なか杉こうの日記
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| 2006年03月19日(日) |
「チャングムの誓い」の素晴らしさ |
昨夜は「チャングムの誓い」のDVDを三回分も見てしまった。もう見出すとやめられない。ほかにすることがあるのに。きのうはやさしくて飄々としてユーモアもあり、信念もあるチェゴサングンが亡くなった・・・。チャングムは山にのぼり遺灰を崖の上から撒く。「わたしは小さい頃から宮中しか知らないから、チャングム、もし私が死んだら遺灰を山の上から撒いておくれ。そうしたら知らない世界を見ることができるから」と言っていたとおり。
この情景はうつくしい。チャングムが小さい頃から「おばあちゃん」みたいだったチェゴサングンのエピソードが語られる。もともとチェゴサングンは風流人として、権力とははずれたところで日々を過ごしていたのだが、いはば傀儡のような形でかつぎだされたのである。
ところが、この人は信念の人であった。「かりにも人の口にのぼる料理を権力の道具とするとは何事か」と言い、徹底して権威と戦う。誰にも平等で、やさしい。飄々としたユーモアの持ち主だ。それは病に臥してからも変わらない。
見舞いにやってきたハン・サングンが感こもって敬意の礼を帰るときにしようとすると、チェゴサングンは「病人にそのような正式な礼をするというのは、病人をあの世に送り出すという意味なのだよ」といい、やめさせる。このユーモア。
「チャングムの誓い」は台詞が珠玉のごとくだ。それは少しも教訓じみていない。真珠のようである。詩的である。
この言葉をハングルではなんとしゃべるのだろう、と興味津々である。だんだん見ていくと、魅力あるのは主人公のチャングムやミン・ジョンホではなく、サブキャストの人々である。チェゴサングンはもとより、クミョンの翳。かわいい、後に側室となるヨンセン、もちろん、カン・ドック夫妻。 そして王の中宗、皇后(この人は実にしゃきしゃきとした今風な人事管理意識を持っている。)
これほどキャラクターにぴったりとした役者を集めた監督のイ・ビョンホンには感服する。そしてこの詩的な脚本を書いた女性キム・ヨンヒンにも。この二人は「チャングム」を書くにあたって古今東西の文学作品を読み漁ったという。そのなかには源氏物語も含まれていたという。
この文を読んでくださっている方へ。ぜひぜひ「チャングムの誓い」をご覧ください。この詩的な脚本、映像の美しさ、キャラクターの多様さ。そしてユーモアをぜひぜひ味わってください。金曜夜11時からNHKです。
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