場合じゃないんだよ。酒飲むところじゃねーんだよ」
PATA「いや、それもアリなんだよ。野球観戦は800円でビール飲めるんだから」
YOSHIKI「最初の東京ドームのとき、キャッチボールやってなかった?」
SUGIZO「しかもそれ、発売されてましたよね、映像で」

はーい、持ってまーす!

YOSHIKI「東京ドームの意味分かってんのかよ」
PATA「野球やるところでしょ」
YOSHIKI「今日もさっき、そろそろ出番ですって言われて行こうと思って、東京ドームって、出番ですよって言われてからステージ行くまで10分くらいかかるんだよね。ここ、30秒ぐらいで着いちゃう」
ToshI「僕、YOSHIKI待たせてました」
YOSHIKI「プロデューサーなんで、今日は待ちます。じゃ、曲やりますか」
ToshI「え、もう? YOSHIKI、何か……」
客席「もっと話してー」
ToshI「東京ドームの話が出ましたけど、どうなんですか今後」
YOSHIKI「えーと、そうですね。だから、(ToshIが)声が出なくなったり、(自分が)ドラム叩けなくなったり、いろいろあったんで徐々にね、こういうところから入って行かないと」
ToshI「こういうとこから?」
YOSHIKI「いきなりさ、ドカーンと行くからいけないんだよ」
ToshI「徐々にね」
客席「大阪も来てー!!」
YOSHIKI「行きたいよね。え? 良いとこなのは知ってるよ。おいしいもので釣らないで。俺たち、おいしいもので釣られるんだよね。お好み焼き食べに行っちゃうよ」

そのあと、客席から「名古屋も!」「仙台!」「新潟ー!!」と次々と地名が叫ばれた。
全国レベルで考えたら東京も横浜も同じだろうと思って、「横浜!!」とは叫ばずにいた。
が、「埼玉!」という声がしたんである。全国レベルなら埼玉も東京と同じようなものなのに、なんという度胸! ちっ、私も叫べばよかった。負けたぜ。

YOSHIKI「新潟はコシヒカリだっけ?……だんだん今日のコンサートの趣旨が分からなくなってきた」
ToshI「さよならコンサート」
YOSHIKI「さよならと言うのは、次の扉の始まりということで」

客席から、「おおー」という声と、拍手が起こった。
さすがYOSHIKI、うまくまとめてくれるね。

YOSHIKI「曲やろうよ」
ToshI「はい。じゃあ、みんなでこの曲一緒にやるぜー」
YOSHIKI「本当に今日はToshIのためと言うか、みんな集まってくれてありがとう。えっと、そうですね……(ToshIに向かって)また一緒に頑張って行こうね」

ToshIが、力強く頷いた。
そして、Forever Love。
ときどき、声が出ていなかった。声が枯れ始めていたせいもあるし、感極まったのもあるのだろう。
声がかすれたときは、私たちがみんなで歌って加勢した。
この曲のレコーディングのとき、ToshIはすごく悩んでいたのだろうと思う。97年のラストライブでは、この曲でYOSHIKIと抱き合った。二人とも、泣いていた。
いま、YOSHIKIと抱き合うとしても、二人が泣くとしても、あのときとは全く意味が違う。なんて奇跡なんだろう。

ToshI「どうもありがとよーーーっ!!!」

曲が終って、ToshIが叫んだ。力の限りという感じだった。

(次が最後)


桜井弓月 |TwitterFacebook


My追加

© 2005 Sakurai Yuzuki