2008年10月19日(日) |
「雨が降っても立ち止まらないで」からのお話 |
今日は、久しぶりに本からの 心に残った話の紹介です。 とても、心に残ったので…。
今日のお話は 「雨が降っても立ち止まらないで」 からの紹介です。
この本の中からの 「書けなかった「CASA」のメニュー」 というお話です。 (P238〜244)ここから引用
アメリカに、 ホレーショ・アルジャー賞という賞があります。 逆境を乗り越え、偉大な業績を残した人に毎年 与えられている、アメリカでもっとも栄誉ある賞です。
ある年、トム・ハーケンがこの賞を受賞しました。 彼は、一代で「CASA」という レストラン・チェーンを築き上げ、 億万長者になった人物です。
受賞の知らせを受けたトムは、 静かで謙虚な気持ちになっていました。 そして、自分には、こんな立派な賞を受けるだけの さしたる理由が見当たらないと思いました。
そこで、授賞式の夜のスピーチで、 彼の50年間、妻とふたりだけの 秘密にしてきたことを 話す決心をしたのです。 その秘密を打ち明けることで、 たくさんの人々を勇気づけたいと 思ったのです。
授賞式の夜、トムはたくさんの聴衆を前にして、 突然こんなことを切り出しました。
「私は、つい最近まで 読み書きができませんでした」
トムの第一声を聞いた式典会場の聴衆の間から、 壇上の彼のところまで、大きなため息とともに、 驚きの声が聞こえてきました。
「「CASA」の創業者が読み書きが できなかっただって?」 「まさか、そんなのウソでしょう?」
会場のざわめきが静まるまで、 トムは待ちました。 ふたたび、場内に静寂が戻ると、 トムは話を続けました。
「わたしは、周りの友だちが小学校に上がったとき、 小児麻痺を患って、一年間の入院生活を 送っていました。 小児麻痺が治り、いったん退院すると、 今度は結核にかかってしまいました。 すると、今度は、8年間も隔離病棟で 過ごすことになったのです」
トムはいっしゅん顔を下にそむけました。
「そのころ病院には、まだ病院学校のような 設備がありませんでした。 ですから、わたしは9年間、教育をうける機会を 失ってしまったわけです」
彼の息子たちは呆然として、父親の口から飛び出す、 予想もつかなったことばを聞いていました。 聴衆もかたずをのんで、彼が今度は どんな突拍子もないことを言い出すのか、 待っていました。
「長い闘病生活を終え、私はやっと学校に 行けるようになりました。私の胸は、 学校に行けるよろこびでふくらんでいました。 ところが学校に入ってすぐのことです。 先生が、黒板に書かれた「CAT」の文字を指して、 私に質問したのです。
「トム・ハーケン、これは なんと書いてありますか?」
私には答えることができませんでした。 「CAT」の文字が読めなかったのです。 すると先生は、クラスメイト全員の前で、 「トム、キミはこんな簡単な文字も読めないのかい」 とからかうように言って笑ったのです」
彼は深呼吸しました。
「子どもごころにも、私は深くキズつきました。 そのことを両親に話すと、父はこう言いました。
「学校で文字を学ぶかわりに、 常によい言葉で話をし、 一生懸命働きなさい」
私は父の教えを頼りに生きていこう、 そう決めて学校をやめてしまったのです」
トムは話を続けました。
「その後、私は父の教えと 同じくらい頼りになる人と 出会いました。 それは、妻のメルバです。 私は、彼女に結婚を申し込みました。 「結婚証明書の記入は君が 全部してくれかないか、 ぼくは字が読めないんだ」
彼女は私が読み書き できないのを承知で、 結婚してくれたのです」
結婚してからも「ミス・メルバ」と 呼び続けるほど、彼女を信頼し愛しているトムは、 会場にいるメルバの方を見てほほえみました。
「メルバと結婚した私は、オクラホマで 電気掃除機の訪問販売をはじめました。 字が読めないので、お客様の名前や住所、 勤め先、クレジットカードの番号、 すべてを暗記しました。
夜遅く、子どもたちがすっかり寝付いたころ、 仕事を終えて帰宅すると、その日に覚えたことを 思い出し、メルバに詳しく話します。 彼女は、私の話を聞きながら、 必要な話を書いてくれました」
字が読めなくても、トムの記憶力は こうして鍛えられ、驚くほど発達していったに ちがいありません。 それにふたりの息もぴったり合っていたのでしょう。
(引用ここまで)
しかしながら、 字が読めないことを隠し通せなく なる日がやってくるのです。 そのとき、トムとメルバはどうしたか。
文字が読めないトムが、 どうして億万長者まで 上りつめることができたのか。
このお話の続きは、明日書きますね。
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