目を閉じて震えそうになる手を爪が食い込むほど握り締めて 小さく唱えた 「ダイジョウブ ダイジョウブ ダイジョウブ」って三度。
昔 ねぇ
泳ぐの苦手っていうか水怖くてね。 あれは高校生の頃 改装前の古いプールは一部深くて足がつかない所があったんだ。 25メートル泳ぐのが絶対単位とるのに必要。
わたしは犬かき紛いのクロールモドキで15メートル泳げたら上等。 ちょうどそれも最後の力尽きる辺が深いでやんの。
単位云々よりさ 最後の深い所が恐怖でね。 怖くてもう根性とかそういう問題じゃないくらい怖くてね。
でも泳がなきゃならない。飛び込み台に立ってそんな時に
唱えたんだ いつも 「ダイジョウブ ダイジョウブ ダイジョウブ」って三度。 いや 唱えたって怖いものは怖い。 急に根性がでるわけでもない。
でも逃げ出せないから。 でも逃げ出せないなら。
唱えて目を瞑って飛び込むしかないじゃん。 後は死に物狂い。半分どころかほとんどオボレカケ。 溺れてプールサイドにしがみつきに行くところをまた 体育教師がモップで突いて戻してたからねぇ。 今なら 問題になってるくらいのスパルタ。
25メートルの所までたらふく水飲んで泳ぎ着いた時には 放心状態だったな。
水泳? そりゃそれから今まで ダイッキライなままだよ。
本当の意味で逃げることってすごく大変なことだと思う。 逃げただけでは終わらないから。
逃げなきゃならない時だってある。 でも それを命を放棄することとイコールにだけはしたくないし して欲しくない。
わたしは小心者だしヘタレだからいつも中途半端で 度胸据えることも逃げ出すこともできなくて立ちすくむ。
立ちすくんで だけど そのままじゃどうしようもないから 呪文唱えるんだ。自己暗示?自己催眠? 効かないけどねぇ(苦笑)効いてもほんと一瞬。 でも とにかく唱えて飛び込む。 「ダイジョウブ ダイジョウブ ダイジョウブ」
大丈夫じゃねーってーの!!!って自嘲気味のひとり突っ込み。
でも行くしかないっしょ。 呪文が呟きに変わっても言霊にすがるみたいに。
生きてりゃね。 とにかく生きてりゃね。 まずは生きてりゃね。
立派なニンゲンにはなれなくても 与えられた命 せめて自分なりに。
さぁて 今日は子供の学校の催しお手伝いで一日バタバタします。 かなりすごく張り詰めズタボロ神経注意報が予想されます。
とりあえず ダイジョウブ と唱えて 今日に飛び込みます。
ダイジョウブ ダイジョウブ
大丈夫。
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ゆうなぎ
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