月に舞う桜
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誰かを真に愛し続けることはなかなか難しいし、覚悟のいることだ。
ときに持て余すほどのこの想いが本物の愛情なのか、「愛している」と思い込みたいだけなのか、ときどき分からなくなる。
どうしても拭い切れない違和感は、いったい何なのだろう。 それが例えば単なる価値観の違いなら、別に構わない。でも、もしも客観的に見て正しくない方向へ行こうとしているのだとしたら、黙って見過ごすわけにはいかない。 愛することも味方でいることも、「無条件に賛同すること」とイコールなわけじゃないもの。 でも、黙っていられないのは愛情ゆえなのか、自信がない。ただ、自分の価値観を押し付けたいだけなのかもしれない。
一度離れてしまったことにも、離れてしまった事実をなかったことにしようとしていることにも、後ろめたさを感じているのは本当。 でも、そんな後ろめたさとは関係なく、心の底から溢れ出る想いがあるのも、本当。
やっぱり切り捨てることはできないと思った。与えてもらったものや、それに対する感謝が大きすぎて。 だから、良いことも悪いことも、目を逸らさずに見つめていくって、覚悟を決めた。そうしなくちゃ、と思った。 愛情は義務感から生まれるものではないし、感謝と愛情は別物だって、分かってはいるけれど。
でも、愛しているよ。
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