2007年05月15日(火) |
ああ、そうだったのか… |
さて、昨日から続きです。
私が、ネコさんの写真を撮ったり、 なでなでしようと近づいたとき、突然、
「なに、してんのっ」
と、声がしたのだ。
ビックリして、声のした方を見上げると、 2階から、おばさんが顔を出して、 こちらの方をじっーと、見ていたのだ。
私は、このかわいいネコさんに 危害を加えるつもりもないし、 連れて帰るつもりも全くないので、 かなりどきっとして、ビックリしたが、 おばさんの方を向いて、こう答えた。
「あまりに、かわいくておしゃれなネコさんだったから、 写真と撮っていたんです…失礼しました。 このネコさんの飼い主さんですか?」
「そうだよ、ああ、そう。 このあたりで見かけない人だからさ」
「ええ、今、散歩中だったんです。 そしたら、かわいいネコさんを見つけて」
「ああ、そうなの…一応ね、見知らぬ人は、 やっぱり気をつけないとね… あ、そのネコは、エンゼルって言うのよ」
どうやら、おばさんは、私に対する不信感を 少し解いてくれたらしく、名前を教えてくれた。
エンゼルは、名前を呼ばれると、 おばさんの方を見上げた。
私も一緒に、おばさんのことを見上げてみると、 古い小さなバーの上が住宅になっているらしく、 窓枠に、植木などが置かれていて、その植木の 間からおばさんが顔を出していたのだった。 下のバーのママさんかもしれない。
「エンゼルって言うんですか、エンゼルっ」
私も、名前を呼んでみた。 すると、エンゼルは側に来てくれたので、 私は、なでなですることができた。
「とても毛並みもよくて、おしゃれさんで、 かわいいですね」
と、再度、おばさんに言うと、 おばさんは、こんなことを教えてくれた。
「あのね、エンゼルは2歳くらいのときに もらってきたのよ。捨てられる寸前だったの。 だから、引き取って、それから一緒に暮らしてきたの。 エンゼルはね、ネズミを捕るのが得意なの」
「あら、こんなにかわいいのに?」
「おっとり見えるけど、とっても敏捷でね、 ネズミを見ると、いてもたってもいれないみたい。 でね、大きなネズミを捕ってくると、 私に見せにくるのよ。 こっちはぞっとするんだけどね(笑)」
私は、確かにこのあたりでは、 ネズミが多そうだと頷きながら聞いていた。
「でも、エンゼルがいるから、あ、もう一匹 いるんだけどね、だから、楽しいのよ」
「ネコさんがいるといいですよね」
私は、そう言って、もう一度エンゼルを撫でて、 立ち上がり、おばさんに 「どうもありがとうございました」 とお礼を言い、エンゼルにバイバイと言って、 エンゼルとおばさんに別れを告げた。
すると、エンゼルに話しかけるおばさんの 話が聞こえてきた。
「よかったねぇ… かわいいって、 おしゃれさんだってよぉ、 よかったね、エンゼル」
私は、ちょっと嬉しくなって元気に歩き出した。 すると、再び、前方から声をかけられた。
「エンゼル、かわいいよね」
私が声の方をみると、今度は、通りの植木に 水をやっていたおばさんが話しかけてきたのだ。 どうやら、私たちの会話を聞いていたようだった。
「ええ、とてもかわいいですね。 それにおしゃれさんでした」
そう答えると、このおばさんが こんなことを言ったのだ。
「あのね、このあたりではね、 ネコや犬を飼ってる人が多いんだよ。 おばさんとかが多いからね… 独り身の。それが、 生き甲斐で楽しみなんだよ」
そして、おばさんは、ちょっと笑った。
そっか…そうだったのか… 私は、とても納得して大きく頷いた。 だから、エンゼルに近づいた私を 警戒したんだなぁと思った。
そういえば、他の店の入り口でも、ネコさんが 幸せそうにゴロンゴロンしていたなぁと思い出した。 とてもかわいがられている感じがした。 丸まると太っていたもん。
正面からみると、こんなネコさん。
そして、ふと、このあたりの開発が進むと、 この環境が壊れてしまって、 今のこのあやしいながらも、平和な生活が 壊れてしまうのだろうなぁ、 ここにも、ここの生活があるんだと しみじみ思ったのだった。
ゴールデン街、開発されるとどうなるんだろうなぁ… あのおばさんたちやネコさん達が、 元気に暮らしていけるといいなぁ、と思ったのでした。
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