2010年02月21日(日) |
役者目線での演劇と映画の違い |
初めての映画撮影(インディーズ)を経験して、同じ『役者として』でも 舞台(演劇)と違うなぁ〜と思ったことあれこれ。
・《演じる場所》 演劇 → 舞台・ステージ、仮想世界。 映画 → シーンごとに場所が異なる、リアル世界。
演劇はステージの上で全てを表現する。だからその世界を表現する為に『舞台装置・大道具』と言ったモノが必要になる。当然、それだけでは限界があるので、演じる役者は舞台ならではの演技演出が必要になる。(例えば、設定上100メートルくらい離れているはずなのに、実距離は5メートルしかなかったら、声の大きさ等で距離感を演出する必要がある) 映画は、シーンごとに撮影場所を変えることで、よりリアルな情景を演出することが出来る。山のシーンであれば実際に山に行って撮影できるし、街並みのシーンであれば実際に街並みに行けばよい。映画は大道具、装置を特に必要としないが(時代劇等を撮影する映画村とかは別)、その代わり、小道具に対する負担が大きいような気がします。
・《台詞》 演劇 → 全部覚える必要アリ 映画 → 最悪シーン直前に必要分だけ覚える(でも済ませられる)
これは…ありがたい(笑) ただ欠点があるならば、撮影日が異なったり、目の前のシーンの台詞だけおっかけてると 演じる役の話全体の感情の流れを見失う恐れアリ、後で映像を見て『最初と最後でキャラ全然違うやん』てなことにならないかが心配です。
・《声の大きさ》 演劇 → 舞台の大きさ、観客の規模によって声量を変える必要アリ 映画 → 各役者間同士の声量さえ統一していれば、あとはマイク次第なので気にする必要なし
初の撮影で、監督に言われた最初のダメ出しが『声でかすぎ、ここ舞台じゃないから(笑)』 意識してたつもりでも…それでも大きかったようです。。。
・《思わぬ雑音》 演劇 → 客席からの携帯の着信音、赤ちゃんの鳴き声 映画 → 車の音飛行機の音等、撮影場所の特有の生活音
結局どっちも、もうどうしようもない不可抗力…待つしかないのだ。
・《意識する先》 演劇 → 観客(視線一方向) 映画 → カメラ(視線他方向)
台詞を発する時の『身体の向き』を意識する基準が、根本的に違う。 演劇は『こっちが前(客席)』という考え方を元に役者は動くのだが、映画には『こっちが前』なんてのは基本ない。自由に動けるのはありがたいが…なんか落ち着かないのは、舞台役者としてのクセだろうか。 と言っても映画でも、動きすぎると『フレームアウト』しちゃうので、それは気をつけないとね。
・《映画には無い演劇特有の概念》 演劇 → ライブ(生)であること、演者と観客がリアルタイムで感情や状況などを共有できる。 一言で言うなら、エンターテイメント性重視。
・《演劇には無い映画特有の概念》 映画 → カット割りであること、映像の見せ方、カメラワークで様々な視覚効果を産み出せること。 一言で言うなら、芸術作品としての完成度重視。
この他…挙げたらキリがない。 同じ『役者』として演じてもこんなにも違うものかと感じました。 驚きであり、新鮮であり、勉強になりました。 まだまだ撮影は続くので、もっとたくさんのことを吸収できればいいなぁ。
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