まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2009年01月21日(水) 笑顔がやわらかい不思議な女性

昨日からの続きになります。



私は、バスの中で、隣に座った女性から、
突然声をかけられて、戸惑いながらも答えた。



「今日は、傘を持って、
 家を出ましたか?」
「あ、いえ…
 途中で買いました。
 今日は、出るとき、
 天気予報を見て来なかったので…」




私は、このまま会話を続けるのか、
途中でさりげなく会話を打ち切るか、
心の中で迷いが出ていた。
なんでこんなことを聞くのだろうとか。

しかし、こんな私の気持ちなど、
全く無視するかのように、隣の女性は、
私に話しかけてきているのだった。
それが、ものすごく自然だったのだ。



「私も忘れちゃって…
 こんなに降るとは…でも、
 バスに乗れば大丈夫かなと思ったので、
 買わなかったんです」
「ぬれましたね」
(服が濡れていたのでこう言った)

「ええ、でも、このくらいなら大丈夫。
 雨で、服が洗われるからちょうどいいかも(笑)
 汚れているからね(笑)」




なんて、答えたりしたのだ。
私はその答えと、その笑顔に驚き、
思わず、女性の顔を見つめてしまった。




なんとも言えない感じの
やわらかい、本当に心から、
ふふっと笑った顔だったのだ。
なんだか、雨の日を楽しんでいる、
そんな感じさえ受けた。





なにか、私の心に変化が生じてきた。
最初は、こんな人が隣なんてイヤだと思ったけど、
ちょっとイヤでなくなり、そして、
心がゆるんできた感じがしてきたのだった。

一瞬、あやしい宗教の人で、
その教えで、こんな日に、こんな格好でも、
こんな笑顔をするのかも…
などとも頭をかすめたが、
仮にそうであっても今、バスの中で、
宗教に誘われることもないだろうと思い、
それは考えないことにした。



その女性は、その後も、
たわいないことを、ごく自然に、
例えば、



「傘はコンビニかなんかで買ったんですか?」とか、
「雨だと、道路が混みますね」
「今日は、あったかいものが食べたいですね」
「もうすぐ駅ですね」




なんて話しかけてきた。
その話し方は、とても丁寧で、
イヤな感じを受けなかったので、
私も、



「はい、近くにあったコンビニで買いました。
 280円でした」だの、
「そうですね、混みますね」
「今日は、鍋がおいしいかもしれませんね」
「そうですね、駅ですね。
 時間がかかりましたね」




などと答え、その女性と、
なんとなくたわいもない話を続けた。
それが、イヤではなくなっていたのだ。




とても、
不思議な感じの女性だった。
汚れた格好しているけど、
言葉づかいは丁寧だし、
楽しそうだし、
人に対する警戒心もないようだし、
なにより、
自然体という感じがしたのだった。
力が抜けているというか。





私は、まだまだ警戒して、
頭であれこれ考えながら、
体のどこか力を入れながら答えているのに。
でも、いつの間にか、この女性のペースにのり、
私もなんとなく力が抜けてきたのだった。

そんなやんわりした時間を
のろのろのバスの中で過ごしていたが、
いよいよ、駅に到着した。
バスの運転手さんが、



「終点です。
 到着が遅くなってしまって
 申しわけありませんでした。
 雨が降って滑りやすくなっているので、
 お気を付けてお降りください。
 ゆっくりと降りてください」




などと、社内放送した。
乗客は、終点近くになって混んできて、
座席はほとんど満席、立っている人も
何人かいて、その立っている人たちから、
順番にゆっくりと降り始めた。

私は、真ん中より少し奥の二つ座席の窓際に
座っていて、その隣に不思議な女性が
座っていたので、この女性が立つまで
立てずに、じっと待っていた。

隣の女性は、後ろの乗客が降りるまで、
待つつもりでいるらしく、座ったままだったので、
私もじっと待っていた。
まぁ、急ぐこともないしね。



そして、
いよいよ隣の女性が立ち上がり、
私も、立ち上がった。





そのとき、
事件は起こったのだ。
私は大いにあわててしまった。





この続きは、また明日書きますね。






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