まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2011年11月15日(火) ■被災地支援手伝いの報告6…「どうにのなんねもの」と言われたこと

震災被災支援手伝いの話の続きになります。

明日から、いよいよ稼働開始。
夜に、明日何をするかの連絡がくるというので、
待っていると…来ました!



私がやるべき仕事は、
フラッグへの書き込みのお願いと、
被災者との話をすることでした。




具体的に言うと、
11月11日に南三陸町に掲げることになっている、
「絆レインボーフラッグ」に多くの方からの
メッセージを書いてもらう仕事と、
(コンビニの前、病院内、観光ホテル内などで)
その依頼をしながら、現地の方々の、
今何が必要か、どんな状況か、
などコミュニケーションをとる仕事です。

ちなみに、「絆レインボーフラッグ」というのは、
私が参加した、社会貢献共同体ユナイテッドアースの
プロジェクトのひとつで、



「9月以降、被災者の方数名に
 「忘れ去られるのが一番辛い」
 と言われました。
 9月11日以降はすべての情報や、
 支援も激減してきております。

 そこで、2010年「平和」への意識を
 若い世代に大きく広げていくムーブメントとして
 実施して大成功となった
 「絆レインボーフラッグ」プロジェクトを、
 今度は被災地応援バージョンとして、
 「希望」をテーマに実施することにしました」

(詳細は→「東北を忘れないで!」



というものです。
日本全国からメッセージを書いてもらい、
(一部他の国々からも届いています)
それを、南三陸町で掲げるプロジェクトです。


と、話は戻って、私は、短期間しかできないし、
瓦礫処理でも炊き出しでもなんでもしようと
思って行ったので、張り切って出発。

最初に、志津川病院に行き、
病院内の一角で、書き込み依頼できないか、
リーダーが交渉に行きましたが、
この日は混んでいて、バタバタしているので、
遠慮してほしいということで、
この日、病院ではしないことになりました。



それもそのはず。
志津川病院は今、仮設病院で、
こんな感じだったのです。






(手前は仮設トイレ)



(病院の入り口)



(診察室前の待合所)



外はもう寒いので、患者さんたちは、
仮設の待合室に集まっていました。








職員さんは、この仮設病院をあちこち
行き来していて、大変だということが
よくわかりました。
職員さんたちの顔が、
笑顔だったことが幸いでした。
まだまだこんな状態です。




さて、病院がダメだったので、今度は、
道路沿いにあるコンビニの店頭でのお願いをすると、
快諾してくれ、店頭で、
お客さんに、フラッグの書き込みを
お願いすることにしました。



「レインボーフラッグに、
 メッセージ書き込み、
 お願いします」




と、お客さんに声をかけると、
反応はさまざま。



「うん、いいよ〜」
と快くペンを持ってくださる方、
考えて書き込んでくださる方、

「もう、前に書いたよ、
 がんばってね」
と応援してくださる方、

「今日は、忙しいから」
「書くことないから」
とやんわりと断る方、

まったく無視という方など、
いろいろおられました。





コンビニに買い物に来るお客さんも、
現地の方もいれば、三陸町に仕事に来ている方、
ボランティア作業に来ている方など、
などさまざまで、それぞれ、
状況が違うのだろうなと感じられました。

この中で、
いくつか印象に残った出会いがありました。

70代くらいの男性に声をかけると、
やや怒ったように、



「書ぐことなんてなにもねぇ。
 書いたって、どうにもなんねもの。
 こんな状況じゃ、どうにもなんねべ」




と、言われたのです。
そこで、こう話しかけました。



「そうですね、この状況だと、
 どんにもなんね…ですね」
「うん、津波で全部持っていがれだしさ。
 どうにもなんねね…
 なんにもねもの。
 だから、書ぐごともね」
「じゃ…その気持ち、
 書いてもらってもいいですか?
 どうにもなんね、って」




すると、この男性はニヤリとして、
静かにペンを取り、




「どうにもなんね」




と、書き込んでくれました。
もちろん、私もニヤリとしました。
その後、こんなやりとりがありました。



「どうにもなんね、ですけど…
 私たち大人はそれでもいいけれど、
 息子さんや娘さん、孫たちのため、
 これからの若い人たちのために、
 なんとかしていかねばなんね、
 のではないでしょうか。
 大変だけど、もう一踏ん張りして。

 私たち大人があきらめたら、
 いけないと思うんです。
 こうして、若い人たちがんばっているし。
 それが、私たち大人に課せられた
 このたびの役目だと思うんです、
 うんと、大変だけど…。
 私も何かやれることやりますから」




と、偉そうなことを言ったのです。
すると、この男性は、
しばらく黙っていましたが、
一言、




「んだな…」




と言ったのです。
私は、その一言を聞いて、
そのあまりの重さに、
涙がこぼれてしまいました。



すると男性は、
私の肩をポンポンとして、
車に乗り込みました。
そして、車の窓から、手を差し出し
私の目を見て、しっかりと握手してくれたのです。
そして、じゃ、と手を振って
去って行きました。
ありがたかったです。




男性の顔には深い皺が刻まれており、
今まで懸命に働いてきて、この地で、
いろいろなものを築いてきたと察せられました。
それを、すべてなくしたのです…

そのことを思うとき、
これから先もまたがんばることの大変さ、
大きな喪失感、あきらめ、との戦いで、
やる気を出すことのむずかしさなどなど、
感じられて、ただ頭を下げました。
そして、最後まで手を振って車を見送りました。


こんな印象的な出会いが
いくつかありました。
明日も、またこの続きになります。




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