++いつか海へ還るまで++

雨が降る 代わりに泣いて いるように

降り続く雨 降り止まぬ雨


2011年06月08日(水) 誓。



恋人と電話で話した。

仕事が立て込んでいる状況や
お父さんのセカンド・オピニオンを探していることなどを
静かな、しっかりとした口調で話す彼。

どんなにか疲れて気も張っていることだろうに。
そう思うと相槌を打つだけで精一杯で
しっかりしなくてはと思うほどに
胸が詰まって言葉にならない。

そんな中で恋人が ぽつり 
逢いたいなぁ と言った。

逢いたいねぇ とわたしも言った。

抑えていたものが溢れてあとからあとから零れ落ちた。


しばらくして

恋人が
こんな時にだけど いや こんなときだから かもしれないけど
両親に会って貰うことはできるだろうか と。

耳を疑った。
お父さんを安心させる為にはわたしではダメだろうと
思っていたから。
わたしが実は何よりも恐れていたのは
例えば長く逢えなくなるかもしれないことではなくて
その為に別れを切り出されることだったから。

彼は 
「正直今までいつかとは思っていたけれど
ぬるま湯に浸かってその心地よさに甘えていたんだと思う」
と 話した。

今いちばんの望みは 

「側にいて欲しい」

「気力が萎えそうになった時 支えていて欲しい」

「これからも一緒に生きて 一緒に死んで欲しい」と

他に何もいらないから・・・と。


わたしは

「もうひとりになるのは嫌なの」

と 言って泣いた。


わたしも彼も寂しがり屋で臆病でそのくせ人見知りで
心の弱い人間なのだ。
美しくも特別でもない
どこにでもいるありふれた中年のオジサンとオバサン。

それでもそこにはたったひとつの
世界が
物語が ある。


恋しいだけで突き進めるほどにもう若くはなくなってしまった。

だけどだからこそ 大切にしていきたい想いが ある。


「これからも一緒に生きて 一緒に死んでいく」

その言葉でわたしはまた今日を踏ん張っていける
そう思った。




ありがとう といって

切れた電話を胸に抱いた。


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ゆうなぎ [MAIL]

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