月に舞う桜

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2007年08月18日(土) てやんでぇ

昨日の日記に書き忘れた、セールに行ったときのある出来事を書いてみる。「他人のふり見て我がふり直せ」の意味で。自戒を込めて。

洋服を見終わって、某ジュエリーショップを冷やかしていたときのこと。私は、買う気もないのに指輪やネックレスをじっくり見ていた。並んだ商品の向こうには3人の店員がいて、彼女たちが私に気づかないはずはない。が、彼女たちは私が指輪などを見ている途中から、喋りだした。目の前にいるから嫌でも耳に入る。聞こえてきた内容から判断すると、仕事の話じゃなくて明らかにプライベートの話なのだ。ただの雑談。
え、それっていいの? ありなの? 目の前で客が商品を見ているんですけど?
そりゃあ、私はただ見てるだけだし、話しかけられたいわけじゃない。セールストークされたら、困る。
でも、たとえ冷やかしでも一応お客さんなわけですよ。お客さんが自分の店の商品を見ているときに、平気な顔して雑談を始めるって、仕事をする姿勢としてどうかと思うんですが。
そこは高級ではなく、手ごろな価格でアクセサリーを売っている。気軽にアクセサリーを買いたいときには助かるお店。でも、その店員の態度を見て、「商品が安いと店員(の教育)も安いのね」という偏見を持ってしまった。

で、「まったく、ありえんよ」と思いながら帰ったわけだけど、夜になって自分のことの置き換えて考えたのだ。
私は仕事でオペレーターをやっているけれど、1日中電話が鳴りっぱなしでお客様と喋りっ放しというわけじゃない。それに近い日もあるけど、たいていは閑散時というものができる。
そういう時、隣の人と調子に乗って喋っていて、近くの席のオペレーターのマイクに声が入ってしまうと大変まずい。うちのマイクは感度がいいので、気をつけるようにと日頃から言われてはいる。でも、正直、少し暇になるとついつい忘れてしまうのだ。
自分がお客様応対していないときでも、常に神経を使って周りのことにも気をつけていないとダメなのだ。今日の出来事で、改めてそう思った。
万が一、私の笑い声なんかが誰かのマイクに入ってお客さんに聞かれたら、「商品が安いとオペレーターも安い」どころか、「料金高いのにオペレーター教育がなっとらん!」と思われかねない。
気をつけなきゃ、ほんと。


話変わって今日のこと。
『真夜中の弥次さん喜多さん』のDVDを観た。
愛し合う恋人同士の弥次さんと喜多さんがリアルを探しにお伊勢参りの旅に出るのだが、極限までリアルを無視することでしかリアルは追求できないと言わんばかりに、リアルがぶっ飛んでいる。たまに、ついていけなくなる。
でも、あんなにぶっ飛んだものを映像化できたのはすごい。スタッフやキャストがあれをすべて「理解」して製作したのだったら、もっとすごい。
クドカンの映画だけあって、キャストが豪華だった。
中村勘三郎はあれでいいんだろうか。新聞紙で作った兜かぶって、ほっぺに赤いの塗って、出演シーンはわずか。いいのか? 本当にいいのか? 息子のため(喜多さん役は中村七之助)なのか?
そして、妻夫木聡がどこに出ていたのか分からずじまい。
ぶっ飛んでいて、たまについていけない。でも、ぶっ飛んでいても、それぞれの愛情がきちんと伝わってくる。弥次さんの想いも、喜多さんの想いも、お初(弥次さんの女房)の想いも。たまについていけないけど、ああいう感じは嫌いじゃない。
ピンクの象に乗って二人が旅を続ける場面で、hideを思い出した。ピンクの象は、幻想や妄想の象徴。そう教えてくれたのは、hideだった。
最初のほうで、お江戸の瓦版が南蛮の象を取り上げている。ほかのどんな動物でもなく、なぜ象だったのか、映画を最後まで観ると合点が行くのだ。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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