暴かれた真光日本語版
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2004年10月21日(木) 憑依の精神病理

「憑依の精神病理 ‐現代における憑依の臨床‐」


■■■ 真光関係者集合!!(5)■■■
http://life.2ch.net/psy/kako/1011/10117/1011772654.html

386-393 『憑依の精神病理 ‐現代における憑依の臨床‐』大宮司信著 1993 星和書店 ISBN4-7911-0259-2
『超能力と霊能者 現代の宗教8』高橋紳吾 岩波書店 1997年 ISBN4-00-026078-2
(※真光被害者の会 おすすめの本 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/3760/1076414857/12-20)
星和書店 http://www.seiwa-pb.co.jp/


386 名前:参考書ネタ 1/8 投稿日:02/03/09 13:03
こういう本を見つけた。

『憑依の精神病理 ‐現代における憑依の臨床‐』大宮司信著 四六判 上製 240頁
 2,670円 (税別)〔1993〕星和書店 ISBN4-7911-0259-2
星和書店は、脳・神経・精神・心に関する専門書の出版社のようだ。
同社HPはここ ttp://www.seiwa-pb.co.jp/index.htm 同書の紹介文はこうある。
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臨床医である著者が、自らが経験してきた憑依の患者さんを振り返り、
「憑かれた状態」でさまざまな言動を示す場合を中心に取り上げている。
精神医学という方法で「憑依現象」を解き明かした名著。
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序章末尾には次のようにある。
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また本書は精神医学という方法で憑依現象をときほぐそうとする。したがって
そこにみえるのはある切り口からみた憑依であり、憑依の全体像ではない。
憑依という人間の心に隠れた一面をよくあらわす現象(と筆者は考えるのだが)
全体を見渡す能力は当然筆者にはない。しかし憑依を精神医学的に考えると
どういえるか、という問いには、小さいながら筆者なりの考え方をまとめて
みたいと願っている。
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387 名前:参考書ネタ 2/8 投稿日:02/03/09 13:04
内容は、物語の中の憑依ということから始め、憑依とはどのようなことか、
わが国における憑依の精神医学的研究の歴史、憑依の臨床像、心の病気と憑依、
憑依についての考え方、憑依と治療、精神医学から見た憑依など、平易な文で
書かれていて読みやすい。

組み手の頃は霊動は霊動、精神病は全部霊障のひとことで片づけ、それ以上は
思考停止していたが、読むにつれつくづく物を知らなかったと思った。

それで、ここに挙げる理由なんだけど「第九章 文化現象と憑依」に、
「三 新宗教 1 S教団の場合」というのがあるんだよ。P159−167。
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筆者はかつて某宗教教団の信仰と病理について検討した。そこでの中心課題は、
やはりシャーマニスティックな儀式による憑依であった。ここではS教団(仮称)
という新宗教をめぐって現代の宗教的状況と憑依の関係を考えてみたい。
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教団名は仮称になっているけど、これは崇教のようだよ。初代教祖の経歴や
立教に至る経緯、教義の説明や教団の儀式、その他を読んで考えるとそう取れる。
精神医学者の目から見た真光らしい(?)教団の憑依現象。
参考になるんじゃないか。


388 名前:参考書ネタ 3/8 投稿日:02/03/09 13:05
本は1993年発行だが、某教団について筆者は1979年に論文を書いている。
それを元にこの章を書いているんだね。大事と思う部分を抜き書きするよ。
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S教団関連の自験一〇症例を表7に示す。一例を除きすべて女性である。
年齢は二十二〜五十歳。診断は心因反応五、神経症二、精神分裂病三である。
S教団を訪れた動機は自己の身体的不調の解決を求めてが大多数であった。
一〇例中五例が「浮霊現象」を経験した(表8)。精神症状については、教団の
教義と精神医学的治療との相克が新しい心因となって精神症状の増悪をみた
場合と、「浮霊現象」が精神症状の増悪を来した場合の二通りの形がある。

(中略)

精神科医の立場からは次の二点が問題と考える。第一はS教団の現代医療
批判である。日本の新宗教の多くは医学をはじめとする現代医学と拮抗せず、
調和をとりながら教勢を広めている。しかし、S教団は立教の始めから
積極的に、そして攻撃的に公害や薬害を批判し、教勢を伸ばしてきた。
多くの教団が協調をはかっている中で、S教団のみ積極的に尖鋭な医療批判を
行っているのである。こうしたことは、一方で現代的な課題を荷っていると
受け入れられても、信者の多くは受け入れないか、葛藤が生じるだろう。


389 名前:参考書ネタ 4/8 投稿日:02/03/09 13:06
第二の問題は「浮霊」である。表7の一〇症例のうち「浮霊」を経験した
五症例を表8にまとめた。全例とも何らかの不随意運動を呈し、三例において
人格変換体験を伴う憑依症状を示した。五例中四例は「浮霊」を契機として
精神症状が増悪した。これは何故か。先に述べたM儀式から考えると、
儀式中、求道者は暗示にかかりやすい状態、つまり催眠にかかりやすい状態に
なり、これが精神症状悪化の原因になっているのではないか。(後略)

従来わが国の民間信仰や新宗教は、憑依を起こしたシャーマン的教祖に正気のまま
導かれる信者という構造があった。たとえ教祖が精神医学的に病的であったとしても
信徒がすべてそうなることはない。しかしS教団の場合、信徒一人一人が「シャー
マン化」し、精神医学的な危機に陥る恐れがある。表8の「浮霊」を来した症例は
この恐れを裏付けていよう。

S教団の問題点は、特殊な一教団に限られた現象ではなく、これまでわが国で
起こった多くの新宗教の問題点と軌を一にしている。S教団は初代教祖の死、
後継者争いを通し、現二代目教祖の指導のもとに、信徒の再組織化と教義の
整理が軌道にのり、現代医療と調和してゆく方向も認められる。これらの
動向は社会のいわば辺縁的(marginal)な存在であった同教団の中心(core)への
進出であり、今後も注目してゆく必要があろう。


390 名前:参考書ネタ 5/8 投稿日:02/03/09 13:09
最近筆者は十年ぶりに、S教団を宗教治療の側面から、同教団の某支部の許可を
得て検討した。宗教儀礼などは同じであるものの、宗教的治療に関する国際
シンポジウムの開催などに明らかなように、かつてに比べるとはるかに宗教
治療的側面、精神療法ないし集団療法的側面を前面に打ち出していることを
実感した。またM儀式も治療的役割をはたすものが多くみられた。(後略)

(略)

この事例ではM儀式を受ける側から与える側になり、他の病む人に自分が
癒し手となる体験を積んだことが治療的に大きな意味をもったと筆者は
考える。
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読んだ感想として。
随分S教団に配慮して書いているようだ。精神科医の立場から問題点を挙げて、
最後にはフォローを入れているという感じだ。次の円応教の取り扱い方と
大分違うと思う。円応教は実名を出して教祖の精神分析もしているのだが。
念のために言うと、これは私の感想で読み違いもあるかもしれない。


391 名前:参考書ネタ 6/8 投稿日:02/03/09 13:10
このS教団が崇教だった場合、元信者としては「ふーん」と思う。そんなに
改善されてたかな。病気直しではないとさんざん言われたのにさ。

診断にある「心因」というのは、精神障害の原因として分類されている物の
ひとつらしい。別の本を参考にすると「内因、外因、心因」という分類がよく
使われるようだ。「心因」は精神障害が心理的、環境的要因から引き起こされた
場合を指し、神経症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などが該当するそうだ。
精神障害は精神の異常や偏りを総称する広い概念で、精神病は精神障害の一部だって。

心因は『憑依の精神病理』の中にもあった。違う章での説明だが、書き写す。
「典型的な心因は家庭内の些細な事件とか、人間関係が多い。これとは別に
祈祷師や占い師による暗示も憑依発症の心因となる。宗教儀式における太鼓たたき
などの常同的な行為で発症することもしばしばある。」だそうだ。

読む者の信念や経験によって、同じ本でも持つ感想は違うだろう。それでも
一度、虚心になって通読してみてもいいのではないか。

もうひとつ感想を言うと「よく無事だったな、私は」だよ。霊動も出ていた、
霊査も受けていた。よく振り回されなかったものだ(いや、振り回されたな)。
背中に汗をかいたよ。


392 名前:参考書ネタ 7/8 投稿日:02/03/09 13:12
上記の本を読んだ後、下記の本に目を通した。破壊的カルトやマインド
コントロールに関するHPや書籍でしばしば推薦されているものだ。
今まで読む気が起こらなかったのだけど、ようやく気が向いたよ。
(組み手だったことの後遺症だろうね。憑依なんていうものからは
遠のいていたかったんだ。ようやく直視して勉強する気になったらしい)

『超能力と霊能者 現代の宗教8』高橋紳吾 岩波書店 1997年
ISBN4-00-026078-2

表紙見返しには、こうある。
「超能力や憑きもの、心霊主義、サイ現象、カルトのマインドコントロールなど、
古今東西を問わず事件や犯罪となって世間を騒がすことの多い現象には、なにか
共通点があるのだろうか? 超能力や霊能者の実態を、生理学的・精神病理学的に
解き明かし、現代宗教のかかえる問題の背景に迫る。」

筆者は精神病理学・精神医学を専門とし、特に都市におこる憑依現象に着目
しつづけている医学博士だそうな。

それで、『憑依の精神病理』がこの本の中で引き合いに出されているんだ。


393 名前:参考書ネタ 8/8 投稿日:02/03/09 13:14
症例を一件出したあと(これがS教団の「〇〇のわざ」という治療を
受けた人の憑依例で診断は「祈祷性精神病」)、こう書いているんだ。
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この様な事例に遭遇する精神科医は少なくないらしく、たとえば浜松医大の石川元は
「S教の体験的理解」という研修会参加のルポを専門誌に載せ、北大の大宮司信は
この教団の一〇自験例を検討した論文を発表している。(P93)
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そして大宮司氏の「従来わが国の民間信仰や新宗教は(中略)精神医学的な危機に陥る
恐れがある。」という意見も紹介している。注で『憑依の精神病理』を明記してる。

このくだりを読んだときの感想は「ぞっとしたのと同時にほっとした」だ。
「大宮司氏の危惧が精神科医なり精神医学の世界で無視されているわけではない、
ってことはやはり危ないか・・。でも、信者一人一人が精神医学的な危機に陥る
危険性について着目してくれている精神科医はひとりではないんだ」と思ってさ。

それにしても、2冊読んで >>241 が教えてくれたことの信憑性が増した感じだ。

以上は私の勝手な感想なので読み違いもあるかもしれない。公平に抜き書きをして
いるつもりだが、バイアスがかかっている可能性なきにしもあらずだ。
関心を持った人は各自で読んでいただきたい。



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