全面が薄暗い陰鬱さに覆われている景色。 でも見慣れた風景のようなものも混じっている。 時代背景は明治か大正あたりか。
わたしは家族と恋人らしき人と逃げている。 子供達はいず 自分もまだ若いようだ。 誰から逃げている というよりも 時代の背景にある大きな組織のようなものから逃げている感じ。 人間も何処か皆 微妙に精神が暗く澱んだものを抱えている気配がする。
経験したことはないけれども戦争中の人間心理はこんな感じじゃ なかったんじゃないか そんな。
恋人が捕まり惨殺される。 わたしは声も出ないがとにかく泣く余裕すらなく麻痺した感覚のまま 祖母の手を引いて逃げる。
暗転。
時が流れたようで またわたしに好意を寄せてくれる人が 現れて わたしは幸せそうだ。 一緒に暮らす話なんかをしている。 家族も祝福してくれている。
ところがまた其処に追うものが現れる。 わたし達はまたみんなで逃げる。
わたしを庇って恋人が殺される。 悲鳴 長い長い悲鳴をわたしはあげる。
まただ と思う。 繰り返しだ。祖母が手を引く。 逃げなきゃ という。
でも 足がすくんでもう動かない。
何よりも心が打ちのめされている。
もう嫌だ と叫ぶ。 どうして? と叫ぶ。
黒い影たちが刃物を持って近づいてくる。
わたしは叫び続ける。
どうして?どうして?どうして?
そんな悪夢を見て目が覚めた。 とても嫌な夢だった。
哀しみと寂しさとやり切れなさと絶望でできたような。 しばらくは夢の世界にまだ精神の一部が 置き去りにされているような気がしていた。 鈍く頭が痛んで 薬を・・・流し込んだ。
今もまだあのざらついたような暗闇の感触が残っている。
多分 誰にも言えない。 説明もできないし聞いた方も困るだろう。
そう いつも いつのまにかそう考えるようになっていた。
言ってどうなる?説明することの苦しみを吐き出すことの疲労。
こんなの良いわけないと 思う。 でも言っても何も変わらないどころか 相手を困らせるだけなら 口をつぐんで呑み込んで微笑んでいた方が まだ少しは自分が楽だろう? とても身勝手な 理由(いいわけ)
寂しいのか苦しいのか痛いのか孤独なのか よくわからない。 混沌とした暗闇の中に身を沈めてしまえば 意識を虚無に喰い尽されてしまえば
いっそ。
そんな 弱気。
似合わないとあなたは言うだろうか。
それとも気づかぬ振りをして目を逸らすだろうか。
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ゆうなぎ
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