墜落天使 3−2 - 2005年04月10日(日) 「ねえ、進路決めた?」 またか…。マナは最近、俺の顔を見る度にそう聞いてくる。 「朝から萎えるようなこと聞くなよ…。その話ならパスだ」 「もうっ、あんたはいっつもそうじゃない!いつになったら、進路教えてくれるのよ!」 教えるも何も、決めてないんだ。仕方がないだろ? 「俺の進路なんて、マナには関係ないだろ?」 「大ありなのよ!バカ!!」 何の関係があるって言うんだよ…。 時々、マナの言う事が分からない。昔はそんなことなかったのに。 「…まあ、その内な」 マナがぎゃあぎゃあと騒ぎ始めたので、俺は彼女を置いて一人で歩き出した。 「その内っていつよ!?トオルのバカ!!」 背後からマナの叫ぶ声が聞こえたが、気に留めることはなかった。 進路―――遠い未来のことなんか考えたくない。 生きているのは“現在”なのに、何で先のことまで考えなきゃいけないんだ? 俺の頭の中は、今楽して生きる事を考えるだけでいっぱいいっぱいだ。 教室に入って、本鈴が鳴って、担任教師が教室に入ってくる。 担任は何か話をしているようだが、俺の耳には入ってこない。 俺はただ窓の外を眺めていた。特に何かある訳ではないんだが、雲一つない、綺麗な青空が広がっている。 日向ぼっこをすれば、気持ち良さそうだな―――そんなことを考えていた。 それはいつも通りの日常だった。やがて担任が教室を出て行って、一時間目の授業が始まる…その筈だったのに。 「―――ルさんっ、トオルさんっ!」 俺は自分の耳を疑った。突然聞こえてきたその声は…。 「トオルさんってばっ!何で起こしてくれなかったんですかぁ!酷いですよー、置いてっちゃうなんてー!!」 アイツの声だった。教卓を見れば、ひらひらと手を振っているアイツの…シズクの姿があった。 クラスにざわめきが怒る。担任が驚いた顔で、シズクを見ていた。 「お前…、何でここに…?」 「何を言ってるんですかー。いつも一緒にいなきゃ、意味がないでしょ?」 にっこりと微笑むシズクの顔の横に、“白鳥 雫”と書かれた黒板の文字が目に映る。 やられた…。 俺の愛すべき平凡な日常は、アイツに完全に奪われてしまったようだ。 了 ***** 天使君、学校に現るの巻。 いきなりキャラに名前がついてます…。変なので、2話の方に“自己紹介をする”シーンを入れておきました。 本当は2話を書いてる時にはもう名前を考えていて、自己紹介させなくちゃって思っていたのに忘れてました(笑) 天使君の名前はシズクで決定だったんですが、学校に転校してくるとなると姓もいるよな…ってことで天使っぽい名前を考えたら、妙に美少女っぽい名前に(笑) 一応書いておきますが、 俺(主人公)=早瀬 透 天使君=シズク(学校では白鳥 雫) 幼馴染の女の子=倉本 真奈 という名前です。 -
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