永遠の半神...楢原笙子

 

 

赦し#6 - 2005年08月29日(月)

その彼とはたった一度きりだった。
バイトも変えた。
なんでだろう・・・。
一方的に弱みを晒してしまったことが、怖かったのかもしれない。
あのまま彼と続いたら、きっとわたしは、
いつも赦してもらう側の人間でなきゃいけない気がした。

あのセックスが必要だったことに変わりはない。
心を病んではいても、身体は歓びに震えることができた。
感じていたあらゆる場所が、
敏感に健やかに生きているわたしを主張していた。
淋しさに怯え、感情に蓋をして、
いつも死が身近にあったはずなのに、
身体はまるで別のものみたいに生きいきと跳ねた。

その実感を得たときから何かが変わった。

同じようにひとりの夜がきて、
後悔に押しつぶされそうになって、
相変わらず薬のお世話になっていても、
まだわたしは生きている。

そしてもう一度恋をしたいと、少しだけ思う。










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