13.雨 - 2005年04月28日(木) ぽつぽつぽつ…。 窓を叩くような音がして、俺は目を覚ました。 雨だ、雨が降っている。 そう思うと、何だか急に不安になってくる。 昔からそうなんだ。夜、眠る時に雨音が聞こえてくると、不安で怖くて眠れない。 寝てる最中に降って、そのまま気がつかずに朝を迎えることもある。それなら良いんだ。 だけど、今は目を覚ましてしまった。 どうしよう、もうきっと眠れない。 俺は、背を向けて眠っているカズヤのパジャマを両手で掴んだ。 布団で耳を塞いで、カズヤの背中に額をくっつける。 それでも風が吹く度に、窓を叩く雨音が聞こえた。 身体の震えが止まらなくなる。 「…どうした?」 俺の身体の震えに気がついたのか、カズヤは俺に向き直った。 寝起きが悪いカズヤは、どこか不機嫌そうに俺を見る。 それでも構わずに、俺はカズヤに擦り寄った。 「雨、降ってる」 俺はこの感情を何て説明していいのか分からなかった。 子供の頃からずっとこうなんだけど、理由は分からない。 何が怖いのか、何で怖いのか。 「ああ…、降ってるみたいだな」 「怖い、寝れない。助けて」 まるで子供のようにカズヤに縋りつくと、理由も分からないのに涙が零れた。 カズヤはそんな俺を見て、子供にするようによしよしと頭を撫でる。 「泣くなよ…。ここにいれば濡れないし、寒くないだろ?」 「でも、音がする。あれ、怖い」 不規則に窓を叩く音に、身体がびくびくと震えそうになる。 「分かった。耳、塞いでてやるから」 そう言って、カズヤは俺の左耳を手で塞いだ。 そうすると本当に雨音は聞こえなくなった。右耳から聞こえてくるのは、カズヤの心臓の音。 温かいぬくもりと規則的な音に、俺の不安は自然と消えていった。 「心配すんな。何があっても守ってやるから」 眠りにつく直前に聞いたのは、そんなカズヤの声だった。 翌日、昨日の雨が嘘のような青空が広がっていた。 「昨日、良い夢見た」 洗面台に並んで立って、歯を磨いているとカズヤが突然話を切り出した。 「へえ、どんな?」 「タカシが泣きながら、俺に縋りついてくんの。“怖い”とか言って」 どうやらカズヤは、昨日の出来事を夢の話だと思っているみたいだ。 何でそう思ったのか…、多分寝ぼけてたんだろうなぁ、あの時。 まあ、俺としては都合の良いけれどね。 「ふーん、有り得ない夢だね」 にっこりと笑って返すと、カズヤは不服そうに眉を潜めた。 夢だと思っててよ、恥ずかしいから。 俺の弱いとこなんて、知らないでいて。 全てを曝け出せるほど強くはないから。 了 ***** うーん、意味分からんね(笑) 夜寝る時、雨音が聞こえると怖くないですか?遙だけですか? 私は妙に怖くて、いっつも“ここにいれば濡れないし、寒くない”と言い聞かせて寝てます。 もしかしたら、私もカズヤみたいな人が欲しいのかもしれませんねぇ。 墜落天使は休止中。サイトが出来たら、そっちで書こうかと。 -
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