2.恋 - 2005年07月26日(火) 「キスしようか」 「は?」 先輩の言葉に、俺は彼に振り向いた。 先輩の顔が目の前にあって、答えるよりも早く唇が重なり合う。 避ける暇もない、早業だった。 暇があっても、俺は多分避けなかったんじゃないかと思うけれど。 柔らかい感触、少し冷たい体温、閉じた瞼に真っ黒な睫がすごく綺麗だ。 男にされているというのに、それもただ唇を重ねただけなのに、先輩のキスは気持ち良かった。 身体が熱くなるくらいに。 「…何故ですか?」 唇が離れて、俺は先輩にそう尋ねた。 何故、キスしたのか。何故、しようと思ったのか。それが知りたかった。 「いいじゃない。減るもんじゃないし」 「そういう問題じゃ、ありません」 「真面目だね」 くすっと笑われてムカつく…どころか、余計に身体が熱くなる。 どうしたんだろう、俺…。今日、なんか変だ。 今日っていうか、先輩にキスされてから。 「あんまり気にしないで?誰でも良かったんだ」 「誰でも…?」 「そう、なんかそういう気分だったの。それで君がここにいたから、ね?」 ね?って言われても…。 「いつもそうなんですか?」 「え?」 「キスしたくなったら、誰とでもするんですか?」 「そんなこと、君が気にすることじゃないよ」 にっこりと微笑まれて、俺は困惑する。 この人はいつもそうだ。いつもにこにこと笑っていて何を考えているのか、まるで分からない。 先輩の腕を引き寄せて、その身体を強く抱き締める。 「な…」 「誰でもいいんなら、俺だけにして下さい」 先輩は驚いたのか困ってるのか、身じろぎする。 それすらも許さないというように、さらに力を込めた。 「したくなったら、俺に言って下さい。他の人に言ったら駄目ですよ」 「な、何で…」 「誰でも良いんでしょう?先輩」 「そ、そうだけど…」 「じゃあ、俺だけでもいいでしょう?先輩がしたくなったら、いつでもどこにいても飛んでいきますから」 「でも、それってなんか変じゃない?」 確かに。これじゃあまるで恋人同士みたいだ。 だけど…、 「先輩が悪いんですよ、俺にキスなんかするから」 ***** いまいち意味が分からない気がするが、それはいつものことなので気にしない(爆) 先輩って誰よって感じですね。オリジナルなんですが、とにかく年上受にしたかったのです。 私の受は相手に迫られると、逃げたくなる傾向にあるようです…。 -
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