2011年06月17日(金) |
■本からお話紹介…「与える=いっしょにいる」を実践した太っちょの男性 |
昨日から引き続き、 今日も、この本からの紹介です。
「心をひらこう」という ドロシー・ロー・ノルトさんの 書かれた詩に、 鈴木秀子さんが、 その詩にまつわる話を 書かれた本です。
事故にあい、瀕死の重体だった方が語った、 医師も驚いたという話は、こんな話だったのです。
(ここから引用)
「車の下敷きになって意識はもうろうとしていました。 痛いとか、重い物でからだが押さえ付けられているという 感覚はなくて、ただ息ができなくて苦しく、 ああ、もう死ぬんだという感じだけを味わっていました。
自分だけが真っ暗な世界に閉じこめられ、 死が近づいている感じでした。 初めは、家族のことが頭をよぎりました。 小さい子どもがいるので、 まだ死ねないと考えましたが、 だんだん気力が薄れ、子どものことも家族のことも、 考えられなくなっていました。
そのときに大きな声が、 頭の先から聞こえてきたのです。
「君は一人じゃないよ。 いっしょにいるよ。 もうすぐ助けがくるからね。 大勢の人も見守っているよ。 僕が君のそばにいるよ。 車の下敷きになっているから、 手も届かないけど、 すぐそばにいるよ。 君一人じゃないよ」
繰り返し聞こえてきます。
「君は一人じゃないよ。 僕が君といっしょにいるよ。 まわりで大勢の人が 見守っているよ」
「ああ、これが最後だ」と感じると、 その声が聞こえてくるのです。 その声が私を生き返らせるのです。 長い時間に感じられました。
でも、永遠と思えそうな長い間、 苦しくて息ができなくなるたびに、 その声が私に息を吹き返させるのです。 こうして私は、助けがくるまで、 生き延びることができました。
その人は、誰だったかわかりませんし、 どんな人だったかのか見ることもできませんでした。 入院して幸い治療を受けている間、がんばれたのも、 お医者さんが驚くほどはやく回復できたのも、 私の頭の中で、あの人の声が、 こだましていたからです。
「君は一人じゃないよ。 僕がいっしょにいるよ」 と。
あの人は、私に自分の命をかけて、 私に生きる力を与えてくれたのです。 あの言葉が私の中で響くたびに、 私は少しずつ心がひらかれていきました。
私もこうして命を再び与えられたのですから、 何か小さなことでも、自分のできることを、 他の人に与えながら生きていきたいと、 つくづく思います。 あの人は、私の命を救ってくれたと同時に、 「私は、人が生きていく勇気が出るような、 何かを他の人に与えることが できるんじゃないか」
という思いを、私に与えてくれたのです」
この消えてしまった太っちょの男の人は、 とっさに自分のできることをしようと考えたのでしょう。 そして、その心をひらいた思い切った行為が、 瀕死の人に生きる力を与えのです。
私たちは、いざ心をひらいて与えようとすると、 おじけづくことが多いのです。 しかし、この太っちょの男の人は、 命をかけて車の下敷きになった人を救おうとしました。 自分の命が奪われるかもしれないという 危険をおかしたのです。(略)
与えるというと、私たちは物を与える プレゼントを感ががちです。 もちろん、その人が喜ぶようなプレゼントを することも大切です。
プレゼントとは、自分の心の表れだからです。 「私は、あなたのことを大切に思っています」 ということを、物に託して人に贈るからです。
しかし、物に託さないプレゼントは、 もっとすばらしいものです。 プレゼントという言葉は、 プレゼンスという言葉に語源をもっています。 プレゼンスとは、 「存在する」「いる」ということを意味します。 つまり、 「あなたを大切な人として私はともにいます」 という意味です。
太っちょの男の人は、 「与える=いっしょにいる」 を実践しました。
他の人に与えようと素直に自分の心の深みを ひらいていくとき、人間同士はお互いに、 すばらしいものを与えあうのです。 そしてまた、その力によって、 もっと心がひらかれていくのです」
(ここまで引用)
太っちょの男性がとった行動には、 このような意味があったのですね、 すごいですね…
想像ですが… この太っちょの男性も、かつて、 このように命をかけて助けてもらったことが ある方だったのではないか、そして、 次は自分も助けようと思っていたのではないかと、 私には思えてきます。
それが、瀕死の男性にも伝わり、 「私は、人が生きていく勇気が出るような、 何かを他の人に与えることができるんじゃないか」 と思わせた、と思えるのです。 勇気を与える連鎖だなぁと。
私には…情けないことですが、 太っちょの男性のような行動ができるとは、 とても思えませんが、 「与える=いっしょにいる」 だとすれば、 誰かが「本当にそばにいてほしい」 と願うときには、静かにそばにいてあげらえる、 そんな自分でありたいと思います。
みなさまは、 どんな感想をお持ちになりましたでしょうか。 今日は、この本からの紹介でしたが、 この本の中には、いい話がいっぱい書かれています。 ぜひ、読んでみてくださいね。
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