読書記録

2016年05月29日(日) 母の日記          秋川 リサ

 秋川 リサ さんのことはある意味、あこがれだった。
私にもあった青春時代を代表するような雑誌『アンアン』の表紙をも飾る売れっ子モデルだったのだから。
あんなにスレンダーで可愛くて舌足らずの物言いで 同じ女性として何故にこうも違うのかと自問した日も数多くあったし。

もっとお若いのかと思っていたら私より2歳下だけの同年代、プロフイールについては当時も把握していたはずなんだけど。

それが 徘徊、失禁もある実母の介護に苦労されていることをこの本で初めて知った。
でもこの本の中では愚痴めいたことも悲壮感もなかった。
お嬢さんの存在と手助け、それに徘徊に付き合ってくれる飼い犬テェリー。

そして趣味のビーズ刺繍のことも知って、こちらのほうが私には興味があった。

お母さんがリサさんの言うことは聞かなくても娘さん、お母さんからすれば孫のことは聞くということで了承してもらえたディサービスにショートステイ。
普段は入れなかったお母さんの部屋で見つけた日記。
そこには 私やかつての私の夫への不平不満、罵詈雑言が書かれた日記だった。
『娘なんて産まなきゃよかった。一人で生きている方がよっぽどよかった』。私にとって初めて聞く言葉ではない。小さい頃から言われ続けてきた言葉でした」
米軍人だったリサさんの父が日本を離れた後、母は苦労してリサさんを育てた。モデルの仕事を始めてからはリサさんが家計を支え、2人で海外も旅行した。母もうれしそうだった。多少は感謝の思いも持ってくれていると思っていたが、日記には「生活の面倒を見ているからって、偉そうに」と書かれていた。
ショックだったろうなぁと思う。


でもお母さんの介護を通じてリサさんが思い至ったのは、自分の老後だそうな。
正に私も主人と私の4人の親を見送って思うのはそのことにつきる。
どうすれば あまり子供たちに迷惑をかけないで死ぬか、そのことばかり最近は思う。






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fuu [MAIL]