なか杉こうの日記
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冬枯れの景色が好きだ。中学生ぐらいの頃から、たとえば試験が終わり早い時間に電車に乗り、窓から色のない山や畑を眺める。あれほど夏の盛りにはぎらぎら燃えるようだった緑も、今は灰色。枯れた木々の向こうから落ち葉を燃やす煙が上がる。
冬枯れの道。友達と遊びにゆく、森閑とした小道。煙の臭いがどこからか、漂う。曇りの道。
冬枯れの野山が日に白く照らされているのもいい。じいっと黙っている。黙っているけれど、いろいろな会話をしているのが聞こえる。それはうるさくない。じっと、いるだけ。
いまはもう、春なのだけれど、さくらも少ししか咲いていないし、むしろ冬枯れの景色の方がまだ、目立つ。
人間を相手にするより、色のない木々を眺めている方が好きである。方が、というより、絶対的に好きである。ゼロ対百パーセント。
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