まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2011年03月03日(木) ■「人生の実力」のお話

今日は、本からのお話紹介です。

昨年末、大黒柱だった大好きな兄が「さよなら」も
言わずに突然に逝ってしまい、それを受け止めるために、
死に関する本や宗教に関する本を読むことが多くなりました。
そんな中で見つけた本からのお話の紹介になります。

ちょっと重いテーマですが、よりよく生きていくための
「死」についての話紹介になります。
おつきあいいただければ嬉しいです。



今日は、この本からの紹介です。


「人生の実力」
ホスピス医/柏木哲夫著







「人生の実力者たち」という
お話からの紹介になります。

(P32〜35から引用)



どのような人が、
「死別」「大病」などのショックを乗り越え、
元の自分のレベル以上になっていくことができるのか、
またストレスをプラスにしていくことができるのか。
私自身のホスピスでの看取りの体験上、



「人生で起こる様々な出来事が、
 たとえ、不都合なことであっても、
 きっと何らかの積極的な意味がある」




という基本的な信念のようなものを持っている人が、
自己成長を遂げることができるのではないかと思う。

全ての出来事には、必ずプラス面とマイナス面があり、
プラスだけのこと、マイナスだけのことというのは
ないのである。



一見マイナスに見えることの中にも、
必ずプラス面がある。
頭の中できちんと整理できなくても、
基本的に、このような信念を持っている人は、
成長を遂げることができるのではないか、
と思われる。




私は、これまでに精神科医とホスピス医として
さまざまな人々と関わってきた。
その臨床経験を通して、多くの「人生の実力者」と
呼べる人に会ってきた。

精神科医としては、
長年にわたる息子さんの精神障害に根気よくつき合い、
再三の再発と入院にもめげず、
いつも穏やかに振る舞い続けた母親を思い出す。



「自分の生んだ子ですから、
 世話をするのは当然です」




と常々言っていた。
この母親を見て、
「人生の実力」の定義は、




「自分にとって不都合なことが
 起こったとき、その中に、
 自分が人間として生きている証を
 見ることができる力」
であると思った。





ホスピス医としては、客観的に見れば、
幸せからはほど遠い人生の終りの時に、



「幸せな人生でした」



と言って亡くなった67歳の男性を思い出す。
早くに両親を失い、結婚生活で苦労し、
仕事では同僚に裏切られ、それが原因でリストラされ、
ずいぶん辛い思いをした人であった。
亡くなる2週間ほど前の回診の時、



「入院した時のあの痛みがすっかりとれました。
 ここへ来て本当によかったです。
 ありがとうございました。
 いろいろありましたが、幸せな人生でした」




と言った。
この患者さんを見て、私の
「人生の実力」の定義が変わった。
新しい定義は、




「どのような状況に置かれても、
 その状況を幸せと思える力」





である。
物事が順調に進んでいる時には、
その人の本当の力は見えにくい。
辛い、悲しい、苦しい、やるせない状況、
すなわち自分にとって不都合な状況になったとき、
どのような態度で与えられた状況に対処できるかで、
その人の「人生の実力」が決まる。



苦境の中にも、
生きている証を見ることができ、
その状況を幸せと思えるかどうか、
人間の実力が決まる。
人生の実力者は、その実力を持っている。


             (ここまで引用)




まだまだ生きる実力を持っているとは
とても言えない自分ですが、
どんな状況に置かれても、
「幸いなこと」「幸せなこと」を
みつけて生きていきたいと思いました。

明日は、ユーモアいっぱいの、
「死」についてのお話を紹介します。
本当に、人間ってすごいなぁと思えました。





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