今日はウォーキングに出る時間を いつもより早めに設定してみた。 そんな気分だったのだ。
いつものように、ウォーキングのお供の、 万歩計を装着し、財布、携帯、カメラ、タオルを 持って、出かけることにした。
いつもより早い時間(お昼後)なので、 きっと、回りの風景も違うはずである。 ちょっと心がはずむ。 いつもは夕方だからね。 さて、出発。
てくてく
歩いているうちに、 そうだ! 「今日は知らない路地をあてもなく歩いてみる日」 にしよう…などと思い立った。 私はいきなり決心して、 知らない路地に入ってみることにした。 これがなかなか発見があるんですね、いつも。
で、知らない路地路地と探して入ってみた。 ふんふん、こんな道があったのね、だの、 あらら、かわいい家があるのね、だの、 ひぇ〜あやしい喫茶店があるね、だの、 独り言を言いながら、歩いていると… 突然、こんな通りに出くわしたのである。
一軒一軒の家にこんな風に花が飾ってあるのだ。 それがとてもキレイで、この通り一帯だけ、 春爛漫って感じがする。 色とりどりの花でいっぱいで とても新宿区のど真ん中だとは 思えない風情である。
おおっ、これはスゴイ通りだ。 花がいっぱいだぞ。 ほぉ、花通りだ…
私は、立ち止まって写真を撮った。
しかし、ここで疑問に思った。
「こんなに集団で花が飾ってあるってことは、 何かこの周辺でやっているのはないか?」 この地区は決して商業地域ではない。 どちらかというと路地の一角で、住宅街である。
「なんでだろう…?」
私は不思議に思った。 そう思っていたら、 花を飾っている一軒のお宅から、 おばさんが出てきた。 そして、花に水をやり始めた。
私は、このおばさんに思い切って、 聞いてみることにした。 おばさんは、だいたい親切なので、 きっと教えてくれるはず…
私は、さりげなく近づいて、
「この地区は、 とてもお花でキレイですけど、 何かやっているのですか?」 と聞いてみた。
すると、おばさんは、にこにこして、 嬉しそうにこう教えてくれたのだ。
「あのね、新宿区の緑の協定をやっているのよ」 「はっ?緑の協定?」 「そうそう、あのね、地区で花を植えると、 区から補助金がでるのよ。」 「そういう協定があるんですか…」 「そうなの、何でも区の緑化運動のいったんで、 申請すると、補助金5000円くらいもらえてね、 それで、肥料を買ったり、土を買ったり、 プランターを買ったりできるのよ」
知らなかった… そんな「緑の協定」があるとは…
おばさんの説明によると、 近所の10軒以上の家が集まって、 新宿区に申請書を出して、それが許可されると、 緑の協定が成立し、補助金がでるのだそうだ。 本当は現物支給らしいのだが、この地区では、 5000円以内で欲しいものを選んで、 (プランター、土、肥料、殺虫剤など) 指定業者から運んでもらうと言うことだった。
「もっとも、種や球根はこちらで買うから、 それじゃ足りないんだけどね、 でも、楽しいしね。 だから、参加しているのよ」 とおばさんは、言っていたけど。
そんな協定があったのね。
「それで、こんなふうにお花に囲まれているんですね」 「そうなの。この協定はね、ちゃんと回りの人に、 見せることが必要で、年に一度は証拠写真を 撮って区に提出する義務があるのよ」
と言うことだった。 新宿区もいろんなことをやっているのね。 私はとても感心した。
私はひとしきり、花のことをほめて、 緑の協定はいいですね、などと言い、 おばさんにお礼を言って立ち去ろうとした。
すると、そのおばさんは私を引き止めて、 念を押すようにこう言った。
「でもね、あなた、 これは10軒以上じゃないと申請できないし、 マンションじゃ無理なのよ。 マンションじゃ、見せることができないでしょ。 だから、ダメなのよ。 通りに面した地区じゃないとね」
私は、大きくうなづいて、 再度お礼を言って、花通りを後にした。 ふと、時計を見ると、 このおばさんにいろいろな話を聞かされ、 15分くらい立ち話をしていた。 私はこの短い間に、このおばさんの となりの家の種の置き場まで知ってしまった。
というわけで、 花通りの謎は解けたのでした。 新宿区…いろいろとやっているのね。 こんな花たちがいっぱいに咲いてました。
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