++いつか海へ還るまで++

雨が降る 代わりに泣いて いるように

降り続く雨 降り止まぬ雨


2005年11月04日(金) おもいで

何故か思い出す情景は いつも夏で。

わたしは白地に苺模様の木綿のワンピースに麦藁帽子。
半分に切ってもらった林檎を齧(かじ)りながら
坂道を祖母に手を引かれて上っている。

またべつの情景は 
昔 実家にあった白い冷蔵庫。
セミの声が聞こえてる。
開けると中に薄っすら汗をかいた葡萄。一粒こっそりと摘んで口の中。
ひんやりとした皮の仄かな渋みと甘酸っぱい果実の味が広がる。
指先を染める青紫。

ふっと不安になって
まだ小さなオンナノコのわたしは
大きな声で「おばあちゃーん!!」と呼ばわる。

庭の畑仕事をしている祖母の応える声が遠くで聞こえて
ホッとして また一粒葡萄を口に放り込む。


クーラーなんてなくて今よりずっと暑かったはずなのに
思い出の中の夏の情景はどこか涼やかな風が吹いてる。


ぶーんぶーんと音のする扇風機、蚊取り線香の煙、
お気に入りのタオルケットをお腹にかけたのを手繰り寄せながら
いつのまにかウトウトと昼寝。
セミの声が遠くなっていく。


昭和という時代の
今ではレトロという言葉で語られるようになったそんな日々の
おもいで。


懐かしい
もう戻れない遠いそんな優しい風景の中に

いつか

最期に目を瞑る瞬間に

還っていけたらといいと
 

そう 思う。





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                              ゆうなぎ


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