読書記録

2016年02月18日(木) 若冲     澤田 瞳子


 若冲については、鶏の絵ばかりを描いたという知識しか持っていなかった。

ウィキペディアでは生涯、妻帯しなかったとあるが、この物語では絵に没頭して新妻を思いやらず自死に至らしめたという設定になっていた。
 京・錦小路の青物問屋「枡源」の主人でありながら家督を弟に譲り、絵画に没頭する隠遁生活を送ったとある。
そして妻を死なせてしまったという自責の念からこの物語は始まるのだ。
若冲の異母妹であるお志乃も自分が、別な異母兄や義母に疎まれる存在であることから、若冲が没頭していく絵画の手助けをする。

若くて自死した姉のお三輪を不憫に思うあまり、若冲への恨みを剥き出しに若冲の贋作を描き続ける義弟、市川君圭との相克、等 読み応えのある物語だった。

絵に向かう若冲の様子や、お志乃の人となりもまるで動画をみるような感じでかなり迫るものがあった。

そのうち、映画にでもなりそうな感じは持ったけれど、それにしても作家というのはすごいなぁと改めて感心した。











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