「戻り道」
戻るつもりなく 過ぎたはずの時間
戻りたいとは 思わないつもりで ずっと
何になるわけでもない 戻って何を求める?
今を生きるということ 逃げるのではなく
わかっているのに まるで遙か手から離れた風船を追うように 戻れれば少し変われるような気がして
見ないようにしていた 戻り道 あるはずもない 戻り道
それでも こんな夜には
細く暗闇の中に 見える幻の
あれは
戻り道
決して行くことのできぬ
*
「衝動」
壊れてしまいたい衝動 壊されてしまいたい衝動 凶暴なほどに
泣きたいほどに
*
「欠片(かけら)」
胸に刺さって抜けない欠片 いっそ押し込んで息を止めてしまえば 楽になれるだろうか
*
「鍵」
二度と開けられない鍵を 捨てられずに 幸せの形見のように持っている
*
「まぼろしの花」
虫は虫 花にはなれず
虫に生きられるのは 虫の命
虫の心に花の夢 消えずとも 虫は虫 花にはなれず
それでも夢見る虫
年老いて虫 虫として生きられず ましてや花になれるはずもなく
今 息絶えようとする 花を夢見た虫
それを愚かだと 人は言えども
虫は虫 最期まで虫
けれどその心に 咲いた花は 誰も散らせず
たとえ幻でも
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ゆうなぎ
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