日記で「私事で恐縮であるが……」と前置きしたら、笑われるだろうか。
もともと“私事”しかないじゃないか!と突っ込まれてしまいそうである。まあ、それはそうなんだけれども、でもやっぱり今日はそう断っておきたい気分。
「熱しやすく冷めやすい」という言葉があるけれど、私は「熱しにくいが、いったん熱したらなかなか冷めない」タイプ。だから、ほかの男性に目移りして恋人を振ったという経験は一度もないし、飽きるということがあまりないので物持ちもいい。
趣味についてもそれは言え、なにかをはじめたけれど三日坊主になっちゃった、という覚えはない。中でも一番長く続いているのが「日記」である。
手書きの日記は中学一年のときから十年以上に渡って日課にしていた。細罫の大学ノートに毎日の出来事をびっしり書きつけた。社会人になってしばらくしたら忙しくて書けなくなってしまったが、数年後、web日記という形で私は再び書きはじめた。
そして、明日はサイト開設五周年の記念日なのだ。
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日記をはじめた当初から、エクセルで作った表にテキストごとの細かいデータを残している。
これこれこんな項目がある、と以前ある日記書きさんに話したら、「なんのために!?」とものすごく驚かれたのだけれど、一番の理由は自分がいつどんなテキストを書いたかを把握しておくためだ。
八百三十二本も書いていると(こういう数字もぱっと出てくる)、過去ログについての記憶がかなり曖昧になっている。何年も前のテキストに感想をいただくことがあるが、返事を書く前に読み返そうとしてもいつ頃のログを繰ればいいのかわからない。そんなとき、そのエクセルのファイルを開けばたちどころにわかる仕組みになっているので、とても便利なのである。
「むかし一度メールしたことがある○○です。覚えておいででしょうか」なんて書かれたメールをいただいたときにも役に立つ。
過去にやりとりをしたことがある方の名前はほとんど記憶しているつもりだけれど、それでもずいぶん前のことだったりよくあるハンドルネームだったりすると、「おひさしぶりです」と打つ前に念のため当時のメールを確認しておきたいなと思う。そういういつ受け取ったのかわからないメールを探すのにも、そのファイルは活躍してくれるのだ。
ほかの利点としては、いくつかの項目についての数字の推移が励みになるということがある。
アクセス数をアップさせるためにどうするこうするといった話をよく目にするが、私が五年間を振り返ってあらためて思ったのは、結果は後からついてくる……いや、「後からしかついてこない」ということだ。
サウナで汗をしぼり出した後に体重が減った!痩せた!と小躍りしてもぬか喜びになるように、過激な内容で一時的に人を集めてもしかたがない。あぶく銭ならぬ、あぶくアクセスは明日には消えてしまう。
繰り返し見に来てくれる人を増やしたいと思うなら、テキストをひとつひとつ丁寧に重ねていくことで、読み手の中に自分の日記に対する“ある種の信頼感”を芽生えさせること。これに尽きる、と確信している。
そして、こつこつとマイペースで書きつづけていくための策のひとつが私の場合、サイトの成長を目に見える形にすることだった。体重を記録することなくダイエットに成功する人はあまりいないだろう。
今いる地点が山の中腹なのか、実はもう頂上付近まで来ているのかはわからないけれど、一歩でも二歩でも多く歩いていられたらなあと思っている。
いつも本当にありがとう。今後もどうぞ変わらぬお付き合いを。