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2006年06月27日(火) 御噺 『シンデレラなんて大嫌い』

    御噺 「シンデレラなんて大嫌い」


あたし 初めから大嫌いだった 彼女!

お母様が あの しょぼくれた お義父様と再婚して
妹とあたしを連れて この家に来た時 おどおどとした目で
あたし達を見ていたときから なんだか嫌な予感はしてたんだもん。

案の定 彼女は3秒に1回は泣き崩れてた。
お母様ははっきりした性格だから 確かにきついことも言うけど
その分さばさばしてて陰険なところなんて無い人なのに
一言 言うたびに「そうやって 私を邪魔になさるのですね」って言って
走り去られちゃ さすがに呆然としちゃうわよ。

確かに シンデレラは綺麗だと思う。
そうねーどちらかというと 繊細な美しさってやつ・・・
そりゃ あの今にも倒れちゃう様な雰囲気でよよよって泣き崩れたり
されたら 男の人はメロメロになっちゃうと思うわね。

それに 確かに本人は計算してやってるわけじゃないんだもん。
あたし 彼女のこと大嫌いだけど それはちゃんとわかってるのよ
要するに 物事を悪い方にしか考えられない
悲劇のヒロインタイプって訳よ ね。
それが極端だって事かもね。

でも ヒロイン願望が高じて まさか お城の舞踏会に 
こっそり行っちゃうとはさすがに思わなかったわよ。

だって 招待状が家にも来て お母様が「上の二人にはこのドレスを・・・
そうしてシンデレラは・・・」って言ったとたんに 
最後まで聞きもしないで
「ええ・・・良いんですわ・・・どうせ私なんてお家で
お掃除でもしていればいいと思ってらっしゃるんでしょうから!」
そう言っていつものごとく走り去ったのよ。
呆然としてるあたし達を残して・・・。

もうお母様も慣れたものだから ため息つきながら「仕方ないわね 
落ち着いたら話してみましょうか」って言って・・・。.
だけど「いいんです!私なんかどうせ!!!」
って 言い張るから 結局 お母様とあたしと妹で行ったって訳・・・。


舞踏会は そうねぇー たいして楽しいものでもなかったわね。
どうも 王子様のお妃を決める為に 催されたものらしかったけど
あたしはゴメンだって思ったわね。
妹も同じ意見だったんだけど 王子様ときたら 
なんだか変に物憂げな顔なんかした気取った二枚目って感じで・・・
そうそう シンデレラと気があいそうって感じかな。

だから あの子 素直にくれば良かったのにって思ったんだもん あたし

そしたら 何日かして お城からお使いが来て 
「この家に舞踏会に来た娘はいないか」って言うでしょ。 
とりあえず あたしと妹が呼ばれて 
ガラスで出来た靴を履いてみてくれって・・・。

それが小さい靴でさ こんなの入る子なんて いるのかなぁって
思ってたら、奥から妙に珍しく着飾ったシンデレラが出てきて
「私に履かせて下さい」なんて言うんだもん 
びっくりしたわよ。


良く聞いてみたら あの後こっそり 舞踏会に行ったって言うじゃない。
行きたかったんなら 初めから素直に行けっていうのよ。
その上 思わせぶりにガラスの靴なんて 落として来ちゃってさ。
まぁ 別に良いんだけどね。 
王子様とシンデレラはとっても お似合いだったし、
これで あの子も幸せになるだろうし 
悲劇のヒロインごっこに付き合わされるのも終わりねって思ってたのに。

それが 王子様にあること無いこと吹き込んでて 
王子様はシンデレラを苛めていた継母と義理の姉達を連れてこいって
激怒してるって言うじゃない。
冗談じゃないわよー

だから この家とこの国を捨てて逃げることにしたのよ。
だって 相手は思いきり思いこみの強い 次期王と王妃だもん。
なんて言ったって無駄だわよ。

さすがの お母様も妹も訳が分からないままに悪役にされちゃってて
めげてたけど あたし 言ったのよ!
「どこでだって生きていけるんだし こんな馬鹿なことに付き合って
命を落とすことなんてないんだから・・・」って。

今日の夜には この家を出ることにしてるんだけど 
まったく思いこみの強い美少女ほどやっかいなものはないわね!


だからね
「シンデレラなんて大嫌い!」って
うん お城に向かってちょっとささやかに叫んでみたりするわけ!

まぁ いいわよ!
今度の国では どんなことがあたしを待ってるかしら
そう考えるとウキウキしてきちゃうもん!!


元気出して さぁ!出発よ!!



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*もう随分昔に書いたものです。
これは 読んで貰うとわかりますが
シンデレラの義理のお姉さんのお話・・・というか
彼女の言い分(笑)です。

・・・というわけで

拙い御噺を読んで下さってありがとう。

                               ゆうなぎ 


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