月に舞う桜

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2009年05月03日(日) 18回目の夜

※1日目の無敵な夜はこちら

XJAPAN WORLD TOUR Live in TOKYO〜攻撃続行中〜
2日目 18回目の夜〜SPECIAL

東京ドーム2daysの2日目。X/XJAPANとして通算18回目の東京ドーム公演だ。
開場10分遅れ、開演20分遅れ。すごい! 2日間ともわずかな遅れで始められるなんて、ずいぶんと心を入れかえたもんだ!
どうせすぐには開場しないだろうと思って、開場待ちの通路でサンドイッチを食べていた私。「もうすぐ開場いたします」とアナウンスがあったときは、ちょっと慌ててしまった。

セットリスト↓
Amethyst(S.E.)
Rusty Nail
WEEK END
新曲
DRAIN
Longing〜途切れたメロディ アコースティックVer.(TOSHI、PATA、HEATH)
Tears
YOSHIKI & SUGIZO

オルガスム
--アンコール1--
VIOLET UK
DRUMS SOLO
Without you
--アンコール2--
PROLOGUE
I.V.
X
ENDLESS RAIN
Art of Life (後半のみ)
Say Anything(S.E.)
Forever Love(S.E.)

この日はAmethystで始まった。が、初っ端から音が途切れるハプニングがあり、会場がざわついた。
私は「ライブが始まる瞬間」にもだいぶ慣れたようで、泣かずに済んだ。
Rusty Nailのイントロを使ったメンバー紹介から新曲までは、1日目と同じ流れ。新曲の次、1日目はCEREBRATIONだったけど、この日はDRAINだった。この曲、好き。特にHIDEが「DRAIN!DRAIN!」って合いの手(?)を入れてる声が好き。曲の終わりに、TOSHIが気迫のこもった声で引っ張るところも。
泣いても笑っても今日で最後なので、とにかくありったけの声で叫んで、歌った。

アコースティックコーナーでTOSHI、PATA、HEATHが再登場するときのBGMは、1日目と同じくTOSHIの「大切なもの」だった。1日目はインストのみだったけど、この日は歌入りが流れた。
ステージに並べられた椅子に3人が腰掛け、
TOSHI「お前ら大丈夫かーーー! HEATHは? HEATH、気合い入ってるね! 髪の毛、立っちゃってるじゃん!」
この日、HEATHは右半分の髪の毛が逆立っていました。ちなみに、衣装も1日目よりかっこよかった! 私好みのノースリーブで、二の腕むき出し。
TOSHI「PATAちゃんは気合いとは無縁の人だからなあ。PATAちゃん、大丈夫?」
PATA「無理です!」
い、言い切ったね。さすが石塚先生、大物です。他のメンバーとは格が違います。
TOSHI「PATAは気合い入ってないぜーーー!!!」
いいんです、いいんです。PATAが気合い入ってたらいけません。
TOSHI「HIDEちゃんは?」(←右後ろを振り向きながら)
一同「HIDEーーー!!!」
TOSHI「HIDEちゃんは大丈夫かな?」
一同「HIDEーーー!!!」
TOSHI「HIDEは大丈夫だって」
なんか、こういうさりげない一言が泣かせる。きっと、後ろの方から声が聞こえたんだろうね、うん。それとも、何かサインが見えたのかな。
そのあと、SUGIZOもYOSHIKIも気合い入ってます、みたいなことを言って、
TOSHI「TOSHIは大丈夫かなあ?」
一同「TOSHIーーー!!!」
TOSHI「TOSHIは大丈夫かなあ!?」(←さっきより強めに)
一同「TOSHIーーー!!!」
TOSHI「俺は大丈夫だぜーーーーーっ!!!」
1日目と同じパターンだったけど、1日目より叫び方に気合いが入ってた。それに、ここまでのやり取りが1日目よりおもしろかった。
TOSHI「1年ぶりに東京ドームに戻ってきました。この1年もいろいろあって……まあ、またできるかもしれないし、今日が最後かもしれないし……」
一同「えーーーっ!」
TOSHI「俺たちはやりたい!」
えーと、もしや1日目にXジャンプしたことでドーム側から何か怒られたんでしょうか。
でも、いいよいいよ。もしドームが出入り禁止になったら、横浜アリーナに来ればいいじゃん♪……って、そういう問題じゃないか。キャパが違い過ぎるし。
TOSHI「どんなに脅されても、すかされても、弱い自分を強行突破していくぜーーー!!」
えーと、このときの言い方がいつもより冗談ぽく笑いながらだったんですが、何かドーム側から脅しをかけられてるんでしょうか。
でも、いいよいいよ。もしドームが出入り禁止になったら、横浜アリーナに……(以下同文)。

で、Longingを披露。
演奏後、TOSHIがHEATHと抱き合った。泣ける光景。ついでみたいな雰囲気で、TOSHIがPATAとも抱き合った。くすりと笑える光景。PATAが絡むと、なぜか笑えてしまう。
退場するとき、TOSHIがHEATHに飛び乗って、おんぶしてもらってた。TOSHIくん、HEATHのこと大好きなんだねえ。

Tearsを経て、YOSHIKIのピアノとSUGIZOのバイオリンのコラボ。
その流れのまま、SUGIZOがバイオリンで紅のサビを弾いて、TOSHIが歌い始めた。
ごめん。正直なところ、ものすごく複雑な気持ちになってしまった。復活以来、紅は毎回毎回、HIDEの映像つきギターソロから始まっていた。1日目も、そうだった。
SUGIZOが正式加入するっていうのは、こういうことなんだ。SUGIZOはHIDEの代わりじゃなくて、6人目。そうは言っても、HIDEからSUGIZOに少しずつ比重が移っていくのは当然だし、仕方のないことだ。いつまでもHIDEに頼ってるわけにはいかない。それは事実。そして、SUGIZOのバイオリンは、間違いなく新生Xを強力にしている。
ただ、いない人の穴はこうやって埋められていくんだなあって、見せつけられたような気がして、一瞬、本当に一瞬、その場の空気についていけずに取り残された。
でも、これは裏を返せば、「SUGIZOのバイオリンで紅を始める」という新しい試みが大成功だったということかもしれない。
SUGIZOがあまりに情感たっぷりに奏でるから、その音があまりに紅に馴染んでいたから、あまりに美しくて、涙が出そうなほど美しいから、だから複雑だったのだと思う。もし、SUGIZOのバイオリンがいまいちだったら、私は「複雑な気持ち」になんてならず、もっと単純に「嫌な気分」だったと思う。
SUGIZOがバイオリンでAmethystを弾いたら、綺麗だろうなあ。いつか、それで始まるライブを見てみたい。そのときはたぶん、もう複雑な気持ちにはならないと思う。

さて、紅の勢いに乗ってオルガスムに突入。このとき、ステージの左右から巨大なYOSHIKittyが登場した。
DVDで見ていたときは長く感じたオルガスムも、その真っ只中に身を投じて没頭しているとあっと言う間だった。
メンバーが「We are!!」と叫ぶので、腹の底から「X!!」と叫んで返す。YOSHIKIがCO2を撒いて走っていた。
メンバー全員の底知れない気合いに、私たちも束になって応えた。腕と喉が疲れてきて、それでも叫び続ける。自分の声が何を発しているのか分からなくなって、意味不明な叫びになっても。
このオルガスムのときだったか、あとのXのときだったか忘れてしまったけど、PATAまでもが「We are!!」と叫んでいた。PATAの煽りを聞けるなんて、貴重だ。

VIOLET UKからWithout youまでは1日目と同じ。Without youが終わると、YOSHIKIがちょっと腰をかがめて、TOSHIに乗るように促した。TOSHIが飛び乗り、YOSHIKIにおんぶされながら退場。こういう光景は微笑ましくて大好き。本当、おんぶし合うのが好きな人たちだ。

再登場をしばし待つ。
1階スタンド、私の位置からよく見える席にいた男性が「We are!!」と叫んだ。私も含め、周辺の人たちがそれに応えるべく「X!!」と返す。それを何度も繰り返して、男性の声が枯れると、男性の前にいた女性が「We are!!」を引き継いだ。これはなかなか楽しい時間だった。知らない者どうしでも、同じ熱い思いを共有する仲間として瞬時に一つになれるのだ。
そうこうしているうち、客電がついて会場内が明るくなった。これには正直焦って、内心ドキドキしていた。「もしや、何か不測の事態が生じてライブ終了!?」と頭をかすめて、不安になった。悪い意味で、復活ライブの再来かも……と思ってしまったのだ。
が、しばらくするとPROLOGUEが流れてメンバー全員が出てきた。

I.V.のサビを合唱中、花道のすぐ前にいた女性ファンが、なんと花道に上げられた。フランスと韓国のライブを延期してしまったため、そのお詫びの意味で両国から数名ずつ招待していたらしい。花道に上げられた女性たちは、メッセージが書かれた横断幕と花束をメンバーに渡し、なんとなんと、メンバーにハグされた! これには会場中から悲鳴が上がった。

合唱が続く中、
TOSHI「今日はここに来られなくて、パソコンの前で見てる奴もいるぜー! そいつらにもお前たちの声を届かせろ!!全国のぉ、お茶の間にぃーーー!!!」
出た! 全国のお茶の間に!!

I.V.からXへ。2日間ともXジャンプを強行突破。思い切りXジャンプを誘導していた。出入り禁止になろうがどうなろうが、あとのことは知るか!
そして、ENDLESS RAIN。さすがに声が出なくなってきて、途中から歌えなくなった。
ENDLESS RAINのサビを繰り返す私たちを置いて、メンバーはステージから姿を消してしまった。
それでも歌い続けていると……聞こえてきたのは、Art of Lifeのピアノ!!
実は、ENDLESS RAINの時点で、ひそかに「今日はこれで終わるはずがない!」と思っていた。だって、ドームに着いたとき、中からリハーサルらしきArt of Lifeが漏れて聞こえてきたんだもの。だから、今日は絶対この曲をやってくれるって期待していた。

YOSHIKIのArt of Lifeのピアノソロは、ドラムソロに引けを取らないくらいの気迫があって、神がかっている。見つめていると異空間にいざなわれるような、そしてちょっと胸が苦しくなる感じ。
長いピアノソロを経て、他の5人も再登場。SUGIZOが、Art of Lifeを弾いている。
私が行った去年の復活ライブ1日目では、前半だけ演奏された。今回は、後半のみ。これで、私の中ではやっとArt of Lifeが完結したことになる。
この曲は、Xの中でも独特の濃密な世界がある。ライブで聴けるのは嬉しいけれど、あまり頻繁に聴けてしまうのは恐れ多くもある。壮大で神々しいから、もったいない。
TOSHIの、魂からほとばしるような声で、曲が終了。

私の位置からは、3本あるうち下手側の花道が見えやすかった。カーテンコールでは、その花道の一番先までメンバーが一人すつ出てきてくれた。そのときは、大型スクリーンに向かってではなく、肉眼で見える生の彼らに向かって手を振った。
途中、流れていたForever Loveの音量がちょっと不安定になった。Ametystも音が途切れたし、最初も最後もつまづくなんて今日の音響はいったいどうなっているんだと思わなくもないけれど、まあそれはご愛嬌でしょう。
手を振りながら花道をゆっくり歩く彼らを見ていると、自分はなんて最高で最強のやつらに出会えたんだろうと、この巡り合わせに感謝した。たとえ何年待たされても、どんなに心配させられても、何があっても、XJAPANが私にとってかけがえのない存在で、一番のエネルギーの源であることは変わらない。ライブが終ろうとするこの瞬間のこの気持ちに、私にとっての全ての意味が凝縮されている。
SUGIZOが、HIDEを連れてきた。復活以来いつも登場する赤い髪のHIDE人形じゃなく、リニューアルされたものだった。ずいぶん前、たぶんまだTAIJIがいた頃の髪型だ。HIDEちゃん、ひとりだけ若返ったのね。
ステージ上ではなく、真ん中の花道の最前で、6人そろっての万歳。みんな、いい笑顔だった。

4時間以上の強烈なライブだった。
この2日間はあっと言う間、夢のように、嵐のように過ぎていってしまった。帰ってお風呂につかりながら、「あれ? 私、もうお風呂に入ってる……昨日と今日のことは夢だったのかな?」と疑ってしまったほど。
でも、次の日以降、ライブの感動と満足感は現実味を伴う余韻となって、私の心にじわじわ広がることとなる。
願わくば、また最高のステージで、あの6人と時間を共にできますように。
無限の愛と感謝を込めて。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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© 2005 Sakurai Yuzuki