まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2008年10月20日(月) 「雨が降っても立ち止まらないで」からのお話。「字を教えてほしい」

今日は、昨日のお話の続きです。
このような、実話が54書いてある本です。
古い時代の話もかなり書かれていますが、
古い時代でも、こんなことを成し遂げた人が
いたのだと感嘆します。
元気づけてくれる本です。


今日のお話は
「雨が降っても立ち止まらないで」
からの紹介です。








この本の中からの
「書けなかった「CASA」のメニュー」
というお話です。

(P238〜244)ここから引用




「1つの掃除機を売るために
 1日何百軒もの家をドアをノックしました。
 そして、私は勤務先の
 カービー・カンパニーで
 トップセールスマンとなったのです」




会社で順調に業績を伸し、
社会的に認められるようになっても
トムはまだ読み書きができませんでした。



「私の次のチャレンジは、新しい方法で
 みんなを喜ばせることでした。
 その思いは、レストランを開くという形で
 あらわれました。
 レストランは、後に12店のチェーン店に
 発展しましたが、私は自分の店の
 メニューが読めなかったのです」




トムは、字が読めないことで不都合を
感じていましたが、それまでは、
メルバに助けられて、
恥をかかずにすんでいたのです。



「自分が外食するとき、
 私はいつもどこの店にも置いてあるもの、
 チーズバーガーを注文することで、
 メニューが読めないことを切り抜けてきました」




聴衆は、うんうんとうなずきました。



「私は何年もこの手を使ってきました。
 しかし、あるとき、ウェイトレスが私に
 言ったのです。




 「お客さま、メニューを
  良くお読み頂きましたか?
  当店では、チーズバーガーは
  扱ってないのですが」




 それは、私にとって非常に屈辱的な出来事でした。
 ところが、そんな私にさらに追い打ちを
 かけるようなことが起こったのです」




トムは、父親である自分の顔を食い入るように
見つめている、ふたりの息子たちの方を見ました。



「家で、ふたりの子どもをひざに乗せて
 すわっていると、子どもたちが、
 私にこう言ったのです。




 「パパ、マンガを読んで」」



息子たちは、お互いの顔を
責めるように見ました。



「メルバが機転を利かせて、
 「パパは忙しいから、かわりに
  ママが読んであげる」
 そう言ってくれたので、子どもたちは、
 私が文盲であることを気づきませんでした。
 しかし私は、子どもたちに本も読んでやれない
 という辛い事実に直面したのです。
 このとき、私は今までの人生でもっとも
 困難なチャレンジを…
 読み書きの勉強をしようと決意したのです」




当時を思い出して
握りしめられたトムのこぶしは、
緊張で汗にぬれていました。




「私がさいしょに
 しなければいけないことは、
 誰かに「字を教えてほしい」
 と助けを求めることでした。
 そして、それこそがもっとも
 苦しい一歩だったのです」





聴衆は、今や、彼の一挙一動を
見逃すまいとしていました。



「私は妻に頼みました。
 「読み書きを覚えたい」と。
 彼女は毎晩毎晩、一語一語、根気よく
 ていねいに教えてくれました。
 そして、それは何年もの間続きました」




読み書きは、本来、幼いときに文字を記号的に
認識して覚えていくものです。
トムの苦労と忍耐は、どんなに
計り知れないものだったでしょう。




「自分自身に落胆し、
 腹を立てることも 
 しばしばありましたが、
 何年もかかって、
 単語ひとつから短い文章、
 そしてついに
 聖書が読めるまでに
 なったのです」





すべてを話し終えたトムは、
ほっと安堵のため息をつきました。



「今回、この賞を受けるにあたって、
 私は妻と相談して、
 長い間自分が隠し続けてきた秘密、 
 つらく恥ずかしい体験を話すことで、
 多くの非識字者の方たちが勇気を
 持ってくれればと思ったのです」




スピーチが終わったしゅんかん、
すべての聴衆はイスから立ち上がり、
涙と大きな拍手で彼の受賞を、
勇気をたたえました。

トムの息子たちは、
父の偉大さにあらためて感動し、
誰よりも大きな拍手を送っていました。




「過去の困難は、
 私の力を
 高めてくれました」





(ここまで引用)



私はこの話を読んで、ため息が出ました。
文字が読めないことを
隠し通すことがどんなに苦しかっただろう…
そのために、どんなに苦労してきただろう…
と、思ったのです。
しかし、トムは、それをバネにして人生を
生きてきたのだと。

けれど、人生は、残酷で、
どんなに隠したいことも、
隠してきたことでも、
いつかその現実に直面する形で、
自分に突きつけてくるのだと思う。


「このままでいいのか?
 このまま隠し通していけるか?
 隠していくのか?」



そして、この問いを無視して、
引き続き隠そうとすると、
容赦なく、何かそれを自分に突きつけてくる、
出来事が起こってくるのではないかと思う。
そんな気がした。



「雨が降っても立ち止まらないで」
からのお話の紹介でした。
もしよかったら、読んでみてくださいね。







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