まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2011年03月04日(金) ■死が間近でも「ユーモア」を忘れない方々のお話

《お知らせ》
「「今日のことば」2月の人気ベスト5」をアップしました。
 どんなことばだったかぜひ見てみてくださいね。



昨日からの続きになります。
今日も、昨日と同じホスピス医療(終末期ケア)の
第一人者であり、精神科医でもある柏木先生の
書かれた本からの紹介になります。

今日は、厳しい医療現場にありながら、
また、死を間近にしながらも、
ユーモアを忘れない方々の大いに笑えるお話です。




今日は、こちらの本からの
紹介になります。



「ベッドサイドのユーモア学」






この本の中に書かれている
患者さんたちの笑えるエピソードや
看護士さんや柏木先生の川柳などなど、
紹介します。




《Aさん58歳 肝臓がんの末期で入院》

モルヒネの錠剤で痛みはとれたが、次第に衰弱が進んだ。
若いときから俳句や和歌が好きで、
新聞などにも投稿していたという。

私が川柳に興味を持っていることをナースから聞き、
ある日の回診のとき、俳句と川柳の違いについて話が弾んだ。
Aさんは、


「やっぱり川柳がいいですね。
 俳句のように四季(死期)を考えなくて
 いいですから」



と言った。
「上手い!」と私は思わず言った。
そのAさんの奥さんも川柳をつくりたいと言い、
Aさんが最後の正月を家で過ごした後で、


「先生、主人は文字どおり寝正月でしたが、
 家族に囲まれて穏やかに過ごせました。
 痛みから解放されたので、私も安心して、
 川柳をつくる余裕がありました。
 こんな句です」



と言って、
メモ用紙に書いた川柳を見せてくれた。



■がん細胞 正月くらいは 寝て暮らせ



とあった。
「上手い!」と私は思わず言った。
ベッドの上でAさんもゆったりと笑った。
それから10日後、Aさんは静かに旅立った。




《62歳のGさん 胃がんの女性患者》

衰弱とともに、記憶力が少し落ち、
会話のつじつまがやや合いにくくなってきた。
ある日の回心のこと、喉がつまりがちなことを訴えた。


「どんなものが食べられますか?」
と私の問いに、Gさんは、

「そうですね…
 プリンとかアイスクリームとか…」


と、答えた。
私は、


「お元気なときは、何が好きでしたか?」


と尋ねた。
Gさんは間髪入れずに、



「お金!」



と、答えた。
私もほかのスタッフも大笑い。




《最後まで痛みが十分コントロール
 できないまま亡くなったおじいさん》


看取ったおばあさんと受け持ちのナースが
いっしょに遺体の清拭(せいしき)をしているとき、
おばあさんがナースに、


「じいちゃん、三途の川渡るとき、
 痛まんじゃろうか?」



と心配そうに尋ねた。
ナースはすかさず、


「痛んだらいけんで、
 いつもの座薬入れとこ」



と言って、ボルタレン座薬を入れた。
おばあさんは、ナースの素早い処置に感謝して、



「これで安心、
 ありがとさん」




と言った。




《内科病棟のナースのお話》

高齢の男性が、
靴下をはかせて欲しいといことを言うために、
ナースにカタカナで、


「クツシタ」


って書いて見せた。
それを見たナースは、



「えっ!クソシタ?」



と言ってしまって大笑い。




《老人ホームの2人のおばあさんの会話》


「あの世はどんなところかね?」
「どうもいいところらしいよ。
 誰も帰ってこないから」





《嫁と姑のやり取り》

全然泳げなかった77歳のおばあさんが、
急にスイミングスクールに通いだした。
コーチがワケを尋ねると、


「三途の川を泳いで渡りたいから」


と言う。
5メートル、10メートル、
30メートル、とどんどん泳げるようになって、
とうとう200メートルまでいけるようになった。

すると、お嫁さんがすっ飛んできて、
コーチに頼んだ。



「お願いですから、
 ターンは教えないでください」





《医療現場川柳編》


手術の不安を吹き飛ばすために…


■お守りを 医者にも付けたい 手術前



精神的に寂しさと不安が強くなってきた
肝がんの末期の患者さん


■寝て見れば 看護婦さんは 皆美人


また、柏木先生がつくった
こんなブラック川柳も。
(医療関係者に好評だったとか)


■脳外科医 頭の切れない 医者もいる

■精神科医 自分もおかしい 医者がいる

■眼科医に 目先がみえない 人もいる

■耳鼻科医に 鼻がきかない 人もいる

■胸部外科 胸を開かぬ 医者もいる

■腹部外科 腹を割らない 医者もいる

■太る害 説いてる医者の 太っ腹




その他、自分の身体や老い、
子どものことなどを笑い飛ばす、
こんな川柳もありました。


■お転婆に 婆が転ぶは ないだろう
 (鹿児島 神田橋房子)

■部分やせ したい部分が 大部分

■ウンチだな 赤ちゃん急に まじめ顔

■入れ歯見て 目もはずしてと せがむ孫

■見ない振り してると泣かぬ 転んだ子

■患者より 顔色悪い 夜勤明け

■「飛んできて!」 白衣の天使 羽根はない




医療現場でも、死を間近にしても、
不都合があっても、こんなユーモアがあふれ、
楽しい川柳ができ、それを読み笑うと
なんだかとても元気がわいてきます。

そして、人間ってすばらしいなぁ、
生きているっていいなぁ…
と思えてきます。
ユーモアや笑顔には、
そんな力があるのですね。

今日は、医療現場のユーモアのお話でした。
今日紹介した本には、専門的な話も書かれていますが、
もっと楽しい川柳や話も書かれていますから、
興味のあるかたは、読んでみてくださいね。





■コメントが書ける「ぼちぼち日記」はこちら


 気軽にコメントが入れていただけます。 →「ぼちぼち、お散歩日記」
■「ことば探し」に戻る時→  「ことば探し」
■「ことば探し」メールマガジン(月〜金)発行しています。

 「今日のことば」以外の過去のことばも紹介しています。
  コンパクトで、読みやすい構成にしています。
  →「購読申込み」


 < 過去  INDEX  未来 >


まゆ [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加





《旅に行きたいですね〜》