月に舞う桜
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気がつくと七夕が終わっていた。でも、地元商店街の裏通りには、まだ七夕飾りが揺れている。 期間限定の飾り物は、イベントに向かって人の気持ちを高揚させるけれど、その日を過ぎた途端に祭りのあとの寂しさを漂わせて、何だか物悲しい。
昨日の新聞に、江國香織がお薦めの本を紹介しているコーナーがあったので、切り抜いておいた。 やっぱりこの人の文章が好きだ、と思う。紹介されている小説を実際に読むよりも、この人の紹介文の方が私にとっては魅力的なんじゃないかしら、とも。まだ小説を読んでいないから、断定はできないけれど。 名作かどうかは読んでみないと分からないのだから「名作を読む」という言い方はおかしい、名作は発見するものだ、との言葉に「あぁ、感覚が同じだ」と、嬉しい。名作は個人的なものである、というところも。 いわゆる「名作」と呼ばれる小説であるかどうか、「どれだけ多くの人に読まれているか、どれだけ長い期間読み継がれてきたか」なんてことは、純粋に自分のために小説を選ぶときの基準としては、あまりあてにならない。 本を読むこと、その世界を心の深いところまで染み込ませることは、ごくごく内的なことだから。 私は、帯に「文学史に残る名作!」とか書いてあるよりも、例えば江國香織が薦めている本の方が断然読みたくなる。感性的な繋がりがあるように思えるのだ。
好きな人を介して、世界は広がっていく。 例えば、THE BLUE HEARTSに出会ったときみたいに。
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