| 2006年05月15日(月) |
花束と夜のけん玉修行 |
その前の日は一段とひどかった。
言葉でうまく言えないから地団太を踏む。
イイコでいなきゃというので精一杯 学校や友達の前では 頑張ってるんだろう。昔からこの子はそうだったから。 それで家で甘えたいのにいつも3分の1だし それすら今のわたしはささやかなる仕事と自分の心身保持で 必死で充分 満たしてやれてない。
もっと甘えられるはずの時に父は闘病の末に死んでしまって まだ甘えたくて当然の年頃の今 母の調子は優れずに 生活と仕事で必死になってる。
SOSに聞こえる。甘えの裏返し。 喚く、叩く、蹴る、それに地団太を踏む。 バカ、死ね、クソババアの罵声。
ほんとうにちょっとしたことで家ではキレる。 一拍 返事するのが遅くなったとか 上の二人に言葉で言い負けて思う通りにいかないとか (それが自分の方がワガママを言っていても) あたる相手はわたしになる。
不憫な反面 複雑な気持ちは この傾向が亡夫とまるで同じだから。
疲れて途方にくれてしまいそうになるんだ。 この子の気持ちが痛いほどわかりながらも。
そんな時 ちょうど実家の親から下の二人だけでも 週末実家に来させたら?と電話があった。
わたしも仕事が入っているし 一番上の子も用事があったから残るということで。
末っ子は真ん中と実家へお泊りに行った。
帰ってきたのは母の日。日曜日の夕方。 実家の庭で咲いたという薔薇の花束を 白い広告の紙の裏で包んでいて そこにはヘタクソな だけど一生懸命書いたんだろう 「おかあさん、だいすき。いつもありがとう」とマジックで。 何とか読めた(笑)
おじいちゃん(父)とじっくりと話したらしい。 これはおばあちゃん(母)からの報告。
わたしと直接じゃない分 素直に気持ちが話せたのかもしれない。 そして 話したことで少し楽になったのかもしれない。 おじいちゃんと約束したそうだ。 地団太踏まないこと。お母さんを叩いたり蹴ったりしないこと。 言葉でちゃんと伝えること。
花束をくれた後 早速「遊んで」と「一緒に寝よう」ときた。 正直仕事が入っていたけど今日ばかりは と とにかくPCを落としたけどその間の少しがやっぱり待てない。 みるみる機嫌が悪くなってヒスが出そうになってた。
でも そこからが違った。 地団太踏むの堪えてる。いつもなら叩いたりしてくるのに ぶーたれながらも我慢してる。 と思ったら何やら紙にゴソゴソ書いてる。 で 無言で差し出した。
開いてみて思わず吹きだした。 四つ折りの紙の表書き ”読め!” で 中身は ”バカバカバカ!クソババア!!” とでっかい字で書きなぐってて。
我慢したんだろうなぁ。 おじいちゃんと約束したから。 地団太踏まず、わたしを叩かずに でも納まらないから紙に書いたんだ。
なんだかたまらなく愛しくなった。 この子も闘ってるんだなぁ・・自分と。
PCの電源も落として ふて腐れて でも 待ってる末っ子のところへ 急いで行った。
ごめんね。前に遊ぶ約束してたもんね。
ちょっと拗ねてたけど そのうち 今凝ってる けん玉持ってきた。 これやろうって言う。
え?今から?この夜遅くに?って思ったけど え〜い!いいや!と開き直った。
このけん玉師匠はなかなかにキビシイ。 腰の入れ方から足の曲げ方手首の返し方まで 違ったら怒られるし。 うまく何とかできて「よーし!そう!その調子!」と やっとお褒めの言葉が出たときには満面の笑みになってた。
その後は絵本を布団の中で読む。 あれもこれも・・と全部で10冊近く持ってきて 読んでるうちにふにゃふにゃといつの間にか 5冊目の途中で眠りの海に沈没した。
楽しそうな幸せそうな顔して笑って。
ぴったり寄り添ってわたしの足に足を乗っけて。
その顔見ながらわたしもいつの間にか眠ってた。 あの花束 明日の朝一番でいったんつけている花瓶から出して とっておきの花瓶に入れて玄関に飾ろう。
ヘタクソな字の「おかあさん、ありがとう」は きれいに畳んでそっとわたしの宝箱に入れた。
親に似たのか不器用な子ばかりで お母ちゃんもなかなか大変だけど
やっぱり かけがえの無いものだから こうしてそれを抱きしめていられるから
きっとわたしは生きていけるんだと
そう 思うんだ。
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ゆうなぎ
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