読書記録

1998年06月13日(土) 朱夏              宮尾 登美子


私の母が満州引き上げということもあって、この手の小説に少々神経質になっている。いろいろなことがあって日本に引き上げてきて、昭和22年に子までなしているのに母は離婚して、その後私の実父と再婚している。
ここでは書ききれないことがあって母は満州引き上げのことをほとんど語らなかった。語れなかった・・というのが真実だろう。
私もあえて聞こうとはしなかった。その代わりというのもおかしいが、私はこの手の小説をあえて読んだ・・。



果してまだ、日本はあるのか…?同郷の土佐から入植した開拓団の子弟教育にあたる夫、生後まもない娘と共に、満州へ渡った綾子は十八歳。わずか数カ月後、この地で敗戦を迎えることになろうとは。昨日までの人間観・価値観はもろくも崩れ去り、一瞬にして暗転する運命、しのび寄る厳寒。苛酷無比、めくるめく五百三十日を熟成の筆で再現


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