18.空 (3) - 2008年01月14日(月) 里村さんは今日は何をしてましたか?雑誌とかの撮影かな…。 そうだ、いい加減里村さんが撮った写真が載ってる雑誌教えて下さいよ。本屋で女性向けのファッション雑誌とかおじさん向けの週刊誌とか立ち読みするの、ちょっと恥ずかしいです。 自分で里村さんの名前を見つけると凄く嬉しくなるけど、里村さんが教えてくれれば恥ずかしい思いをする時間が減るんです。いい加減教えて下さい。 里村さん、ちゃんとご飯食べてますか?この間会った時、前より少し痩せていたから心配です。 写真も良いけれど、ご飯も食べて下さい。ちゃんとご飯食べないと、その内写真も撮れなくなりますよ。 栄養バランスを考えろとは言いませんけど…。そこまで言ったら、また『お前は俺の母ちゃんか』って言われそうなので。 そういえば、さっき里村さんと同じ香水を付けてる人がいました。女の人だけど。 里村さんの香水、何ていう香水ですか?今度会った時、教えて下さい。 それではまた。 長谷 秋人』 本当に長い…、本当にクソ真面目なヤツ。 あんまり勉強ばっかりしてんなって言ったのに勉強ばっかりらしいし、つまんない写真ばっかり載ってる雑誌は見なくて良いって言ったのに見てるし…。 口煩いし、全っ然可愛げないし、本当に面白くないヤツだけど。 俺にはちゃんと伝わってるよ、お前が『会いたい』って思ってる事。 会って、抱き合ってキスして…、そんな普通の恋人同士みたいな事したいって思ってる事。だけど、それを俺に伝えられない事も。 だって、俺も同じだからさ。 今は会いに行く事は出来ない。今度いつ会えるかも分からない。 明日の仕事を切り捨ててまで、お前に会いに行けるほど俺はもう子供じゃないんだ。引き受けた仕事はこなさなきゃいけないくらいには大人になっちまったからさ。 だけど、見上げた空はお前から見える空と繋がってる。勉強ばっかして頭でっかちになったお前は、そんな事に気付かないだろ? だから、俺が教えてやるよ。 離れてたって同じものは見れるし、変わらない事だってあるって事。 携帯の受信ボックスを閉じて、リダイアル画面を開く。迷わずアイツの番号で通話ボタンを押した。 数回目の呼び出し音を聞きながら、俺はアイツに最初に何て言ってやろうかなんて考えていた。 ***** 『幻』の続きです。 確かカメラマン×高校生って設定で書いてた筈。 さらに続きを考えていたけれど、もう覚えてないです。 いつか…書いてみるかもしれない。 追記 『幻』と『空』は実はお題小説として書いた物ではなくて、別のタイトルが付いてました(別の場所で書いてたぐらいだからね)。 でも、「あ、このお題でいけるんじゃね?」って事で、お題小説としてUP。ちょっとズルしました。 お題制覇まであと3題。これが終わったら、もうお題でなんて書かないぞ(苦笑) -
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