2010年12月01日(水) |
ボク少女とヴァン・ダインの二十則 |
Wikipediaは一般人が編集できるシステムになっているため、結構オタクな方面で妙に詳しい解説が見られたりします。
ある時、ふと思い立って、「ボクっ娘」をwikipediaで調べたら「ボク少女」という項目が出ました。この単語を使われたのは見たことないのですが、まあ辞書的な言い回しで味があるといえばありますな。 「ボク少女」の使用例としては、キャラクターの特徴づけが主たるもの、と説明されています。
wikipediaなど、インターネットの辞書を調べていると、リンクをたどって、いつの間にか全く関係のない項目を読んでいることがよくありますが、今回の場合も、ふと気が付いたら、「ヴァン・ダインの二十則」という項目を読んでいました。 なぜここにたどり着いたのかというと、ボクっ娘は「叙述トリック」に使われることもあるからです。
叙述トリックというのは文章から連想される先入観を逆手に取ったミステリーのトリックの一種です。例えば、ボクっ娘の場合は「僕」という一人称だから「男性」だろうという思い込みを利用するのですね。
で、ミステリーの華であるトリックですが、ストーリーをただ追って楽しむだけではなく、読み手も謎解きを楽しめるという一種のゲームブックも兼ねているもので、そのゲームのルールが暗黙の了解として存在するようです。 例えば「本編の中にトリックを解き明かす全てのヒントを入れておかなければならない」などの決め事でそれが守られていないミステリー作品は読者に対して公平性を欠くとして非難される場合もあります。
叙述トリックはそういう意味で公平でないため、ミステリーファンからは嫌われる場合が多いです。例えば、「語り手」が犯人である場合などは、読者は犯人から受け取る情報を元に、推理をすることになります。つまり、読者として与えられる情報が信頼性に欠けているわけです。 これは、ミステリー用語でいうところの「信頼できない語り手」といわれます。
この叙述トリックはアガサ・クリスティの「アクロイド殺し」に端を発するものとされており、この作品が発表された当初、「語り手が犯人」という読者を騙すような手法に相当な論争が起こったそうです。
このような読者に対してアンフェアな要素を極力廃するために考えられたのが「ヴァン・ダインの二十則」というわけです。 しかしこの二十則、推理ゲームではなく、自由に小説を書きたいと考えると結構視野の狭い、好みの偏った法則で、ストーリー的にはこの二十則を破ったほうが絶対に面白くなると思います。
【ボク少女 - Wikipedia】 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%82%AF%E5%B0%91%E5%A5%B3 【ヴァン・ダインの二十則 - Wikipedia】 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%BA%8C%E5%8D%81%E5%89%87
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