2006年10月23日(月) |
街路樹の枝切りのワケ |
昨日からの続きです。
さて、私は枝切り責任者を見つけたので、 なぜ、今、街路樹の枝を切り落としているのか、 聞いてみることにした。
「なぜ、今、こんなふうに 枝を切っているんですか? これから、キレイに色づくのに…」 「ああ、この作業のことですか? 実はですね…困ったことが 起きているんですよ…」
困ったこと? 何だろう?
「困ったことですか?」 「ええ、そうなんです、実は、木が道路を 壊しているんですよ。」 「ええ?どういうことですか?」
すると、責任者の方は こう教えてくれた。
「実は、道路がこの木たちの根によって、 盛り上がってきているのです。 根の力ってスゴイんですよ。 ほら、歩道の木の根をみてください」
そう言われて、 根を見てみると…
なるほど…
木を囲んでいるフチが盛り上がっていた。 かなりの段差ができている。
「これは、木の根のせいなんですか?」 「そうです、この通りは、木を植えてから 長い間たつのですが、根の手入れをして こなかったので、根が伸び放題になってしまって、 その根が、こんなふうに道路を押し上げて、 この歩道だけでなくて、道路の方の地下まで 張り巡らされて、道路も盛り上がったりして でこぼこしてきているんですよ」 「ひぇ〜道路まで…」
「ええ、ひどいところは、道路にヒビが 入ったりしてるし、根が張っていて、 道路工事をするのも大変なんです。 それから、下水口のわずかなすき間から、 根が入り込んで、下水口に穴を開けたりもしてます」 「ええ、そんなに元気なんですか…」
「そうなんです、元気なんですよ、下水管を 根が取り囲んでいたり…、だから、 下水管の取り替え工事なんかも大変で…。 何度か、臨時の直しはしているのですが、 もうそろそろ根本的にしないということに なって…」
根が、段差をつくり出しているのがよくわかる。 下水道も側にあるので、根の攻撃を受けるらしい。
どうやら、この街路樹たちの根は、 元気すぎて、いろいろなところまで、 根をはやし過ぎてしまったらしい。 きっと、ものすごく元気なのだ。 本当はいいことなんだけど…
「そこで、今回は、この根を切ることに なったんです。でも、葉っぱがあると、 根の負担が大きくなるので、葉っぱを切ることに なったのです。負担の少ないこの時期に」 「ああ、なるほど…そのために葉っぱを切るんだ。 それは、根を切るためなんですね。」
「ええ、この街路樹たちが植えられた頃の 工法だと、根が自由にはえるような工法なんですね。 今の工法では、根の生え方も気を付けるように なっているのですが、この頃の植え方は、 根の処置をしていないんですよ。 だから、あちこちに根を伸ばしているんです」
なるほどね…
そう言われて歩道を再びよく見ると、 確かに、かなりデコボコしたり、 ゆがんだりしている。
今まで、歩道や道のでこぼこが、 根の力だとは考えもしなかったが、 どうやら根のせいだったらしい。 木の根の力って、スゴイのだなぁと しみじみと思った。 まっ、そんなわけで、どうやら、今回、 根の処置をすることになったらしいのだ。
根には気の毒だが、 大分カットされるらしい。 特に道路側の方がカットされ、歩道側に 伸ばすように、処置するのだそうだ。 枯れないといいのだが…
丸坊主の理由がわかったので、 私は、とても納得した。
しかし、
私にはまだ聞きたいことがあった。 枝切り職人さんたちについてである。
「あの〜、それと、あの枝切りの職人さん達は、 1日に、何本くらいの木を刈れるんですか?」 「そうですね、だいたい、2本くらいですね、 一人で刈れるのは。 今回は、6人の職人さん達がやるので、 1日12本くらいできますが、この 並木道を全部刈るには、3週間くらいは かかるでしょうね。雨の日はできないし」
というわけで、この葉っぱを刈る作業は、 まだしばらくかかり、 この作業が終わったところから、 根を切る作業を始めるとのことだった。
今年は、この並木道の秋は、 色づくことがなく、丸坊主状態で、 工事がしばらく続くのだ。
残念。
丸坊主になった木たちは、ちょっと 寒々しく見えたが、来年にはまた 元気な葉っぱが茂ると言うことだった。
私は、責任者の方に教えてもらったお礼を言い、 丸坊主にされた木たちに、 「根が切られても、元気に生きるんだよ」 と声をかけて、その場から離れた。
来年、どうなっているか、 ちゃんとチェックしなくちゃなと、 私は思ったのでした。
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