コミュニケーション。
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2007年09月16日(日) ちょっとばっかり






「金ないから、

明日は家でまったりだ」



「うん」




まず自分にないので、
ホッとした。


おごってもらうことに多少は慣れたけど、
お返しはしなきゃだろうなと思うし、
まして優ちゃんはお金ないって知ってるし。


今日はいろいろと周ってもらったし。



…と1人満足げな(それも問題だが)あたしの横で、
優ちゃんは申し訳なさそうにしている。




「ごめんな…貧乏で…」




11月になったら、といういつもの話が始まると察知したので、
あたしは急いで手を握って、
顔を振った。




「いいんです。


一緒にいるだけで幸せだって、わかりませんか?」





優ちゃんは目をつぶって、
マリは可愛いなぁ、ありがとう、と呟いて、
頭を撫でていた。





…よかった、
さっき小田から電話がかかってきて損ねた機嫌は、直ったらしい(ぇ)



クールな顔して少年みたいな中身は確かに可愛いけど、
少年みたいな嫉妬からも卒業してくれないかな(苦笑)
でもそれも可愛いのだ。

昔の彼女のことを、
「女友達」と言うようになったあたりとか。


可愛いから、
藤原君のことを刷り込むのはもうちょっと先にしよう。
教えていないと浮気と思われそうだから(笑)
長い目で話していこうかなーと思ってね〜。



***















「俺……、……め」










目を開けても景色はあまり変わらない。
豆電球にぼんやりと優ちゃんの影が浮かぶ。


声の断片を、
勝手に頭で繋ぎ合わせたセリフは、
あまりに突飛で、信じられなくて、
聞き直さなきゃいけないと思った。

自分の声の合間を縫って、聞き返す。











「…今、何て?」





















「俺の子どもを、産め」














目を見張った先に、優ちゃんの強い眼差しがある。
あたしを抱いている間も、変わらない。



「きっと、きれいな子どもができる」












優ちゃんは遊び人だけど、子どもが大好きだ。
相手は腐るほどいただろうに、
どうして今まで作らなかったのか、
それは、きっと優ちゃんが決めたことだと思っていた。
結婚しなかったのも。


だから、今度どこへデートに行こう、という未来は出ても、
そんな未来のセリフは、出ないと思ってたよ。
未来を信じてないわけじゃなかったけど。



長い息をついた後、
あたしに体を預けて、優ちゃんは言った。











「俺は背が低いから…背の高い女と決めてたんだ」









あたしは、ずっとこの身長が嫌だった。
小柄な女の子が羨ましかった。









「…だから、優ちゃんのためかと思ったら嬉しくて…」












あたしは、優ちゃんに初めて嬉し涙を見せた。
また驚いた優ちゃんも、
それならいいと抱きしめていてくれた。



ちょっとばっかりロマンティックが過ぎてもいいの。
この気持ちが伝わるなら何でもする。



嬉しかった。






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