2007年04月12日(木) |
えーっ、そんな値段なの? |
日中に仕事や用事などがあり、ウォーキングが 出来ない時には、夜にウォーキングすることもある。
そして、夜は夜の出来事に出合ったりもする。 (だいたいがお巡りさんがらみが多いのだが) 夜には夜の顔があるのだと思ったりする。
なんて、大げさなことはさておき、
先日、そんな夜のウォーキングに 出かけた時のことである。 時刻は、8時30分頃。 大きな通りをてくてくと歩いていたとき、
あっ、あれはなんだ? なんだか、すごいぞ…
なんて、 ビックリするような 光景に出合ったのだ。
ほら、これだ。
そう、リヤカーにすごい量の 段ボールが積まれていたのだ。
近寄ってみると… 1人のおじさんが、一生懸命に段ボールを 積み重ね、落ちないように紐で縛っていたのだ。
その積み重ね方はこんなだ。 横から見るとこんな感じ。
後ろからだとこんな感じ。
私はあまりにすごかったので、 思わずおじさんに声をかけた。
「おじさん、こんばんは。すごいですね。 見事だわ。写真撮ってもいいかしら?」 「いいよ、でも、こんなの何か役に立つのかい?」 「あのね、インターネットにのせるの。 積み重ね方がすごいから、ほら、スゴイでしょって」 「インターネット…ああ、テレビね、いいよ」
おじさんは、テレビだと思ったらしかった。 でも、おじさん、ブログなんだな、ごめん。 ともかく、おじさんの許可を得たので、 写真を撮り始めた。
そして、 さらにおじさんに話しかけた。
「ねぇ、おじさん、これは売るの?」 「そうだよ、でもすごく安くてね…」 「え、どのくらいなの?」
「あのね…(ふぅ…) 1500円くらい」
「えーーっ、1500円?この量で?」 「そう、そのくらいなんだよ」
なんと、こんな量を集めて、 1500円にしかならないと言うのだ。 私はびっくりして、さらに聞いた。
「それは、安いね…こんなに大変なのに、どうして?」 「うん、最終的には、オレらの買い取り価格の何倍かで、 製紙会社に売られていくんだけど、 その間にいろんな業者が入っているんだよ。 買い取り業者、その先の仲買業者なんていろいろね。 それぞれが利益を取るから、だから安く買われるんだ。」 この頃は、ライバルも多いし…仕方ないね」
おじさんは、諦めているらしかった。 そして、寂しげに、こんなことを言い出した。
「おれは、もう80歳だから、この辺りだけ、 1日1回しか出来ないけど、体力使うからね、 若いやつらは、何度も出来るから、それでも 暮らしていけるんだよ」
私はまたまた、 びっくりして、こう言った。
「え、おじさん、80歳なの?とてもとても、 そんな歳には見えないね、こんな大変な作業 してるし…体力使っているからかしらね。」
すると、おじさんは嬉しそうにちょっと笑って、 こんな話をしてくれた。
「リヤカーはブレーキがないからね、坂道なんか、 命がけで止めないと危ないし、 この量だと相当な重さになるから、 まぁ、他の80歳よりは体力あるだろうね」
このおじさんはスゴイ!と思った。 80歳で、毎日、この量の段ボールを集め、 相当重いはずのこのリヤカーを 毎日引いているのだ。 体力はとてもあると思った。
身軽に、こんなふうに段ボールをしばっているし。
おじさんは、私と話しながらも、 黙々と段ボールの整理や、紐で縛る作業を続けていた。
もうこれ以上、おじさんの邪魔をしては いけないと思ったので、最後にこう聞いた。
「ところで、おじさん、この量の段ボールを 集めるのに、どのくらいの時間かかるの?」 「オレは、ゆっくりやるから、午前11時頃から 集めて夜の8時〜9時頃になるね。 若い人は、もっと早い時間から何度もやるよ」
と、教えてくれた。 私は、聞きたいことが聞けたので、 おじさんにお礼を言った。
「おじさん、教えてくれてありがとう。 気をつけて、行ってね」
すると、おじさんはにこりとして、
「うん、あんたも夜だから、 気をつけて行きなよ、 明るい道にするんだよ。」
と、声をかけてくれたのだった。 そして、また、黙々と作業に取りかかった。 80歳で、毎日この作業をしているおじさんは、 とても優しいおじさんでもあったのだった。
私は、もう一度おじさんに、ありがとうを 言って、この場を離れた。 しかし、私は、こんなにしても、 1500円なんだ…と、かなり複雑な気持ちで いっぱいだった…
「おじさん、ご苦労様、元気でやってね」
私は、心からそう思ったのでした。 てなわけで、今日は夜の出来事でした。
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