さかざきが綴る「アンティークな日々」
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2005年06月05日(日) |
京都の思い出 その2 |
また別な折、京都の思い出といえば、やはりお客様に「芸妓遊び」に連れて行っていただいたことでしょうか。そのお客様は、エンジェルコレクションでは珍しい男性のお客様、名古屋でご自身の会社を経営されている実業家です。実業家といっても、その方の魅力は絵画や歴史に大変造詣が深くていらっしゃること。ご自宅にお邪魔すると、素晴らしい絵画や刀、鎧など様々なミュージアムピースに溢れていて、さながら「触って遊べる美術館」のようなおうちなのです。
その方とはコレクションされていたステッキを介してのお付き合い。ヘッドがアイボリーの繊細な彫刻で出来たもの、美しいシルバーの細工の礼装用のもの、ハンドルの中に小さなウィスキーボトルとグラスが仕込まれたチャーミングなもの、ヘッドが小さなポーセリンのハーフドールになっている女性用のもの。様々なステッキをイギリスからその方のために運びました。
そんなある年、まだ松の内も明けないなか、「食事でもしよう。名古屋駅で待ち合わせを。」という連絡に、名古屋駅まで出かけてみると、「今から京都まで行くから。」と。誘われるままに京都行きの新幹線に乗り、京都駅から南禅寺近くの料亭に連れて行かれると、彼の馴染みの置き屋の芸妓さん方が来ていて、思いもかけず「芸妓遊びの夜」を味わうことになったのでした。
芸妓さんといっても、本当にまだ若い女の子。でも流石にその道のプロだけあって、お客様を飽きさせず、踊りも上手、何よりお正月用の衣装の綺麗だったこと。芸妓さんが「お正月用の飾り」と言って付けていた稲穂の髪飾り、置き屋のお母さんの小さな小さな名刺、見た目も美しい懐石料理、さながら日本文化の万華鏡のような一夜でした。
その夜、またふたたび新幹線に乗って名古屋に帰り着いたのが、夜中の12時近く。まるで魔法が解けたシンデレラのような気分でした。
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