月に舞う桜
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2005年11月17日(木) |
装丁でかなりハッタリが効くと思った |
編集さんから『選びし者へ』のCDを送って頂いた。 ソフト自体の確認は何度も行っていたけれど、CD版の現物を見るのは初めてだ。 パッケージとCDラベルのデザインがあまりにも私好みで、思わず感嘆のため息が漏れる。 パッケージには花の写真があしらわれていて、素材自体はFutta NETさんという写真サイトでお借りしているものなのだけれど、その写真を編集さんが程よい具合に加工して下さっている。 デザインそのものはとてもシンプルだけれど、写真のカットの仕方だとか配置の仕方だとか花の淡い色合いだとかが、私のツボに本当に絶妙な感じで、はまったのだ。 自分の書いた小説が初めて単独で商品化されて、それが目の前にある。それだけでもかなり感激なのに、その上こんな素敵なパッケージデザインを作って頂いて、私にはもったいないくらいだ。 もったいないので、「このCDの中身が江國香織の小説ならいいのに」と思った。 ほんわりとしたこのパッケージには、私の大好きな江國さんの美しく流れる文章がぴったりに違いない。 自分が書いた小説なんて、それこそ一字一句覚えているくらいに見飽きているので、私の場合、商品化される頃には既に小説の内容への興味がなくなってしまっている。それどころか、自分が書いたものは、できればあまり読み返したくない。 だから素敵なパッケージににんまりしても、「中身はよく知っているあれだしな」と思うと、わくわくした気持ちも半減なのだ。 そこを、CDを起動させたとき思いもかけず江國さんの小説が出てきたら、何て素敵なんだろう。 逆に言えば、そんなふうに思わせてくれるデザインのCDに私の小説を入れてもらっているのは、とても光栄なことなのだ。
編集さんとは、かれこれ2年以上の付き合いになる。 私の好きな雰囲気や目指しているイメージをよく分かってらっしゃって、とても驚かされる。 物を書くというのはものすごく孤独な作業で、その孤独が苦しみでもあり魅力の一つでもある。 けれども、それを人前に出すまでの過程は決して孤独なんかではないから、そこで苦しみが和らぐのだろう。
届いたCDは、物書き仲間である衛澤蒼さんの作品集『道草』の隣に置かせてもらった。 すごい。何だか私まで一丁前に見える!
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