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B-SIDE DISC7 
杏子



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テンションは上がっている。

けれど見上げれば曇天。


それでも旗を掲げる。

ドラクロワの あの女神のように。




今年の6月で私は27歳になる。
最近、実際の年よりも年上に見られることが苦々しくなった。

昔は 年上に見られたくて
実際の年よりも上に見られていたと知ると
内心、喜んでいたものだったのに。

職場では相変わらず私より年下がいない。
だからなのか まだまだ新米気分が抜けない。
できないことを、できないと言ってしまいたくなる。


苦々しい恋愛だった。
ついぞ、その恋愛は私の手を離れてしまった。

言葉にすると 文字にすると
安心する。

安心したくて、また

ここに戻った。






この1年くらい クリムトの絵が気になるようになり
ついに先月 その実物を目にする機会に恵まれた。

画集で見るよりどこか、すすけたような
グレーのもやに包まれたような そんな印象だった。


クリムトを意識したきっかけは「接吻」という絵画から。

この歳になって「接吻」という絵画に引っかかり
惹かれる自分が 少し可笑しかった。

投影していたのだろう。


そして別の「金魚」という絵画で
裸体を晒し 振り返る赤い長髪の女の表情が
どこか自分に似ていることに はっとした。

私は あの彼女ほど美しくはないけれど。


クリムトを通して ファム・ファタル という言葉を知る。


「運命の女」「魔性の女」という意味をもつ

ファム・ファタル




どの恋愛にも 全力だった。

全力で自己を投じ 全力で愛した。








いつだって男の人は優しい。
私の愛した男の人は 皆そうだった。







2010年02月12日(金)
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