月に舞う桜

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2010年02月24日(水) ToshI LAST CONCERT<1>

ToshI LAST CONCERT【武士JAPAN】Produced by YOSHIKI

に行って来たのです、実は!
YOSHIKI mobileでの先行予約が外れたのは、先週木曜日のこと(これは日記にも書いた)。
金曜日、99%ダメだろうと諦めつつも「チケット譲って下さい!」と書き込みしてみた。そしたらなんと、「1枚余ってしまった」と譲って下さる方がいたのである!!
土曜日、交渉成立。
日曜日、ToshIのアルバムが届いたことは日記に書いた通り。が、私があの日まっ先に考えていたのは、日記に書いたようなことよりも、「ライブまでに曲を覚えなくちゃ!」ってことだった。
ライブ前日の火曜日、なんと朝から胃がかなり痛くて体を動かすのがしんどかった。めちゃくちゃ焦った。ライブにはどうしても行きたいし、何よりチケットは会場での手渡しという約束になっていたので、絶対ドタキャンできない。
で、会社を休み、1日じゅう寝ていた。その甲斐あって、ライブ当日の朝には復活していた。

ライブにはhideちゃんも連れて行った。私の部屋でいつも宙をにらんでいるhideちゃん、初外出である。
赤坂BLITZに行くのは初めて。車椅子用スペースは2階のバルコニーだった。
わりとステージが近い! 見やすい! やっぱりドームなんかと全然違うなあと思いながら、テンションが上がる。
キャパが小さいとチケットを取るのが大変だけど、アーティストを断然近くに感じられて楽しめる。

(このライブは、今まで行ったライブの中でも1、2を争うくらい素晴らしく感動的だった。ToshIの声も言葉もXのメンバーとのやり取りも、すべてを記録に残しておきたくて、もう本当に一字一句逃したくないくらいなので、DMMのアーカイブ配信でライブをもう一度観ながら以下を書くことにする)


セットリスト↓

made in HEAVEN
Dear LIFE (SUGIZO)
春の息吹
Story Of A Young Boy(PATA)
eagle sniper (HEATH)
エアポート
武士JAPAN
Unnamed Song (VIOLET UK)
雨音

--アンコール--
Forever Love(XJAPAN)
ENDLESS RAIN(XJAPAN)


客電が落ちて、ToshIがステージに姿を見せて、ピアノの前に座る。その間ずっと、客席からは「ToshIーー!!」「おかえりー」と大歓声。私は、涙がボロボロ出ていた。名前を叫んだらしゃくり上げそうで、声を出せなかった。
1曲目は、ソロデビュー曲のmade in HEAVEN。
感無量。
この選曲は、「自分の原点に、本当の自分に立ち返るんだ」というToshIの決意の表れであるように思えた。
長い長い旅から、ようやく戻ってきたんだ。
ピアノ弾き語りで聴かせたmade in HEAVENは、今年初めまで声が出なくなっていたヴォーカリストだなんてことが信じられないような響きだった。力強くて伸びがあって、深みもある。あの声の深みは、たぶんToshIの心だ。
完全復活、なんてもんじゃない。明らかにパワーアップしている。

「かならず訪れる SUNRISE 
 心が気がつけば 聴こえる声がある」
(「made in HEAVEN」より)

大切なことは、18年も前に歌っていたんだね。
いまToshIは、YOSHIKIやXのほかのメンバーや私たちの声を聴いてくれているのだと思う。声が聴こえるということに、気がついてくれた。
客席から、すすり泣く声が聴こえた。
この曲の歌詞のように、貴方のこれからの道のりに、どうかいつも光がありますように。

ToshI「会いたかったぜーーー!! ついにー、帰って来たぜーーー!! 帰って来たぜーーー!! 今日はお前たちと、ここに来れなかった全国のお茶の間にぃ、全国のお茶の間にー! 俺たちの愛を届けるぜーーー!!!」

おかえり、ToshIくん。
13年前から、今日という日をずっとずっと待っていたよ。

ToshI「今日は、お前たちと有終の美を飾ろうと思う。今日はスペシャルなバックバンドを用意した。まあ、所詮バックバンドだけどな」

そ、そうですか、「所詮バックバンド」ですか。世界のXに対して、信頼と愛情に裏打ちされた言葉としてそんなふうに言えちゃうのは、あなただけですな。
Xをバックバンドに使えるヴォーカリストも、世界中であなただけ。

ToshI「どうしてもバックで弾かせて下さいって言うんだ。しょうがないから呼んでやったよ。じゃあ、まずトップバッターは……SUGIZO!」

出てきたSUGIZOと、軽く握手と抱擁を交わす。

SUGIZO「ぜひバックでやらせて下さい」
ToshI「まずはSUGIZOと二人で。曲は、SUGIZOのソロの曲」
SUGIZO「ぜひ、歌って下さい」
ToshI「SUGIZO、曲のタイトルを」
SUGIZO「Dear LIFE。命のための曲です。これは絶対ToshIさんが歌ったら美しいだろうなと思ったんだけど、みんな聴いたら絶対感動すると思うよ」
ToshI「お前、最初からそんなにハードル上げるなよ」

ToshIはそう言ったけど、ハードルはちっとも高くなかった。だって、SUGIZOが言う通り、本当に美しかったもの。
ToshIの歌とSUGIZOのアコースティックギターが奏でる世界は、命への想い、愛おしさ、願いと輝きに満ちていた。サビでの二人のハーモニーには、ぎゅうっと胸をつかまれてドキドキした。
歌詞にはMASAYA色とかぶる部分もあったけれど、響き方がまったく違う。
例えば同じ「美しさ」という言葉でも、発する人や文脈によって、そこに込められた心がどれだけ受け手に伝わるかが変わってくる。ToshIがMASAYAの曲を歌っているときは、「本当に美しいものって、いったい何? 何を思い描いているの?」と半分疑問だった。でも、このDear LIFEを聴いたときは、ToshIとSUGIZOと私たちとで「美しいもの」を共有できた気がした。
他人の曲をこれだけ自分のものにして歌いこなせるんだから、やっぱりただ者じゃないヴォーカリストだ。歌のうまい人でも、他人の曲を歌うと何だかしっくりこなくて「オリジナルのほうが良いな」と思うことが多い。だけど、ToshIが歌うとしっくりきてしまう。前にYou Tubeでイマジンを歌っているのを観たときも、同じことを思ったなあ。

ところで、あのーToshIくん、あなた思い切りカンペ見てますよね?
歌いこなしてはいるけれど、歌詞は覚えられないのね? Xの曲でもときどき間違うんだから、他人の曲じゃ尚更ってか? 確か、「メロディーラインはすぐ覚えられるけど、歌詞は覚えられない」って言ってたもんね。

ToshI「じゃあ、次のどうしてもやりたいって人を呼びます。はい、PATAぞう!」

PATAとも握手と抱擁。が、

PATA「でも、俺そんなこと言ってねーからな!」

石塚先生の反撃。
うんうん、そうだよね。本当はToshIのほうから(YOSHIKIかな?)みんなにお願いして、みんながそれに答えて温かく駆けつけてくれたこと、客席の全員が分かってるよ。

ToshI「じゃあ、どうしてもPATAぞうが弾きたいって言うので」
PATA「だから、言ってねーって!」
ToshI「でも、どうしても弾きたいって言うもんだから」
PATA「どうしても弾きたくねーよ!」
ToshI「お前たちも、こういう大人にはなるんじゃねーぞ」

は、はい。もう大人になっちゃったけど、「そういう大人」にならないように気をつけます(笑)。

ToshI「次の曲は、この間……というか、今日か。24日、僕の新しいCDがリリースされました。その中に入っている曲で、SUGIZOがギターをレコーディングでは弾いてくれました。PATAは弾いてない」

ギターの準備が整わないのか、「あー、ちょっと待って」というPATA。
ToshIが「とても素直に自分の想いを書いた曲。春の息吹という曲です」とタイトル紹介して始めようとしても、「まだです」と遮るPATA。

ToshI「こういう大人にはなるんじゃねーぞ」

ToshIのダメ押し。
PATAの準備ができて、ToshIもギターを持って、SUGIZOとトリプルギターでの春の息吹。
だいぶ暖かな日だった。今年も、もうすぐ春がやって来る。芽が出て、花が咲いて、風が吹いて、新しい道の始まる季節。
ToshIの新たな出発の日にここにいられることを、心から嬉しく思う。

ToshI「これで一回SUGIZOは退却です。SUGIZO、ありがとう! じゃあ、次にどうしても参加したいって言ってた人。HEATH!」

SUGIZOと入れ替わりにHEATHが登場。相変わらず恰好いいっす。

ToshI「HEATH、ベース弾いてくれまーす。HEATH、今日は軽い感じでいきますよって言ったわりに、ばっちりメイク決めてるじゃん」
HEATH「いやいや。さっきまでそこでお茶してたからね」

答えになっとらん……。

ToshI「じゃあ次の曲は、PATAのソロの曲を歌わさして頂きます。Story Of A Young Boy」

ToshIはギターをタンバリンに持ち替えて、楽しそうに歌っていた。
会場から自然と手拍子が起こるような、軽快な曲だった。こういうのを、アメリカンっていうのかしら? ギター一本だけ持って、アメ車か古びた列車に乗って長い道を気ままに行く感じ。
途中、「Oh,Yeah!」ってToshIくんと客席の応酬。学園天国みたいな……って、違うか。一度「おめーたち、音痴だぜ!」って突っ込まれた。だって、「Oh,Yeah!」のたびにToshIくんが高音から低音まで幅広く音程を変えるんだもの、ついて行かれない。

曲が終って、ピアノに座ったToshI。「どうもありがとう。じゃあ次は……」と言いかけたけど、「次は」のところでちょっと声が裏返った。すかさず、客席の前列から「声、裏返ったよ!」と突っ込みが入る。

ToshI「裏返ったな。あんまりシャウトするの慣れてないんだよ」

ぼそぼそ言い訳するToshIくん。いや、今日すでに何回かシャウトしてるから! 今さら「慣れてない」とか言われても……。
でもさ、こうやって客席の声をちゃんと拾って反応してくれるのって、嬉しいよね。ライブハウスならでは。

ToshI「じゃあ次はHEATHの曲。この曲は元々はロックなへヴィーなHEATHの曲なんだけど、今日はちょっと渋いアレンジにしてやってみます。eagle sniper」

この曲、いい! 私好みの曲だ! 闇とか孤独とか、夜の中の一点の灯とか、そんな言葉を思い浮かべる。曲がToshIの力強い声に合ってるのだと思う。
PATAのギターとHEATHのベースとToshIのピアノと声が、絶妙にマッチして世界を作り上げていた。

SUGIZOのDear LIFEも、PATAのStory Of A Young Boyも、HEATHのeagle sniperも、それぞれに魅力的な曲だったし、ToshIのヴォーカリストとしてのいろいろな面を見せてくれた。こういうライブ、ぜひまたやってほしいな。
この3曲とも、オリジナルをじっくり聴いてみたい。

ToshI「じゃあ、加えてまたSUGIZO」

SUGIZOが再び登場。これで、ステージは4人。残るはあと1人だね。

ToshI「次の曲は、これも新しいアルバム『武士JAPAN』の中から、エアポート」

去年、入院中に作ったというエアポート。ToshIの高音を活かした曲で、なおかつ低音もずっしり響く。
旅に出て、帰ってきた場所が「ここ」で良かったよ。

(続く)


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