2011年06月16日(木) |
■本からお話紹介…太っちょの男のとった行動 |
今日も、本からのお話です。 今日は、この本からの紹介です。
「心をひらこう」という ドロシー・ロー・ノルトさんの 書かれた詩に、 鈴木秀子さんが、 その詩にまつわる話を 書かれた本です。
ドロシーさんが、書いた詩は このようなものです。
◆心をひらこう
心をひらいて、与えよう 心をひらいて、分かちあおう 心をひらいて、受けとろう 心をひらいて、気遣おう 心をひらいて、素直になろう 心をひらいて、感謝しよう
心をひらいて、うなずこう 心をひらいて、寄りそおう 心をひらいて、認めよう 心をひらいて、元気になろう 心をひらいて、勇気を出そう 心をひらいて、共感しよう 心をひらいて、賢くなろう 心をひらいて、ほっとしよう 心をひらいて、愛そう
見て 聞いて 匂いをかいで 味わって 世界と触れあおう
手をつなごう あなたの隣の人と
目をひらいて 命をつかもう そうすれば あなたは花開く
(石井千春訳)
この詩に、鈴木秀子さんは、 こんな話を書かれています。
(ここから引用)
■「心をひらいて、与えよう」
大きな交差点で、2台の車がぶつかり、 一人の男性が車の下敷きになって、 出られなくなってしまいました。
大勢の人が集まってきましたが、 どうすることもできず、 救急車がくるのを手をこまねいて 待っているだけでした。
なかなか救急車が来ません。 下敷きになった人のうめき声が聞こえるので、 生存は確認できるのですが、 まわりの人たちは、 はらはらしていました。
そのうちに、車のまわりに 輪をつくって立ちつくしていた人の中から、 一人の太った中年の男が車に近づいていくと、 地べたに腹這いになりました。
そして、車の下に頭を突っ込み、 どうにかして車の下に入り込もうとしています。 からだを動かして、車と地面の間の狭い空間に、 もぐりこめばこむほど、その姿は、 不格好で、トドのようでした。
「危ない、止めろ。 車に押しつぶされるぞ」
と、まわりから声がかかりました。 でも、その男は、 太っちょの身をよじらせながら、 おしりをぽっこり小山のように盛り上がらせて、 足をばたばたさせています。
ついに上半身を 車の下にもぐらせました。 そうこうしている間に、 救急車がやっと到着しました。
レスキュー隊がジャッキをつかって、 車を持ち上げると、顔を真っ赤にして、 トド男は這い出してきました。 大きな声で、
「ああ、助かった。 からだが車の下敷きになって、 もう少しで死ぬところだった。 何しろ、あんな狭いところに 潜り込んだら、 身動き一つとれなくてね。 車の重みがからだ中に どんどんのしかかってきてね」
と、いいました。 続いて、やっと車の下敷きになっていた人が、 助け出されました。 ほとんど意識がありませんでした。
救急車に乗せられてその人が去ると、 立ち尽くしていた野次馬の人たちは、 まだ真っ赤な顔をしている太っちょの男に向って、 口々に言いました。
「いったい、おまえさんはそのからだで、 車を持ち上げようとしたのかね。 そんなことでできるはずもないのに」 「車の下にもぐりこんで、 自分も下敷きになったかもしれないのに。 なんであんなばかなことをしたんだよ」 「見境なしにあんな無謀なことをするなんて、 たいした度胸だよ。 でも、助かってよかったよ。 二人とも助かって…」
その男は、まだ顔を真っ赤にしたまま、 皆に頭を下げました。
「ご心配をおかけしました。 見境なしに死んでも やってしまうのが、 私の欠点でして…」
その男は、皆から離れて、 どこかに消えてしまいました。
それから、しばらくの後、 一つの記事が新聞に載りました。
それは、 車の下敷きになった男性が、 車の重圧にもかかわらず 生き延びたことに、 医師が感心したとに、 その人が、こう言ったと いうのです。
(ここまで引用)
あの太っちょの男は、 いったい何をしたのでしょう?
そして、 車の下敷きになった方が、 生き延びた理由は、 いったい何だったでしょう。 みなさまは、想像つきますか? この続きは、明日書きますね。
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