何故か思い出す情景は いつも夏で。
わたしは白地に苺模様の木綿のワンピースに麦藁帽子。 半分に切ってもらった林檎を齧(かじ)りながら 坂道を祖母に手を引かれて上っている。
またべつの情景は 昔 実家にあった白い冷蔵庫。 セミの声が聞こえてる。 開けると中に薄っすら汗をかいた葡萄。一粒こっそりと摘んで口の中。 ひんやりとした皮の仄かな渋みと甘酸っぱい果実の味が広がる。 指先を染める青紫。
ふっと不安になって まだ小さなオンナノコのわたしは 大きな声で「おばあちゃーん!!」と呼ばわる。
庭の畑仕事をしている祖母の応える声が遠くで聞こえて ホッとして また一粒葡萄を口に放り込む。
クーラーなんてなくて今よりずっと暑かったはずなのに 思い出の中の夏の情景はどこか涼やかな風が吹いてる。
ぶーんぶーんと音のする扇風機、蚊取り線香の煙、 お気に入りのタオルケットをお腹にかけたのを手繰り寄せながら いつのまにかウトウトと昼寝。 セミの声が遠くなっていく。
昭和という時代の 今ではレトロという言葉で語られるようになったそんな日々の おもいで。
懐かしい もう戻れない遠いそんな優しい風景の中に
いつか
最期に目を瞑る瞬間に
還っていけたらといいと
そう 思う。
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ゆうなぎ
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